嵐の前の
父さん達と馬車に乗る時に乗り口の端に座らせてもらって肩にアッキー、そして馬車の縁に革の軍手をした腕を置いて鷹を止まらせておいた。《クルル》と鳴いて目を閉じている。
「アルトゥールさん、あの時はすみませんでした。安全上ばらけないのが1番でしたので」
ギルマスが父さんに話しかける。
「いえ、こちらとしても良い木が取れましたし、いつもより何事もなく終わったのでありがたいくらいです」
「父さん、ごめんね。」
「いや、お前ももう冒険者だしな…だがまだ危ないことは避けなさい」
周りの人達からも結構心配してくれたり声かけてくれてたから、不快に思ってなくてよかった。従魔といっても魔物だからあまり大袈裟に近寄ったりはしないけど、と思っていると
《ミィ!》と言ってポヨンとアッキーが父の膝に乗る。アッキーのお気に入りポジションだ。“ほら、おじさんの方でも良いぞ、こいこい”と他のおじさん達がアッキーに話しかけてるのもどうかと思うが。当のアッキーは動く気もないようだ。
木工ギルドに着いたら、作業場の人に新しい従魔の“ルゥ“だと紹介すると《クルル》と鳴いて近場にあった丸太の上に居座る。何人かは遠巻きに見ていたがアッキーの時よりそんなに騒がれない。何より、何故かトビーさんが気に入ったようで、走って革の軍手を取りに行っていた。何か言いたげにこちらを見てくるルゥに“お願い”と念を送ってみると、《クルゥ》と鳴いてトビーさんの手に乗ってあげてた。話はできないけどアッキーと同じく何となく通じるんだなと思ったよね。
とりあえずそのままアッキーとルゥをお願いしてる間にギルドの受付で依頼報告を済ませる。最後に俺が水魔法で抉った木も入れて19本、なかなか立派な木だったから、ギルマスが“おまけしといてやる”とピッタリ金貨1枚に。ありがたや。
アッキーだけならまだ良いけど、これからルゥの餌代もかかるからな。
「ラインズさん、ホークってやっぱり餌は肉ですかね?」
「さぁな、基本海辺に居るから魚か…どっちにしろ肉食だろうが、木の実が食えない訳でもないと思うぞ。とりあえず今日は素材買取の方でホーンラビットの肉があるかカールに聞いてみたらどうだ」
「そうします。自分で狩らせても良いかもしれません」
「まぁその方が毎回買わなくて良いな」
「トビーさん、ありがとうございました。ルゥ、行こう」
「いやいや、アッキーと同様にいつでも来てくださいね。魔物とは分かっていますが、白鷹とはここら辺では珍しい上に、私は祖父から縁起がいい生き物だとも聞かされておりましたから。」
「へぇ!そうなんですね、それは初耳でした」
そしてその後兄といろいろ話をしてからそのまま冒険者ギルドへ。だがしかし、街中で魔物が飛び回れないのでそのまま手に捕まらせて運ぶ。
冒険者ギルドに入って冒険者の何人かが驚いてる中で、素知らぬ顔でカールさんに挨拶すると、ルゥが買取口のそばに置いてあった木箱の端に器用に移動して止まった。
「新しく仲間になった“ルゥ”です。」
「珍しいな。この地域には居ないはずなのに。」
「はい、どうやらスキルを“共有“できる相方を探していたみたいです。で、この子の餌をと思いまして。ホーンラビットの肉は今日こちらに入ってますか?」
「さっきだいたい捌けたが…そうだな、今は5匹分あるぞ。そのままか解体か、どっちがいい?」
「ルゥ、どっちがいい?」
《クルル》…んー流石に分からないか
「解体1匹分とそのままを1匹見せてもらえますか?」
「分かった、待ってろ」
そのまま後ろの扉に入って行って、解体した肉だけの分とそのままの分を持ってきてくれた。
「“ルゥ“どっちが食べたい?」
《クルル》と解体した肉に目を向けるルゥ。…まぁ今までのそのままよりかは食べやすくなってるだろうしな…。
「カールさん、解体した分を5匹分買い取りたいです。」
「あぁ、すぐできるぞ。ホーンラビット5匹分の“肉だけ”で…そうだな“持ち込み”じゃない分、高くはなるが解体費はおまけして…銀貨2枚でどうだ」
確かホーンラビットの買取は1匹につき銅貨3枚と鉄貨5枚だったかな。警戒心が強いく逃げ足が早いこと以外は駆け出しの冒険者にも倒せて初心者には必須の魔物だ。
「ありがとうございます。ではこれで」
「おう、確かに、じゃあ捌いてもらうように言ってくるから少し待ってろ。」
《クルル》とルゥが鳴く。意外とよく分かっているようだ。
そのまま待って奥から捌いた肉を持ってきてくれたのでアイテムボックスへ。カールさんが気を利かせて1匹分をルゥが食べやすい一口大の大きさに切ってくれるように言ってくれたみたいだ。礼を言ってかえる。
家に帰って、今日は先に帰っていた父が事情を伝えてくれていたからルゥに関しては母もそこまで驚かなかった。ホーンラビットの肉4匹分を今日の晩御飯のおかずにと渡す。何気に稼いだ分を家に渡すのははじめてだなと思いながら、ルゥのご飯も用意する。パクパク食べていたのでご満悦のよう。
アッキーにはキコの実と熱いお茶をあげる。《ミィ》と鳴いて食べてくれてるから大丈夫だとは思うけど。
1番驚いたのは兄が帰ってきた時に、ルゥ君の為に大きめの止まり木を持って帰って来てくれたことだ。何でも、俺らが冒険者ギルドに向かった後、凄い勢いでトビーさんが用意してくれたとか。簡易で申し訳ないと言っていたらしいがなかなか立派である。ルゥ君もご満悦のよう。《ミィ…》と鳴いたアッキーを見て、今度何か作ってやるからなと兄がアッキーを撫で回していた。
翌日、冒険者ギルドの受付で俺じっと待っているリースさんと会うことになる。
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