青と黄の剣士
意識が戻ったのを感じると、隣からすぐ声が飛び込んできた。
目覚めたのは病室だった。
「雄貴、、、!」
声は優しく、それでいて興奮気味だった。
声の方を向くと葵がいた。
よく見ると目は潤んで、滴が点々と溢れている。
「雄貴、、。よかった、、、、。」
涙で震えた声で、葵は呟いた。そのまま、僕の腹に布団越しに伏せてしばらく泣いていた。
「ごめん。心配かけて」
素直な気持ちで葵に言った。
「いいよ。助かって良かった」
「もう無茶は程々にするよ、、、。」
僕が言うと、葵の表情が緩んだ。安心したようであった。
「そうだ、助けてくれた人にお礼言わないとな」
追い詰められて死ぬ事を覚悟した時、僕はひとりの女剣士に救われた。彼女は、確か青と黄色の鞘が特徴のサーベルを持っていた。
「これ。助けてくれた人が今泊まってる宿だって。私達と同じで旅してるらしいよ。」
そう言って、葵は持っていたメモを取り出した。疑問がひとつ。
「そっか。でもなんで葵が知ってるの?」
「聞いておいたんだよ。雄貴が回復したら、お礼に行きたいと思うだろうって思ったから。」
「そっか、ありがとな」
僕が言うと、やはり彼女は恥ずかしそうに微笑んだ。礼を言われて嬉しそうであった。
彼女の気遣いに、素直な感謝の気持ちが湧いた。
僕が気を失った後の戦いがどう展開したかは、それからも戦い続けた葵から聞いた。魔物は、自らの命が危うくなると能力が高まる「遅開花」という能力があり、それによって動きが途中で早くなった。
それで、僕を含む初級の剣士は尽く危機に陥った。
だが、討伐隊の隊長や僕を助けてくれた女剣士を始めとする前衛隊の活躍でなんとか勝利を収めたらしい。
目的の薬草は無事に収穫出来たという。
しかし、一度に収穫出来る量が限られているため、航海中に必要な分量を取るまで航路は再開出来ない。
出発までに、助けてくれた彼女にお礼を言いに行かねば。
「私もここにいていい?」
唐突に葵が言った。応じて僕が葵を見ると
「あ、まずかったら宿とるよ、、、。」
と、慌てた様子で付け足した。
彼女が慌てたのが何故かは察しがついた。まだ僕を振ったことを気にかけているようだった。僕にとっては、もう元恋人というより旅の仲間であるから、病室にいてくれていいのだが、、、。
「いや、いいよ」
「あ、ありがと、、、。」
控えめに彼女が言った。
橙色の光が差し込む、静かな病室だった。




