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定期指名依頼

今日は朝から父と兄と木工ギルドに出勤である。昨日の晩、父さんの機嫌がちょっと悪かったが、兄と母のおかげで朝には落ち着いたみたいだ。と言うのも外で実戦していいレベルだから近いうちに東の森にギルマスと行くかもしれないと話したせいなのだが。しばらく、街中の依頼だけだと言った約束だったからあまりいい顔がしなかったが母と兄が『Aランカーと一緒なんだからむしろありがたいくらいだ』って援護してくれて「そもそも1人では行かない約束は守ってる」って言えばそれもそうかと思ってくれたみたい。


ちなみに母にギルド同士の連絡方法を聞けば魔法具の一種で電話のような機能が備わった物があるらしい。見た目は《祝福の祭壇》にあった球体より一回り小さいもののようで、高価なものであるからお城や各ギルド、大商会、などに置かれているそう。魔法具研究商会がどうとか言ってたかな。



そんなことを考えながら木工ギルドの受付に向かう。今日はトビーさんと一緒に行く手筈になっているらしく、父さんと兄さんは直接工場の中に入っていった。受付しに行くと応接席でトビーさんが資料を読みながら待っていてくれたようだ。


「おはようございます。お待たせしましたか?」


「いやいや、通常の勤務時間だから気にしなくてもいいよ。それよりちょっとアレク君に話があってねそこにかけてくれ」


「はい、失礼します」


ガサゴソと鞄の中から一枚『定期指名依頼』と書かれた紙を取り出して来た。


「え、指名依頼ですか?」


「ええ、期限は1年ですね。10日に一度、前回と同じ条件と緊急時に依頼する事になります。アレク君への指名依頼でのお願いです。いかがでしょうか」


「あの、ついこの前冒険者登録したばかりなのに大丈夫なんでしょうか?」


「もちろんです。定期的に難しそうなら今回のように一つ一つ受けていただいても大丈夫ですが、指名依頼にしておいたほうがお互い手間が省けるかと。」


「商人ギルドの方の人は大丈夫なんですか?」


「ええ、そもそも月一くらいの依頼でしたから、そこまで影響は出ていませんし、向こうの方にも話はつけてあります。アレク君が外に出て、こちらに来れなくなったらまた商人ギルドにお願いするだけですしね。冒険者ギルドのマスターにも連絡はいれてあります。いくつか条件のような物はありましたが受けるかどうかは本人に任せるとのことでした。」


「なるほど、分かりました。」


とりあえず依頼書を読んでみよう。



基本的には依頼内容は一緒で、緊急依頼の場合、条件はその時の本人の魔力量限界までの依頼である可能性がある事。その分、緊急時には1本銅貨5枚になる事。10日に1度ではあるが事前に連絡を入れれば前後にずらすことも可能。無断で3回、依頼を廃棄した場合、所属ギルドを通して処分(罰金と契約破棄)が下ること。



「文字通りの緊急時と、あと年に2回ほど森の中腹まで良い木を取りに行くんです。冒険者と伐採チーム、アルトゥール達が先行して切った木を運搬する仕事だよ。その時の状況で本数が違うから何とも言えないんだけどね。」


「あ、この話、父に話しましたか?」


「いや、指名依頼は基本的に成立するまでギルドの上と当人同士以外の人間に伝えることはないからね。今回は冒険者ギルドマスターとレイブンと私、あと商人副ギルドマスターくらいかな」



「実は、、、」


昨日の話と父との約束の話をする。


「なるほど、やっぱり言ってた通りですね。すまないコリン、アルトゥールを呼んでくれないか。」


言ってた通り?なんだろ。


受付に座ってた片方の女性が返事をして出ていくと父さんを連れて来てくれた。そのまま俺の隣に座る



「トビー、まだ行ってなかったのか?」


「いや実はアレク君に定期指名依頼のお願いをしていてね。馬車はまだ待ってもらってるよ。」



「指名依頼??アレクにか?」


「これなんだって」


父さんに指名依頼書を渡すとちょっと眉間にシワが、、、


「緊急依頼ってアレか」


「そう。今まで商人ギルドの人がやってくれてた運搬作業をそのままアレク君にお願いする形になる。アルトゥールなら現場の指揮官だからよく分かっているはずだ。」


「東の森のスライムとはわけが違う」


「あぁ、その事なんだけどね。アレク君がこの指名依頼で中腹まで出る時は冒険者ギルドマスターのラインズさんがアレク君の監督役として一緒に来る話になってるんだ」


「ええ?!ギルマスがですか?」


俺が驚いちゃったよ。


「昨晩、ラインズさんに指名依頼の話を連絡してた時に、外に行く話は親御さんが心配だろうからってね。基本アレク君が外に出る時は自分か副ギルドマスター、最低でも元Aランカーのカールさんが付いていくって事らしいです。まぁこちらとしては耐性持ちとは別にギルドマスタークラスがついて来てくれるのなら安全性が跳ねあがりますし、金銭も発生しませんから何の問題もないんですが」


あとは父さんの許可と俺の承諾だけってことか。


「はぁ、、、確かに『1人で外には出てない』からな」


うぅ、父さん昨日の事ちょっと引きずってる?ちょっとだけ漢に2言なし的なとこあるもんね、うちの父さん。


「俺は受けたいと思います。父さん達の仕事を観れるのも楽しみです」


その瞬間ぐりぐりと頭を撫でてくる父。


「じゃあ、成立だね」


書類の最後にサインをしてトビーさんと丸太回収に向かった。

午後から会うギルマスにお礼言わなきゃね。


よければブックマーク等よろしくお願いします

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