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先ず、愛されなさい。それが、愛です。

作者: 小財 明

2016.夏、統合失調症で入院中、朗の食べていた卵のいり卵が味が落ちた。食事の席の向かいに座っていた詩所(しどころ)さんがすごくショックを受けていた。朗もこの世の終わりかと思った。世界を救うはずだった魔の山の患者のための卵だったからだ。朗は今45歳、強制入院は今度の入院で三回目になる。今回の入院では看護師に月給と年収を訊ねてひどく嫌がられた。頭は白髪で満ちており、住んでいる、えた・非人が、天皇の血脈が住んでいた舞梶市の須屋、皮剥ぎを生業としていた人達が同居していた町にある御代志という地域には恨みしかない。無論、親に対してもである。入院中食べた卵はあんなコンプレックスにまみえた、いり卵にはもう出会えない気がする。卵はどこで仕入れてくるのだろう?善良なおんどりとかいがいしいめんどり、そして産み出される

「たまご」。食べる側が恨み辛みを精神病院に抱く限りは、おんどりもめんどりも卵もすごく不幸である。私の白髪は生涯消えないだろう。

「私を自由の卵にして、魔女の大乱における、そしてこの強要による教養実践の場としての精神病院をもうやめさせて。」 白い巨搭では今日もプチ魔の山が行われています。


精神科の歴史という本があったら学んでみたいと朗は少し思った。今回の入院から少し思った。元々、真面目な朗はそう思った。


デリダの脱構築。非構造主義のフランスの哲学者、デリダの主たる哲学思想である。「エクリチュール」も有名。朗が視点を変えれば、構図と言うものは、全く違ったものにも姿を変えていくかもしれない、あるいはその可能性に気づく、気付けるということに退院後気づいたのは最近である。


「牢獄と監獄」は力関係を表すミシェル・フーコーの「知の考古学」に記載されている対立構図モデルである。


監獄側が、視線により、牢獄側から攻撃を受け、弱体化していくという構図である。


その構図自体は弓削病院第5病棟にも当てはまるのだが、それは第5病棟が長期入院型の病棟で、入院患者それぞれの「事情」があり、生活の場であるからである。朗はあそこには二度と戻りたくない。毎日地獄だからである。


野田病院第五病棟の看護師師長の白門は患者に暴力を振るい、主任の大川は言葉の暴力で、つまり業務の会話で、「精神病」にかかっている患者を一歩一歩精神的、心的に追い詰めていく。やたら攻撃的な看護師が多い中、朗の味方は、本が好きな山川という女性の看護師だけだった。


感情、というか心の優しさが全く看護師には見受けられないのである。


「看護師」にもあるで関わらずにである。


だから、朗は途中から、「嫌だな」と感じた。病棟内、と言うか今回の入院から強くそれを感じた。退院してからも、それを強く強く感じた。


「皆に感情がない」。


魔族の構造転換に掛かっていて、偽の優しさに掛かっているのは、寧ろ、本勢力側かも知れず、現代のえた・非人は案外、天皇に従卒する正義の使徒は、案外、貴女を守るナイト、佐藤亜紀を愛書とする読書人かもしれませんよ、図書館司書職の水亜さん。


愛ですよ。小説に必要なのは、愛と狡猾さですよ。悪魔があなたの元を訪れたら、先ず「名前」を尋ねなさい。


佐藤亜紀学派の一員として、ここに記す。


自転車に乗らないこと、もし愛する女性を、戦って守りたいなら、佐藤亜紀先生の『戦争と法』他、小財明のつまり、朗の『読書リスト、第一弾』を読んで、至急読んで、大魔法戦争に参戦されたし。ただし、強く真剣に言っておくけれど、自己責任で。


まろびでる息、早足で駆け抜ける近所の子供の姿を見た時、瞬間に、朗の視覚イメージに、自分の子供たちが浮かび、朗は、戦う決意をした。


be,loved. It is love.


先ず、愛されなさい。それが、愛です。

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