悲しい男
糖質Aという男
正にそれだけである
糖質A
この名前の由来は単純に糖質系の食べ物が好きだからとか
そんな理由ではない
糖質A
ただそれだけである
糖質Aという男はそもそも学力はそれほどよくない
運動もできるほうではない
だが人を見下している
そんなクズ人間糖質Aは学生であるのだが学校へ通う
『んーなんか冴えないな、理解力があるならアイツに勝てるのに
俺のポテンシャルは芸能人にも引けを取らないのに』
作戦を立てるのが彼は好きだ
彼の思考は作戦を立ててその通りに相手が動いてくれれば
ものすごく喜ぶ
宮島という男がいる
宮島は基本的に人が嫌いだが糖質Aとは気が合い仲良くしている
宮島は喧嘩が強いが気は弱いのでデクノ棒と周りに思われている
宮島本人はそれを気にしていない
『宮島と2人で囲えばアイツは逃げられない
それで借りは返せる
まぁいつでもいいんだけどな』
通学路を歩いていると地面にコインが落ちている
糖質Aは周囲に人がいないのを確認し、拾う
ユーロコインだった
持っておいて損はないが彼は捨てた
学校に到着するといつものように不良グループに絡まれる
『おい、田辺この前借りた漫画あれ売っといたけどいいよな
エロいとこ破っといたぞ
お前、あんなの好きなんだな』
『え、あ、うん それより放課後時間ある?
話があるんだ』
『あ?いいけどなんだよ、セフレ寄越せって?お前もてないもんな』
『まぁ、いいじゃん なんでもいいじゃんそれは
とりあえず頼むよ』
気が弱いというものを糖質Aはコンプレックスに思っていた
腕力より精神力の強さの方が上等なのだと彼は学校で学んだ
彼は学校では田辺と呼ばれている
街で有名な公園に田辺という狂人がいるがそれに顔が似ているからという理由である
彼の通っている学校では不良が少ない
裕福な家庭が多い地域だからだ
田辺かつ糖質A、彼の家庭は貧しい
どこからか怒号が飛ぶ
『宮島〜! 舐めてんか!? この前聞いといた書類はよダセェや』
『うるさいよ、先生はなんで偉そうなんだ』
『お前な、退学するか?義務教育じゃねえんだからよ
いつだっていいんだぜ、俺は』
『します、退学』
宮島が退学した
仲間がいなくなった糖質Aは更に壮絶な当たりを喰らうようになってしまった
六ヶ月経った
『こんな人生、楽しくない 何もいいことがない
死のうかな』
糖質Aは打ちのめされていた
自信も何もない
気力がなかった
糖質Aは保健室のベッドでうずくまっていた
『あなた、授業に出る気はないの?みんな待ってるわよ』
女医の声もうるさい
こんなんなら早く大人になりたい
大人になればもっと強くなって胸を張って生きていける
そう願うが助けは来ない
理解して彼はホームセンターで練炭を購入した
『次はもっと強く生まれたい頼むよ』
帰り道
力が漲ってきた
これまでにない緊張感
気力が湧いてきた
『そうだ、俺は松田純、なんでこんなことしなくちゃならないんだ
喧嘩だってやったことないだけだ』
今ならなんでもできる
その足で不良に挑み、敗北した
泥沼の中でニュルニュルと自意識がべちゅべちゅに溶けていってなくなっていく感覚
永遠に水面に出れない強張り
妄想が始まった
自分を支配する操縦士を見つける
彼はそう決意した
ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュル
自意識の発露だった
ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュル
自分がなんなのか理解した
ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュル
カシャーーーー
ぷちゃ
シューーー
ガチャリ
『どうでしたか?学生体験は
被験者のヴィジョンは17歳で自殺された学生です
早い帰還でしたね』
『ほんとに悪趣味だな
こんなことをやって喜ぶ人間がいんのか』
『ご希望されたのは貴方ですよ
帰還できなかったとしても自己責任です
最初契約されたでしょう』
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