南の森の白鷹
今日は南の森に行く日です。
顔合わせの後はキッドさんとラインズさんが武器は木刀、魔法無しの模擬戦をする事になって、ラインズさんがもちろん圧勝、息も切れてなかった。戦いながら「もっとこうした方がいい、ここ癖があるから意識しろ」って指摘して言ってたことを思うと、改めて凄い人なんだなと思ったよね。
カールさんの方は体の大きい【盾術】を持っているナリウスとトランさんが目を輝かせて『お話を!』って詰め寄って居て、ちょっと恨めしげにラインズさんを見てたよね。ラインズさんは後輩育成の為だとケロッとしてたけど。
あとチームの魔法攻撃が得意なフレッドさんはリースさんが居なくてめちゃくちゃ落ち込んでた。たぶん…居たら居たでいろいろ面倒?事になりそうだし逆に良かったとおもう。
回復役である大杖を持ったミッドさんは冒険者ギルドで話しかけられて、アッキーと戯れて居た。《ミィ!》と人懐っこくて暖かいアッキーを膝の上に乗せて撫でてたな。
南の森の丸太置場でそれぞれ集合して出発、
『堅固たる盾』はここで一泊していたようだ。やっぱり家みたいな建屋は泊まれるように出来てるようだ。
会議で決めたように大盾を持ってるナリウスさんが先頭で、そのすぐ後ろを父と伐採チームの4人、全員で12名の団体になった。出発して体感で1時間半ほど歩いた所で父が「ここら辺で一度作業する」と宣言してこの前ラインズさんが出してくれたものと似ている結界の魔具を取り出した。
東の森よりも薄暗く感じるのは立派な木々のせいだろう。丸太置場に置いてある丸太より1.5倍ほど太く、高い。伐採チームが2人1組になり父が指示した方向に木を切り倒していく。周りを冒険者達が固めて切り倒した木を俺が素早くアイテムボックスに収納。
「次は向こうの方に」と場所を変えながら伐採していき、計18本目を切り倒して収納した時、ギルドマスターがスッと手を上げた。
「すまないが、ここら辺で引き返した方が良さそうだ」
目線の先にはここら辺では1番太く高い木の上に止まっている白い鳥の様なモノがじっとこちらを見ている。
「ホワイトホーク!?皆さん、後ろへ!」
冒険者チームのキッドさんがサッと前にでる。続いてナリウスさんが大盾で構えて父さん達を守る陣形を組んだ。
が、ホワイトホークと言われた魔物は高い所からこちらを見ているだけで動かない。
「ラインズさん、ホワイトホークって…」
「…Dランクの魔物だが場所によってはCランク相当とも言われている。南の森どころか、ここら辺で見かけることの方が珍しい」
「ナリウスとトランを先頭にギルドの方達は後退し、引き返してください。左右をミッドとフラット、殿は俺が務めます。焦らず、ゆっくりお願いします。」
ギルマスはホワイトホークと呼ばれた魔物から目を離していない。俺はと言うと
【鑑定】ホワイトホーク
生息地は季節変動が穏やかな土地を好んで住む。主に海辺での狩に秀でていて狩場の近くに巣を作る傾向がある。肉食でもあり、鉤爪と同様に嘴にも注意。
体力C・魔力D・力C・精D・俊B+
スキル【鉤爪】D+・【風刃】D・特殊スキル【共有】
進化先・ホワイトイーグル。
弱点、火属性魔法、雷属性魔法
従魔にすると特殊スキル使用可能
基本的には同じ種族(鳥系統魔物)としか交流しないが、稀に見る特殊スキル持ち。特殊スキル【共有】を使用する為、主人を探して飛行を繰り返している個体
「…ギルマス、お願いがあります」
父「アレク、早く来い」
父さん達が移動を開始し始めている。キッドさんもこちらに攻撃をしてこないホークに戸惑いながら少しずつ距離を取り始めていた。
「冒険者ギルドマスターとして発言をする“全員今すぐこの場に待機せよ”」
ざわつき始める木工ギルドの人たち。
「父さん、ごめん。アッキー、父さん達を頼むね」
《ミィ》と鳴きながら元の大きさに戻って父の側に行ってくれるアッキー。
俺は少し前に出た。
父「ア、アレク」
「大丈夫、結界の魔具はまだそのまま出していて」
ラ「念の為、俺の持っている魔具も出します。キッド、そのままの陣形を崩さず守備を固めろ」
「は、はい。」
振り返らずにホワイトホークがいる木の正面に立った。
よくよく考えてみたら、ずっと俺を見ていたのかもしれない。
良い意味でも悪い意味でも値踏みされていたのかもしれない。
《クルル》と1鳴きしたかと思えば止まってる木を突き、更に隣の木の枝に移ってまたこちらを見てきた。
…なるほど?この木をどうにかしてみろと?
杖を取り出す。火魔法はまだC−で風魔法はこの前C−になった所だ。となるとこの杖のことも考えると今1番の最大火力が出るのは水属性魔法。
深呼吸して木を見据えるありったけの「アクアボール」
【バッコーーーン】と水の球が高速で木の真ん中に当たる。そこそこ太い木だったからか、貫通はしなかったし倒れなかったけどくっきり抉れている。さて。お眼鏡にはかなったのかな?
フワッとホワイトホークが降りてくる。《クルル》とこちらを見ながらその場に座った。
さて、俺の従魔術はアッキーがスパークスライムからファイヤースライムに上がった時にD+になったし、Dランクと言われているならいけるだろう。場所によってCなら、残念ながら無理かもしれない。
しばらくこの子の名前を考えてから意識して手を伸ばす。
「従魔としてここに汝の名を授ける。真名は《飛翔》呼び名は《翔》その名の通り我の行く道と共に空を駆けろ。従魔契約」
アッキーと同じく魔法陣から風が吹く。成功したようだ。
《クルル》となくとバサっと飛び立って木のさらに上でくるくる旋回している。このまま空から着いてくるようだ。
「お待たせしました。無理を言ってすみませんでした。」
「おう。相変わらずだな。従魔術ってのは、向こうから寄ってくるのか?」
「いえ、分かりませんが…皆さんも、すみませんでした」
「え、あ、ああ、我々は大丈夫だが」
「アレク…」
「父さん、ごめんね、ありがとう」
「…とりあえず今日はこのまま帰ろう、皆んな、戻るまで気を引き締めていこう」
何か言いたげだったけどとりあえず今回はこのまま引き上げるように告げるときた道と同じ陣形で歩く。歩き始め1時間くらいの時に俺の感覚に何か伝わってくる。そう遠くないところに魔物がいる。今日は魔力量のことも考えて感知や探索機能は使っていない。となると…【共有】か。
「キッドさん、20メートルほど先の右手側に魔物が数体居ます。回避しながら行きましょう」
「何?それはどうやって…」
「スキルです。正しくは先程のホワイトホークからです」
「…なるほど、空から警告できるのか、分かった、ナリウスに伝えよう」
そのまま駆け足で前方まで行って伝えてきてくれた。少し進路を変えて、何がともなく無事にスタート地点に戻る。冒険者はこのままここでまた一泊して明日の朝の便でギルドに報告する事になっているようだ。確かに、夕方の帰りの馬車にこの人数は乗れないから仕方ない。ここでホークと合流して礼を言う。このままギルドまで同じ馬車に乗り込むことになった。
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