ドワーフのダリアス
今日は母に頼んで東の露天に連れて行ってもらいます。
まぁアルバイトした理由も知ってるからお願いしたらすんなりOKもらった。
母と2人で目ぼしい物を探す。さて、スキルの使い所だ
「【探索】工具」
兄にスキルの練習としてたまに【モノ隠しゲーム】を手伝ってもらってたからちょっとずつ良くなってる。あれからわかった事だけど、CからBに上がるのってめちゃくちゃ難しい。毎日使ってる水魔法と土魔法もなかなか上がらなくて2年くらいかかった気がする。今の【探索】スキルはC−半径30メートル以内の範囲の中で感知可能だ。あまり反応を見せないので母と歩いて行く。母は気になった果物やらに反応して露天で買い物したりしている。ぶらぶら歩いていると隅の細い路地あたりに何かが引っかかった。
「母さんちょっとあっち見に行きたい」
近づくと机に3点だけ置かれた本当に露天か?と疑いたくなる様な簡素な机。細い路地の手前にあるから見逃してしまいそうだ。
露天?の店主はどっしりと椅子に座ったまま動かない。背は150センチほどで毛むくじゃらの髭が生えていて紐か何かで先を括っている。帽子を目深く被ってムッキムキの腕を組んでいる。母はあの時と同じで「ここでいいの?」と目で語りかけてくる。
とりあえず一歩離れたところから机の上を見る。さっきからめっちゃ主張して来るスキルを一旦止める。
【鑑定】スキルで工具を見るまでもない。
これは鉋だ。露天で見つからなかったら工具を扱ってる大店を探さないとなと思ってたから鑑定先生次第でここで買おう。
【鑑定】鉋
ドワーフの一流鍛治師『ダリアス』が2年前に作った鉋。
品質:上だが本人が気に入らないためボツ作品として出店
【鑑定】鋏×2本
ドワーフの一流鍛治師『ダリアス』が2年前に作った鋏。
品質:上だがデザインが気に入らないためボツ作品として出店
ひぇ!初めて見たよドワーフ!もじゃもじゃだ!
てか一流鍛治師って何!?しかし初めましてで俺みたいな子供が「一流鍛治師のダリアスさんでか?」なんて聞けないしなぁ、、、
「、、、おじさん、この鉋見てもいいですか?」
「なんだ坊主、ひやかしか?」
「いえ、今度兄が木工職人として成人するのでお祝いの品を探しています。」
「、、、やたら綺麗な言葉使いだな。お忍びのお貴族様にゃうらねぇよ」
うっ鍛冶師って礼儀知らずだーって怒られるイメージあったけど逆に警戒されてしまった。
「...貴族でも木工職人になる人いるの?平民だから普通に話していい?これ、凄くいいモノみたいなのにここで売っていいの?あとこれ、おじさんが作ったの?」
「...まぁ、ならねぇわな。悪かったよ。こりゃあ俺が作ったもんだけど、上等のもんじゃねぇし、納得のいく出来じゃねぇから売りもんに出せねぇでいたんだがいろいろあって売ることにしたんだ。」
臨時収入目当てか。お高い気がする。
「、、、おいくらですか?」
「いくら持ってる?」
あの彫刻刀、見習いの出来栄え中で銀貨5枚だった。本職の、しかも一流のドワーフが作ったものとなると、、、
「すみません、銀貨8枚が上限です」
「、、、成人祝いの品だろ。それでいい。持ってきな」
「え、普通もっと高いんじゃ」
「いいさ。直接売ることなんざもうねぇだろうし、もともと売りに出すつもりもなかった品だ。先に言っとくがこれを作った時いろいろあってよ、、、本来の出来じゃねぇ。でも安心しろ、そんじょそこらのやつよかマシだ。」
「ありがとう!おじさん!」
俺も中身おじさんだけどな!めっちゃいい人!!
銀貨8枚を払うと何とちょうど収まる箱に入れてくれた。
俺も良い物が買えてテンションが鰻登りである。母も自分で探したいからって言う意志を汲み取ってやりとりを見ていてくれた。
そのままるんるんで家に帰る。アイテムボックスに入れた鉋を渡す時が楽しみだ。
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