アフターハートⅡ
「えー! なにそれ! リリねぇ、恋しちゃったの! マジ!?」
「まさか、うちのお嬢に春がやって来るとはな」
「マジで、ドンピシャな子。全部がタイプなんだけどさ、まだ80点くらい」
「えぇ~、じゃあ、低くな~い」
「違うんだって。これから上がるの。今日戦っただけで伸びヤバかったから、次会った時は多分発狂しちゃうかも」
「それで相手側に恋人とかいたら、激熱なんだがねぇ」
「えー、どうだろう? いるのかな? でも、滅茶苦茶魅力的だし、他の女が欲しがってもおかしくはないわね」
「で、その少年ってなんて名前だっけ?」
「唯野憐太郎様!」
「唯野……? 憐太郎……?」
「どうしたの? いや、聞いたことのある名前だと思ってな。……あ、そうだ! 今日、池袋であった奴がそんな名前言ってたわ。カプ厨殺しのクラスメイトがいるって」
「じゃあ、その人に聞けば、憐太郎様のプライベートが分かるの!? 今すぐ連絡をとりなさい! というか、連絡先持ってるの?」
「SNS交換してきたからいける」
「よし、すぐに送りましょ。まずは彼女がいるかどうか……」
そのガールズトークをしばらく見ていたアイズは。
「「ちょっといい加減にしてもらっていいですか!」」
キレた。
「って、あれ? システィじゃん」
そして、被った。
アイズの真後ろに立っていたシスティと声が被ってしまったのだ。
だが、そんなのを気にしなかったシスティが先に部屋に入り、彼女たちを問い詰めだした。
「まず、クリームヒルト! あなたは作戦無視して何をやっていたんですか!?」
「池袋でバトってた」
「意味が分かりません。あなたのターゲットはプリムラだったはず。どうしてどこの誰かも分からない相手と戦っていたんですか!? しかも、相打ちだったそうじゃないですか!」
「ちょっと譲れないものがあったんだ。仕方ないだろう」
「だからって、ハートの最高戦力がそう簡単に負けては私たちの品格に関わります!」
「だって、強かったんだ。仕方ねぇ」
「一応言っておきますけど、あなた。あのままでしたら確実に勇者軍に捕まっていましたよ? うちのリザーバーが先に到着したからよかったですが。かなりやばい状況で会ったことは分かっているのですか?」
「後悔はしていない。でも、反省もしていない」
「せめて反省はしてください!」
「ぷぷー、ヒルトンパイセンざっこー。負けちゃったのー? 相手、ただの一般人だよね? よっわー!」
「いや、彼女は強かった。それだけだ」
「え? なに? 認めちゃった感じ? ヒルトンパイセンが? ま?」
「連絡先も交換した」
「友達じゃん!」
「はぁ~……」
システィはクリームヒルトの報告を聞いて、大きくため息をついた。
「それで、クリームヒルトを煽ってるところ悪いですが、エリザベートは何をしていたのですか?」
「っ!」
トーンの下がった冷たい声で名前を呼ばれたエリザベートは肩を小さく揺らす。
「なにって、言うか……その~……」
「神代梗夜に負けたと聞きましたが。あなたが負けるような相手とは思えませんが」
「あ……うぅ……い、いや……それだけは……やめて……」
「エリザベート?」
何かを思い出したかのようにエリザベートは頭を抱えながら、うずくまり震え出した。
「何かに怯えているようですが、知っている人はいますか?」
「ん~、なんかー、エリーが負けた後、辱められたらしいよ?」
「そうですか。……は、辱め!?」
「ああ、なんでも動けなくなったところに、クラブジャムンを無理やり口に突っ込まれたらしい」
「そんな、彼女はまだ10歳ですよ。それなのにいかがわしいことなんて……なんて? クラブジャムン?」
「あれ? システィ知らないの? 人間界で一番甘いスイーツだって。確かインドのお菓子だったかな」
「こいつ、甘いものは吐くほど苦手だからな。相当メンタルに来たんだろう」
「………」
システィは呆れて声も出ない。
仮にもハートの数札であるのだから、そんな無様な真似はしないでほしかった。
「では、最後にクリームヒルト。あなたの報告を聞きましょう」




