カールさんと装備品
あれから2ヶ月半がたちました。
今日は木工ギルドの依頼とお小遣いなどで貯めたお金で装備品を買う日です。と言うのもあと2ヶ月ほど経てば南の森に行く予定なのでラインズさんから『そろそろ装備品を買って東の森へ行く』とのこと。
あとあれからリースさんから手紙が届き、内容は謝罪文から始まり今は4つ目の依頼をこなしている等が簡素に書かれていて後の5ページ丸々各魔法属性の為の訓練の内容みたいなのがギッシリ書いてあった。とりあえずギルマス達に見せると『今のお前さんは現段階の魔法ランク維持だけ意識してこれは気にするな。あいつに任せるとはまだ一言も言っていないと俺から言っておく』とそのまま机に仕舞われました。イエッサーボス。
実は今日装備品を買いに行くと知った家族から少しでも足しにしなさいって金貨3枚渡されたんだよね。少しでも安全性をあげる為だからと。父や兄より母の圧がすごくて断りきれなかったんだよ、、、ありがたく貰っておいた。
ちなみに軍資金はこれで金貨8枚と銀貨5枚である。
で、武器と武具を買いに行くのに紹介状だけじゃなくて何故かカールさんが着いてきてくれることになった。元ランカーの見立てなら信頼できるし、旅慣れた人のアドバイスは逆にありがたい。朝から東の《祝福の祭壇》前で待ち合わせをして、チラホラ同じ様な店がある中で迷わずに入るあたり頼もしいし、防具屋に先に入るのはカールさんらしいな。
「ここの『タレント』は主に初期防具などを買い揃えるのに向いている。そもそも子供サイズを取り扱っているのが珍しい方なんだが。とりあえずアレクの場合、鎧なんかの重装備より動きやすい軽装備の方が好ましい。従魔を従えられるまでは距離を取って魔法で攻撃することと逃げる事を中心に考えなさい。」
といって鎧系統の列から外れて皮製品とローブが並ぶ棚に行く。
「リースと来たらローブしか見せてもらえない上に『これを着ろ』しか言わないだろう。実質アレクの場合はローブの方がいいんだろうが、こんな風に皮や軽く丈夫な鱗で出来てる胸当てなども見てみるといい。靴に関しておすすめなのはこのワイルドボアの耐久性がある靴やホーンブルの雨の日にも歩きやすい靴だ。」
ワイルドボアってイノシシか?ちょっと触ってみると確かに毛っぽい。色は暗めの鼠色だ。値段は銀貨8枚。ホーンブルの靴は現代のショートブーツだな濃茶で革靴って感じがいい。金貨1枚と銀貨3枚。ひぇ。覚悟はしてたけどやはり高めだな。
ザ!皮の胸当てって感じのもが銀貨6枚、見た目の割にちょっとずっしりきてる。皮の下に薄い鉄板でも入ってるのか?でも確かにこれならナイフ程度なら貫通しないのかもしれない。。同じ様なものが数点、だいたい銀貨6枚が平均だ。
鱗の方がめちゃくちゃ軽い上に高い。これは『サーフ』と言う魚型の魔物の鱗らしく、魔物から取れた素材で作られた物はその魔物の特性を引き継ぐ事があるそうだ。この場合火属性魔法耐久極小が付いてるそう。金貨1枚と銀貨2枚。
「ローブに関しては本当に効能によって金額の上下が激しい。使われてる糸や布、付属特性の有無で変わってくる。、、、まぁ子供サイズはそこまで変わらないが…そうだなアレクの背丈ならこの辺りか」
目の前には10着ほどのローブが並んでる。
黒が3着、ワインレッドが2着、茶色が3着、濃茶が2着
一つ一つ見ていって気になった2着まで絞ることにした。
「、、、その2着で迷ってるのか?」
後ろでじっと待っていてくれたカールさんが覗き込んでくる。
1着目は黒のローブ
【タラントのローブ】
水辺の近くに多く生息している蜘蛛の魔物の一種、タラントから取れる糸で裁縫されたローブ。
水属性耐性・極小、防水性・小。
金貨1枚と銀貨5枚
2着目は濃茶のローブ
鑑定【ヤーシュのローブ】
ヤーシュの糸で紡いだ布で織り上げたローブ。
火属性耐久・極小、防火性・小
金貨1枚と銀貨3枚
「はい。この中でならこの二つかなと」
鑑定をしながら見てみたけど品質はみんな普通で、値札に書いてある説明と一緒だったので防水性と防火性を選んで見た。
「、、、そうだな南の森で言えば防水性の方がいいな。火属性魔法を使う魔物はあまりいない」
「分かりました。こっちにします」
「靴はどうする?」
「ローブの防水性に合わせてホーンブルの靴にします。」
「いい判断だ。ここでちょっと待ってろ」
カールさんがお店の奥に行ってたぶん紹介状?を店員さんに渡してそれを確認してから連れてくる。
「それではサイズを合わせますのでこちらに」
「あ、はい、よろしくお願いします」
ローブを羽織って裾を上げてもらったり靴のサイズを見て合うものを奥から持ってきてくれたりして包んでもらった。
「あ、お会計を」
「いや、ここはもう支払いは済んでる。次行くぞ」
「またお越しくださいませ」
包んでもらった荷物をそのままカールさんから貰ってさっさと出てしまった。カールさんを慌てて追いかける。
「か、カールさん」
「冒険者ギルドからリースの時の謝罪と礼だと思ってくれ。迷惑をかけた」
「それとこれとは話が別です!」
「、、、ここは貰っておけ。」
「ギルマスもぐるですね?」
「あの時アレクを引っ張って来た責任があるのはラインズで俺も止めなかった。それにリースが帰って来てからの方が大変だろうからな。武器と旅支度は自分で買えばいい。ここは大人しく貰ってくれ」
「、、、わかりました。これは受け取っておきます」
「、、、助かるよ。次は武器だな」
そこそこ大きい武器屋に入って杖をメインに見ていく。
店の名前は『スウィング』
剣の次に杖の種類がめちゃくちゃあった。
主に2種類あって1つは本当に魔法使いのイメージの杖だ。もう1つはゴツいでかい杖。効能的には細い方の杖は【威力向上】が少ないものの精密なコントロールなどがやりやすく、でかい方は両手で持ち上げて唱えると攻撃魔法の威力を向上させる等、1本1本いろいろ違う。こりゃどこから見たらいいのやら。
「リースなんかは2本使い分けているな。普段使いなんかでは細い方だし、ダンジョンや討伐依頼の時は大杖を持ったりしている。こればかりは本人が手に取って見るしかない。、、、すまない、これを渡してダンを呼んでくれないか」
近くにいた店員のお兄さんに手紙を渡しながら言うカールさん。店員さんは返事をしてそのまま奥へ入っていった。
「誰か呼んだんですか?」
「ああ、ここの副店主で杖に詳しい奴だ。剣や盾なんかは店主や俺でも力になれるがな。リースの奴もダンの見立てなら納得するだろう。」
しばらくするとスーツの様なしっかりとした服装に白髪を綺麗に揃えてメガネをかけた渋めのおじさんが奥から出て来た。
「やぁ、カール。その子が例の子かい?」
「あぁ、杖を選ぶのに助力が欲しくてな」
「リースじゃなくてホッとしてるよ。店内で喧嘩なんかしたら店が潰れてしまうからね」
ハハっと笑ってるけど今サラッと怖いこと言わなかった?仲良い風な言い方だったじゃないか、カールさん??
「いや、これは失礼。ここ『スウィング』の副店長のダンと申します。以後お見知りおきを。」
「アレクです。よろしくお願いします」
「ではさっそく。アレク様はまずどちらの種類かはお決まりですか?」
「あ、いえ、こんなにいろいろあるのも初めて知りました。」
カ「南の中腹までの運搬依頼をこなす為に東の森の入り口辺りで実戦をさせるつもりでいる」
ダ「なるほど。ではアレク様、両手を見せていただけますかな」
はい、と両手を上げて掌を見せると失礼しますとダンさんが少し触って来たり裏返してみたりしてじっと見ている。
「はい、失礼致しました。剣タコなどもなくクセのない手ですね。杖ならばここからここまでの中から。あぁ、ついでにアレも出しましょう。大杖ならばこれとこれなんていかがでしょう。」
その言葉で店員のお兄さんにあれよあれよと杖が入った箱を10箱くらい持たせてダンさんは2本の大杖とちょっと大きめの箱持つとこちらへどうぞと裏口の様な所に案内される。ちょっとした中庭の様になっていて冒険者ギルドの様にカカシがポツンと立っていた。入り口近くに台があってそこに杖箱を積み上げた。
「さてまずは素手で魔法を撃っていただけますか。1番威力のあるやりやすい初級魔法、あぁ、火魔法と水魔法、雷以外でお願いしますね」
「あ、はい。『ストーンショット』」
『バッコーン』と前と同じでパラパラとカカシの周りに砂が舞い、カカシの真ん中に穴が出来て折れてしまった、、、。
「す、すみません、、、」
店員のお兄さんは驚いた顔をしてダンさんはそこまで顔に出さなかったけどワクワクしてる様な雰囲気がダダ漏れだ。リースさんとはまた別だけどダンさんも魔法好きなのかも知れない。
「いやいや、お気になさらず。そうですね、素手でこの威力ならば大杖よりこちらの種類の方がいいでしょう。ツイード、新しいカカシを」
店員さんがはいと返事して奥に置いてあるカカシを交換してくれた。本当にごめんね、、、。
「まずこちらの杖を一本一本握ってみて、しっくり来るのを選んでみてください。」
言われた通り『何か分かるのかな』と思いつつ握っては戻しを繰り返して特に何もないまま最後のちょっと大きめの箱の中にある一本を握った時。
ブワッと杖から凄い心地よい匂いを感じた。草木の匂いの様な森の中にいる様な感覚だった。
ダ「ほう、やはり。見つかりましたね。おめでとうございます」
「あの、今のって?」
カ「、、、俺も久々に見たな」
ダ「杖とは元来、持ち主が杖を選ぶのではなく、杖が持ち主を選ぶ物。『自分を使ってくれ』と言っている様な物なのですよ。それ以外だと手にやたら馴染んだり手放したくないなどの感覚で選ぶのが主流です。」
鑑定【サラソの葉とトルクの木の杖】
サラソの葉とトルクの木を合わせて作られた杖
品質・上
樹齢100年の大樹の若木から取られた枝の一部とその側に流れる澄んだ川にしか咲かない花、サラソの花の葉からできていて、しなやかで硬い。癖のない一品。水や土属性に付随する技に威力微向上及び制御の魔操作に置いて秀逸。
水属性魔法操作・中、土属性魔法操作・中
水属性威力増加・微小、土属性威力増加・微小
「ではもう一度、そうですね先程よりは威力を抑える感覚で『カカシの右腕だけ』を狙ってみてください。」
「はい…『ストーンショット』」
『バコンッ』さっきの真ん中に当たったものとは違い、より的を絞ったような大きさと若干勢いが落ちた魔法がカカシの右肩に当たり右腕がそのまま落ちた
「素晴らしいですね、一回でこれなら訓練すればより良くなるでしょう」
もうダンさんの顔がニッコニコなんだけど、ちょっと俺は浮かない顔である。そう。高いんだ、これ。金貨15枚、、、
「あ、あの、素晴らしい杖だとは思うのですが、、、」
「あぁ、代金は『杖側が選んだ』ので半額ですよ。そうですね、久々に良いものを見せていただいたし、ギルド紹介のことを考えて金貨7枚でいかがでしょう。」
そ、そんな割引あるの!?
か、買えてしまう、、、だがしかし、、、この後の買い物を考えると、、、
「買っておいた方が良い。武器や防具は妥協しない方が良いし、節約出来るところは他にもある」
「わ、分かりましたカールさんがそう言うなら。これでお願いします」
「ではこちらに、ツイード後は任せます」
そのままその杖と箱を持ってお会計へ。今度は包まずに箱のまま貰ってお会計を済ませる。
「大切に使ってくださいね。少しの修繕なら試せる可能性もあるので何かあればまたご利用下さい」
「本当にありがとうございました」
「世話になった」
カールさんとそのあと武器屋というよりかはナイフや鍋などを中心に売ってる所を案内してもらって小型のサバイバルナイフと小さな鍋やロープなどをカールさんの経験等を聞きながら買っていって金貨1枚と銀貨2枚。まだ買えてない分は急ぎじゃないしまた後日買い足すってなって今日は解散になった。
思えば軍資金がほとんど杖で消えた。もしかしてカールさん達はこのことを予感して防具を買ってくれたのかも知れない。
カールさんにお礼を言って家に帰って家族にも改めてお礼を言ったよね。おかげでいい買い物ができましたって。
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