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魔王再生

「なあケンタ…… それは魔王のかけらだぞ」

「おにいちゃん、また魔王が復活しちゃうかも」


 シフォンとリズムが声をかけてきた。 

 彼女等が心配するのも無理はない。

 でも、急いで破片を集めないとこの子たちが消滅してしまう!


「吉原君。私も向こうの破片を集めてくるから……」

 そう言って篠原さんは犬型魔王の破片を集めに走っていった。


「やれやれ、マスターのやることにはいつも驚かされる……」

 僕のすぐそばでトーラも破片を集め始める。

「お前…… 大丈夫か?」

「マスターこそ大丈夫か? 酷い顔だぞ?」

 そう、僕は涙と鼻水が止まらずグシャグシャの顔になっている。

 でもお前程じゃないぞ、トーラ……


 チョコとミーコも手伝い始めた。

 あの2人は仔猫の時に民間のアニマルシェルターに保護されていた猫達だ。

 トーラほどの怖い記憶は無いはずだから大丈夫……

 と思っていたら甘かった。


 自分の仲間たちの辛い記憶に触れて、肩を震わして涙ぐんでいる。

 僕は2人をそっと抱きしめる。


「辛い思いをさせてしまったね。ごめん、僕の勝手な行動に付き合わせてしまって。そしてありがとう。僕の家に来てくれて。2人が来てくれてとても幸せな日々だったよ。トーラもありがとう!」


 僕らは現世での楽しかった生活を思い出して泣いた。

 しばらくすると2人は涙をぬぐって、

「ケンタさん、今の私にできることはこれくらいしかありませんから」

「私もミーコと一緒にがんばるから!」

 気丈にもそう言いながら破片集めを再開した。


 我々の作業中にも破片は猫の形に戻り、歩き回り、仲間と遊んで、消えていく。

 4人が精一杯努力して集めた猫型魔王の塊は、全体の半分にも満たなかった。


「吉原君、こちらの塊も一緒にして良いかな?」


 篠原さんがシフォンとリズムと共に犬型魔王の塊を運んできた。

 2体の塊を近づけると、ポヨンと自然に1つの塊になる。

 やがて、モコモコと茄子型になり、2つの耳がニョキッと出て魔王の形に戻った。

 体長は1メートルにも満たない、ミニサイズの魔王だった。


 僕と篠原さんは魔王の頭を撫でる。

 彼の身体に触れると次々に悲しみの記憶が脳裏に浮かんできて辛い。

 でも…… 彼は大きな赤い目を細めて気持ちよさそうにしている。

 

「この子たちを僕らで救ってあげられないだろうか?」

 僕はふと思ったことを口にした。

「私も同じこと考えていたよ、吉原君! でもどうしたら……」

「現世に戻ってこの子たちの里親になるとか?」

 僕がそんな突拍子もないことを言いだしたからだろうか。

 聞き慣れたあの人の声が背後から――


「吉原さん、それは無理な相談ですよ……」


 振り返るとイオリさんが立っていた――


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