師匠が出来ました
初冒険者ギルドデビューって事で今日は昼ちょっと前から来ている。朝一は人が多いからだ。昨日と違いちらほら人がいて、掲示板の前に立っていたり奥のちょっとした机と椅子がある雑談スペースみたいな所で話し込んでる人たちもいる。
掲示板の端の方にFの依頼書があり内容は街中の短期バイトの様な内容がほとんどだ。Eクラスになるとそこに街の外の薬草採取や運搬の手伝いなどが増える。お。木工ギルドの依頼書もあるな。昨日もらったギルドの規約に書いてあった通り、とりあえず剥がして受付まで持って行く。
今日は受付2人と、到底受付には見えないおっさんがいる。チラッとみると『買取口』とあった。なるほど、ここに素材を持ち込んで売ったりするのか。とりあえず昨日のお姉さんの所にしよう。
「こんにちは、この依頼を受けたいんですが」
「いらっしゃいませ。木工ギルドの運送依頼ですね?スキル確認の為、個人カードを見せて下さい、、、はい、確認いたしました。木工ギルドに連絡いたしますのでこのままお待ちください。」
と言ってお姉さんが受付の奥に行く。連絡?電話みたいな物があるのかな。後で受付嬢だった母さんに聞いてみよう。
「お待たせ致しました。連絡が取れました。明日の朝、是非来て欲しいそうです。こちらの依頼書は木工ギルドの受付で確認と精算がされますから、報酬はそちらで受け取っておいて下さい。それからギルドマスターから、アレクさんが来られたら部屋へ案内するように、との事なのですが、今からお時間大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です、お願いします」
こちらです、と昨日と同じ部屋に案内される最中、だいぶ注目を浴びたのか(たぶん俺が子供だからかな?ギルドマスターのとこに行くからか?)ほぼ全員こっち見てる。
そそくさと、知らぬ顔でついて行って中に入ると書類らしき物と睨めっこしてるギルドマスター。「おう、来たか」と手に持ってた書類を投げ出してニコニコしてる。、、、事務仕事、苦手なんだろうな。
「昨日はありがとうございました。本、もう少し借りてもいいですか?」
「ああ、別に構わない。今月中に返してくれたら良いさ。依頼、何か受けたのか?」
「木工ギルドの運送依頼を受けました。昨日一緒に来た父が木工ギルドで働いていて、前に一度同じ依頼を受けたことがあります」
「ほう。親父さん木工ギルドだったのか。一度やったことあるなら大丈夫だろう。運送依頼はどうしても商人ギルドの方が種類も依頼も多いが、そっちに頼めるほどの依頼料を積めない奴等はこっちに声がかかりやすい。まぁ新人たちの体力作りも兼ねてあるからなちょうどいいって所だ。」
「あんまりたくさん受ける気はないので、丸太みたいな人力では難しい依頼を受けますね」
「おーお前さん、やっぱり賢いな。話が早くて助かる。それと、これからちょくちょくお前さんの魔法を見てやるつもりだが、攻撃魔法の火と雷は街中ではタブーなんだ。そうなると街の外での実戦稽古になるから、親御さんに一応伝えといてくれ」
「え、ギルドマスター直々に教えてくれるんですか?」
「正確には俺と今はちょっと隣町に行ってて居ねぇが、このギルドの副マスターとの2人でになるな。魔法は俺よりあっちの方が得意だから、外での稽古はあいつになるだろう。お前さんの魔法が暴走しない様に責任者が管理しなきゃならねぇのは確かだ。年齢なんかを考えてもお前さんの魔法の威力じゃそこらの奴らにゃ手に負えそうもない。所詮人だからな良い奴もいれば悪い奴もいるから気をつけろ。あと、チームの誘いなんかがあってもしばらく俺と組むって言っとけ。お前さんが組みたい奴がいるなら別だがな」
「、、、チームは今は特に考えてないのでありがたいです、よろしくお願いします。副ギルドマスターはどんな人ですか?」
「だろうな。ああ、名前は『リース』お前さんと同じ全属性持ちで、火と水と聖魔法が得意だ。冒険者だったころは主に回復役と後方支援だな」
「もしかして同じチームだったとかですか?」
「あぁ、ここの奴らは大抵知ってるぞ。下の買取口にいる『カール』はリースの兄貴で俺の現役時代の仲間の1人だ。あいつは主に【盾術】が使えて前衛だったな」
「、、、なるほど」
「まぁそんな所だ。」
「あ、そうだ、もう一つ聞きたかったんですけどランクをEからDにするには30回依頼をこなすって事でしたけど、木工ギルドの依頼って1回扱いですよね?定期的に受けるつもりなんですけどEランクに留まってもいいんですか?」
「確かにその依頼ばかりやってると上がっちまうな。でもあの依頼はお前さんくらいしかやれないし、、、そもそもランク上げたくないのか?」
「いえ、出来れば12になるまではこのままでいようかと。あまり目立ちたくなくて、、、それと冒険者ギルドに入る時に父と12歳になるまではあまり外の依頼は受けないと約束してまして。けどギルドマスタークラスの人が付いてきてくれるなら父も分かってくれると思います」
「あーまぁ、とりあえず止めることはできるぞ。お前さんがDに上がりたい時に上がればいいが、ずっとは無理だな。12歳までに真面目にやればCにはなるだろうよ。目立ちたくないと言うがしばらくは噂の的だろうな。昨日の地下にいてた奴らにも口外するなとは言ったが、時間の問題だしな。カールにはもう話してあるからもし変なのに絡まれたらここまで逃げてくるか蹴散らして警備隊に突き出すかしな。」
「蹴散らすって、、、」
「スキルがなくても護身やいざって時に体力がなきゃ冒険者はやってられんからな。そこら辺は俺が鍛えてやる」
「...お、お手柔らかにお願いします」
腕を組んで獲物を、、、いや、おもちゃを見つけた様な怪しい顔をしないでもろて、、、、、、。
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