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追憶の温泉ホテル  作者: Kidney Yaponskiy
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2.兵共の夢

 それにしても今日は酷かった。同時に何個の仕事が流れていたのだろう。

 家に着いたら早速眠りたい。叶わない夢だが。


 バブル絶頂期に結婚した妻は、バブルが終わったことが分からない。

 会社の金で夜遊びしたり、接待でもてなされているのが仕事だと勘違いしている。

 会社で遊んでいる訳だから、家事を手伝い子供の勉強を見ろというのは当然だろう。


 ある意味一番幸せな時に主婦になった訳だから、再び会社勤めするのは難しい。

 ギャップを乗り越え、気持ちの切り替えをするには難しい年齢になってしまったからだ。


 当時、頭の切り替えが出来なかった奴は、もうどこにも残っていない。もし、そいつが役員だったら、その会社を潰してしまっている。

 バブルは人を狂わせ、その人の人生をも変えてしまった。いい思いをしてきたと言われても仕方ないが、それは考え方だ。


 生き残った奴は、世の中の出来事を見分ける、不思議な力を持った。おかしいこと、おかしくないことの違いがなんとなく分かる。おかしいことに遭遇すると脳が警鐘を鳴らす。ほんの少しの違和感でも冒険と感じてしまう。


 反対に見分ける力がない奴は、漏れなくバブル被害者となった。例えば社員旅行を企画する人種だ。一旦贅沢に慣れてしまうと貧乏に戻ることが出来ない。生活レベルが下がることが何より恐怖なのだ。


 ご時世だからと言ってしまえば身も蓋もないが、それでもこうして暮らしているだけ幸せか。


 体が悲鳴を上げている。

 休みが欲しい。

 何かに癒されたい。


 ふと中吊り広告が目に入る。旅行雑誌の記事だった。


(温泉か、もう10年は行ってないな。小学生の娘は幼児のときに連れて行っただけだから、温泉で寛ぐなんて文化は全く理解不能だろう。

 温泉の入り方さえも分からず、このまま大人になってしまうのか。廃れてしまう文化なのかも知れないが、せめて1回でも経験させてやりたい。)

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