2日目
※この物語はフィクションです。
実際の人物、団体等とは
一切関係ありません。
朝、目覚ましの鳴る5分前に起きた。
(5時55分か。)
せめて6時まで寝かせて欲しかった。
早起きは三文の徳と言うが、そんなことはない気がする。
ちなみに冬瓜はいつも、だいたい俺の10分前には起きているらしい。恐ろしい子だ。
一階から料理の音がする。朝からご苦労なこった。階段を降りると、料理をする冬瓜が見えた。
俺「おはよ。」
冬瓜「あ、お兄ちゃんおはよ!」
朝から元気で羨ましいぜまったく。
歯を磨き、朝食を食べ、学校に行く支度をする。家を出て、最初の角で妹とは別れる。
(学校か、。)
非常に行きたくない。あんな騒がしい所、いるだけで鼓膜が破れそうだ。
さらにはしつこい人気者達。
もういっその事死んで生まれ変わろうかなとも考えた事はあるが、それでもおそらくダメだろう。
というのも、死んで生まれ変われる時点でその人生も主人公だろうから。
アリス「おーい!蒼輔くーん!」
もう来たのか。昨日知ったんだが、どうやら琴島さんの家は俺の家の近くらしい。どうしてこうなったんやら。
俺「あー。琴島さんおはよ。」
アリス「うんおはよう。それよりまだ名字呼び?名前で呼んで欲しいな。」
俺「無茶言うな。人気者の琴島さんを名前呼びなんてしたらさらに目立ってしまうじゃないか。」
アリス「あー。そういえば蒼輔くんって目立ちたくないんだっけ?何で?」
俺「え、えっと、それはな?」
柄にもなく動揺してしまった。
主人公気質に関係する事は言えないし、かといってそれ以外の理由も思いつかない。どうしたものか。
(とりあえずここは少し濁して答えるか。)
俺「まあ理由は色々あるんだか(一つしか無い)、シンプルに注目の的になりたく無い、的な。」
アリス「そっかー。なんかもったいないな。」
俺「そうかな?」
よし、上手く切り抜けたぞ。ちょうど学校に着いた。
俺「ほら、もう着いたよ。」
アリス「あ、春香ちゃんだ!」
(また面倒くさいのを見つけやがって)
アリス「おーい!春香ちゃーん!」
春香「あ、アリスちゃん。それに荒井くんも。おはよう。」
今のうちに逃げようかと思ったが、後ろから魔のオーラを感じてしまった。
光沢「おー。蒼輔。朝から両手に花ってか?」
俺「ふざけるな。」
少し殺気が漏れてしまった。光沢は苦笑いをして春香達の方へ歩き出す。
朝から全員一緒とは、俺も運がないな。今度こそと、その場を離れようとした時だった。
恵美「おはようございます!荒井さん。」
俺「...。」
声も出ないほど絶望的な状況だった。
もういいやと、俺は重要人物を無視して教室に向かった。
俺「はぁ、」
思わずため息をついてしまった。
頼むからこれ以上騒がしくならないでくれ。そう思ったのが、間違いだった。
モブA「そういえば今日1年に転校生来るらしいよ。」
(!?)
モブB「マジかw。昨日一人転校して来たばっかだっつーの。」
なに草生やしてるんだボケ!
転校生だと?昨日来た奴のキャラが弱くなるだろ!なに考えてるんだ校長は。
まあ1年なら大丈夫...なわけない!
終わった...。もう、死んで新たな主人公ライフを送った方がマシ、いや、止めておこう。死んでいい事なんてない。
しかしどうしたものか。
そんな事を考えていたら、一時限目が始まってしまった。
ーーーーー時が流れて昼休みーーーー
この時間が嫌いだ。大体のイベントはこの時間に起きるからだ。
ガラガラガラ
???「あの〜。」
モブA「あ、君は噂の転校一年か。」
モブB「可愛いね〜。お昼、俺たちと食べない?」
いいぞモブB!そのまま強引にでもそいつを連れて行け!
転校生2「あ、いえ、私このクラスにいるっていう荒井さんに会いに来たんですけど、居ますか?」
モブA「何だ。また荒井案件か。チッ。」
モブB「荒井 蒼輔ならあの、人気者三人組の中だよ。」
転校生2「あ、ありがとうございます!」
モブB、許すまじ。あと荒井案件てなんだよ。それよりもまずい事になった。予想通り、転校生がこっちに向かってくる。
(ハッ!そうだ!)
俺はとっさに、光沢を前に押す。
光沢「お、おい、何を。」
俺「頼む!俺の代わりになってくれ!」
光沢「なんだよまったく。仕方無えなー。」
光沢が俺を演じてくれれば、俺は晴れてモブCになれる!
蒼輔(光沢)「よ、よお。俺に何か用か?」
転校生2「貴方が噂の荒井さん?なんか思ってたのと違う。思ってたほどのイケメンじゃないし。」
蒼輔(光沢)「なんだとー!俺が蒼輔よりブスだってのか!?」
俺「お、お前、バカ!」
転校生2「え?今なんて?」
俺「い、いや、何でもない。蒼輔はちょっと頭の方がおかしいんだ。気にするな。」
心が痛い。
転校生2「ふーん。そーなんだー。」
なんだこの反応。まさか!
転校生2「そんなんで騙せるとでも思ったんですか?荒井先輩♡」
何ハート付けてんだよ。
転校生2「やっぱり貴方が荒井さんだったんですか。かっこいいと思いました。」
俺「何言ってんだよ、、。で、俺に何か用か?転校生2(ツー)」
転校生2「何ですか転校生2って!私にもちゃんとした名前があるんです!」
俺「あーはいはい。それより何のよ、、」
転校生2「もー怒りました。荒井さんが名前で呼んでくれるまで話しません!」
面倒くさ!何だこいつ、話さないならそれでいいんだけど、まあ周りの視線が何故か冷たいから付き合ってやるか。
俺「分かった分かった。じゃあ、名前教えろ。」
転校生2「はい!私、琴島 シーナと申します。」
俺「え?お前、それって、」
シーナ「はい!姉が世話になってます。琴島 アリスの妹です。」
転校生2人が姉妹とは、ほんの少し驚いた。このタイミングで教室にアリスが帰ってきた。
アリス「な、何でシーナがここに?」
シーナ「お姉ちゃん知らなかったの?お姉ちゃんがこの学校に転校したって聞いて、着いて来たんだよ。」
アリス「でも、今日転校して来たばかりのシーナが、何で蒼輔くんの事を知ってるの?」
シーナ「質問が多いよ〜。まあいいや、答えてあげる。」
ガラガラガラ
光沢「あ!蒼輔が逃げた!」
(余計なことを言うんじゃない!)
話に微塵の興味も湧かなかった俺は、急いで屋上に向かった。
(ふぅ...。)
危うくお昼を食べ損ねるところだった。危ない危ない。
屋上にはほとんど誰も来ないし、落ち着いて昼飯を食べられるはずだ。
ガチャ
(!?)
春香「あ、荒井くん。ここにいたんだ。」
俺「あ、ああ。」
春香の事を忘れていた。元々この昼飯スポットを教えてくれたのは春香だったんだ。
春香「あれ?琴島さんたちは一緒じゃないの?」
俺「ああ。今噂の1年転校生いるだろ?そいつが琴島さんの妹だったんだよ。で、光沢と琴島さんが彼女の話に夢中になってる間に逃げて来たってわけ。」
春香「なるほど〜。解説ありがと。それよりさ、私もここで食べていい?」
俺「え?まあ、好きにしたら。」
春香「うん!じゃあ好きにするね!」
本当は1人で静かに食べたかったんだが、まあ1人ぐらい増えても問題ないだろ。
と、思っていたのだが、、、
「それでね〜その時恵美ちゃん何て言ったと思う?」
「ねえねえ、荒井くんは何か好きな物とかある?」
「荒井くん兄弟とかいるの?」
うるさい。忘れていた。春香は2人の時質問がやけに多いのだ。あと、何処かで聞いたことのある名前が出てきたんだが、何だっけか。
春香「ねえ荒井くん、聞いてる?」
俺「ああ聞いてる聞いてる。で、どの質問が一番気になってる事なんだ?」
春香「全部答えてくれればいいのに、ケチー。」
そうだった。春香は2人になると若干キャラが変わるんだった。
春香「そうだな〜。やっぱり、荒井くんの家庭事情かなぁ。」
俺「後悔しても知らねえぞ。」
春香「???」
俺「うちは、両親が2年前に2人とも死亡。今は2歳年下の妹と一緒に住んでて、3歳年上の姉は別居だ。」
春香「...。」
俺「これでいいか?」
春香「え、あ、う、うん。何か、ごめん。」
一気に静かになったな。でもまあラッキーだ。
これで静かに食べられ、
キーンコーンカーンコーン
俺は春香にあんなに詳しく語った事を後悔した。
そして春香もまた、2つの意味で後悔した。
ーーーーー飛んで放課後ーーーーー
キーンコーンカーンコーン
俺はすぐに隣のクラスの「重要人物」に会いに行った。本来なら俺から進んで人に会いに行く事は絶対にないのだが、あいつとはちゃんと話さなければならない大事な話があるんだ。
ガラガラガラ
俺「あの、花蜜さん居ますか?」
恵美「あ、貴方は荒井さん!わざわざ会いに来てくれたんですか?」
俺「...お前まさか、昨日の話の事忘れたんじゃないだろうな?」
恵美「わ、忘れるわけないじゃないですか。それより荒井さん、」
俺「な、何だ?」
恵美「荒井さんが居ると色々大変な事になるからもう行きましょ。」
俺「?あ、ああ。分かった。」
ーーーーーーお店にてーーーーーー
恵美「それじゃあ始めましょうか。」
俺「ああ。まず、俺からの質問だ。」
恵美「はいどうぞ。」
俺「何でお前が俺の主人公気質の事を知ってるんだ?」
恵美「やっぱりそこですよね〜。というか、そこしかないというか〜。」
俺「いいから答えてくれ。気になって仕方ない。」
恵美「分かってますよ。ええっとですね、実は私には姉がいまして、その姉の友達が偶然にも荒井さんの姉だったわけです。」
俺「でも身内には話さないように言ってるぞ。」
恵美「焦らないでください、荒井さん。ちゃんと説明しますから。きっかけは、姉と学校の話をしている時でした。その中で友達の話が出てきた時に、姉から荒井という名字が出てきたんです。私こう見えて暗記力あるんですよ、それで学校にも荒井さんがいるのを思い出しまして、お姉さんが遊びに来た時に聞いたところ、弟さんだったわけです。そこで私、ついつい調子に乗っちゃって、何であんなに人が集まるのか聞いてしまったんです。
ふぅ。」
少し疲れたのだろう。話し続けているからな。しかしそれよりも続きが気になる。
恵美「それでですね、その時のお姉さんテンションが高くて、つい口を滑らせてしまったのか主人公気質という物を言い出したんです。詳しい事も聞いてしまいました。その後我に返ったお姉さんは、絶対に誰にも言わないで欲しいって慌ててました。」
一通り話し終えた花蜜さんは飲み物を頼んだ。
俺「なるほどよくわかった。しかし犯人が姉だったなんて衝撃だ。」
恵美「あれ、荒井さん私のお姉ちゃんと荒井さんのお姉さんが友達だって事にはあまり驚かないんですね。」
俺「まあ、この世界は思ったより小さいからな。人間関係なんてどこでどう絡まってるか分からない。ちなみに花蜜さん、お前俺以外誰にもその事話してないよな?」
恵美「当たり前じゃないですか。私はそんな口の軽い女じゃないんです。」
俺「ならいいんだけど、、」
恵美「荒井さん、もうこんな時間ですよ。」
俺「本当だ。じゃあそろそろ帰るか。」
恵美「そうですね。あ、ちょうどお迎えも来たみたいですよ。」
俺「お迎え?」
???「おーい!お兄ちゃーん!」
俺「あ、冬瓜。どうしてここに?」
冬瓜「どうしてじゃないよ。今何時だと思ってんのさ、早く帰るよ。」
俺「お、おう。じゃあな花蜜さん。もう会わないでくれ。」
恵美「男子が女子にいう台詞じゃないですよ荒井さん。傷つきます。」
俺「悪い、妹がもう行っちまう。じゃあな!」
恵美「はーい!さようならー!」
冬瓜「お兄ちゃんあの人誰?何の話ししてたの?」
俺「何でもないよ。帰るぞ。」
冬瓜「うん、。」
何か忘れてる気がするけど、まあいいか。
恵美「あれ?私、荒井さんに何話そうとしてたんだっけ、、。」
家に着いたあとも、冬瓜は花蜜さんの事を少し気にしているようだった。
ーーーーーーー翌朝ーーーーーーー
ピーンポーン
(土曜の朝っぱらから誰だまったく。)
俺「はーい、」
ガチャ
???「久しぶり!蒼輔、冬瓜!」
俺・冬瓜「姉さん・お姉ちゃん!?」
今日からまた、さらに騒がしくなりそうだ。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
次の話は、思いついた時に書きます。
(人気の有無関係なく)