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大王は神にしませば  作者: 赤の虜
第二章 王立術理院
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第四十一話 武舞祭②

 武舞祭での戦闘スタート! 最初はあまり、あっさりと終わります(; ・`д・´)

 


 開会式が終わり、第一演習場に集まっていた出場者達が解散し、続いてトーナメント表が公開される。


 一年の部は、大きくAからDの四ブロックに別れており、タムマインがAブロック、カリムがCブロックであった。一ブロックあたり五人が割り当てられ、ブロック毎に二人、一試合多くなる形となっている。

 具体的には、多くの選手が四試合で優勝できるのに対して、一ブロックに二人ずつ、つまり、八人の選手は五試合を勝利することで優勝することができる。

その低確率であるはずの割り当てに、カリムとタムマインは選ばれており、流石にカリムも呟かずにはいられなかった。


「トーナメント表は公正に割り当てられているなんて噓に違いない。一試合多い生徒は家名がないのを見るに、全員平民じゃないか」


 呆れるカリム。いっそ平民で選ばれたものには一試合多くなると先に言ってくれていた方が、よほど気分が良いと思う彼だったが、声を上げて抗議する気にもならなかった。


「まあ、優勝を目指しているんだ。一試合増えようと勝つ生徒は勝つんだろう」


 先ほどの三年の誓いの言葉だが、それを言っていたのは前年度の武舞祭二年の部で優勝した平民らしい。その生徒はタムマインが所属している部活動、武人の集いの部長も務めているらしく、カリムを話には聞いていたのだ。

 平民の生徒でも実力で優勝している生徒がいる。そんな前例がいることを知らされては文句ばかり言っている場合ではないと思うカリムだった。

 カリムの試合は第三試合だ。あまり王都を散策する時間はないだろう。

 トーナメントは一試合多く試合をする生徒に配慮するため、まず一試合多い生徒の試合を全て消化してから、順次Aブロックから試合を進めていく予定となっている。

 また、試合は丸一日を使って決勝まで行ってしまうので、生徒達はただ勝利するだけでなく、疲労を蓄積させない立ち回りが求められる。怪我をした場合には治療術式を施してもらえるけれど、深手を負った場合などは生徒の安全を考慮して棄権させることが一般的なので、やはり優勝を目指すにはスムーズに勝ち進めていく必要がある。

 

 初戦はカリムの友人であり、今回はライバルでもあるタムマインの試合である。

 選手用に設けられた第一演習場内の席に座って、カリムは観戦する。

 理術学派の協力の下、円形の石舞台が武舞祭のためだけに設けられ、被害が観客席に及ばないよう、対物理結界と対理術結界が石舞台の周囲に設置されているので、場外での敗北といったルールはない。完全に勝敗が決するまでは試合が続く仕様になっている。

 武器は木剣を使用する決まりになっているけれど、生徒の中には『風刃』のような木剣に風の刃を纏わせて攻撃できる刻印術式を持っている生徒もいて、毎年怪我人が絶えないのだが、治療術式によって即座に大量の出血を伴う怪我であっても治療できる体制を整えているので、実戦に限りなく近い戦いが繰り広げられる。

 もちろん、意図的に致命傷を与えるように攻撃は禁止されているので、出場者は相手の力量を見極めながら力加減を変えなければならない。

 時間制限は設けられていない。しかし、明確に遅延行為や無駄に時間だけを浪費する行為には審判から指導が入るようになっている。

 審判を務めるのは現役の王剣百士。このためだけに毎年王の懐刀を呼び出しているのだから、流石は王都の最高学府と言えるだろう。


「しかし……多いな。……やはり王がいる場所にはこれくらいの護衛はいるものなんだな」


 視線を上下左右に動かすと、至る所に王剣百士だと思われる強者達が点在している。また、王のいる貴賓席の周囲ともなれば常に五人は脇を固めていた。


 少し時間を空けて、タムマインの試合が始まる。

 対戦相手は平民のトッポという生徒だが、カリムは聞いたことがなかった。

 とはいえ、カリムは基本的に情報通というわけでもないから、彼が知らないからといってその生徒が弱いという結論には繋がらないのだが……。

 試合はすぐに決着がついた。

 トッポが人一人くらい呑み込めそうな大きな水球を素早く作り上げ、発射するも、タムマインは青白い光を身に纏い、木剣を一閃するだけで水球を吹き飛ばしてしまう。

 カリムは『身体強化:青珠』を発動したことを察して、対戦相手に同情した。


「半端な刻印術式なら力で相殺してくるからな。本当に厄介な奴だ……」


 渾身の一撃をいきなり無効化された相手は焦り、拳大の水球を続けざまにタムマインへと放っていく。

 しかし、タムマインは避けようとはせず、のしのしと確実に距離を詰めながら、木剣一振りでまとめて三つから四つの水球を切ったと同時に吹き飛ばしていく。

 至近距離まで詰められて、どうすることもできなくなったトッポに、タムマインの木剣が横薙ぎされて、胴に一撃。

 審判はトッポが気絶したことを受け、タムマインの勝利を告げた。

 観客が湧く。

 タムマインの戦い方はゴリ押しそのものだったが、見ている分には見映えするものであったが、カリムは『身体強化:青珠』という力を全面に押し出して戦い方に依然として対応できていないので、苦しい表情となっていた。


「まったく……創意工夫でどうこうなるのか、あの筋肉馬鹿め」


 カリムの試合は第三試合なので、すぐに選手用の控室に移動する。

 係の教員に出欠確認をされ、待機するよう指示を受け、少しすると出番がやってきた。

 対戦相手はギブスというらしいが、カリムはもちろん知らない生徒だった。

 ニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべる顔色の悪い男子で、線の細い生徒だ。


 ――試合が始まる。

 開始早々、腕の甲にある幾何学模様を発光され、ギブスは刻印術式を発動。ギブスの印象とは違い、猛烈な勢いで距離を詰めてきて、接近戦に持ち込もうとしてくる。

 それに合わせて、カリムも『身体強化:黒珠』と『見通す目:黒珠』を発動して様子を見る。濃霧は発動しない。仮に相手の刻印術式に有利に働く可能性を考慮して、発動は見送る。

 刻印術式を発動して、ギブスを見ると彼の姿がぶれてしまい、すぐに見えなくなった。

 一瞬、瞬間的な移動を疑ったカリムだったが、見覚えのある現象だったこともあり、すぐに考えを改める。

 カリムの『見通す目』には濃霧の中でも視界を良好にする効果がある。それ以外にも、幻術に対しても効果をある。そのことをカリムは演習の授業で自分の刻印術式を調べていく中で学んでいた。

 そして、『見通す目』の検証の中には幻術を見破れるかという検証を含まれており、ちょうどそのときにこのような形で視界がぶれて、看破することができたという経験があったのだ。

 だからこそ、カリムはすぐに視線を巡らせて、側面から勝利を確信した表情で、木剣を振り下ろすギブスの姿を発見することができた。

 幻術によほど自信があるのだろう。ギブスは油断しており、隙だらけだった。


「いいのか? 見えてるぞ?」


 カリムはジュリアンとの模擬戦以降、魔素への干渉能力が向上したことにより出力が白珠レベルまで上昇した『身体強化』で容易にギブスの懐に入り、木剣で腹部に叩きつけた。

 審判がカリムの勝利を告げて、呼吸を整える。

 時間にして、一瞬ではあったが備えていなければ、もっと言えば『見通す目』がなければ確実に一撃はもらっていたかもしれない状況だったと、カリムは肝を冷やした。


 

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