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魔王討伐!

「篠原さん、僕の目には左は犬、右は猫に見えるのだけれど…… 目の錯覚でしょうか?」

「ううん、私にもそう見えるわ。魔王の体の成分がそれぞれに分かれたのね……」


 耳の形と顔の輪郭から、猫と犬の違いは一目瞭然だ。


「二手に分かれて攻撃しましょう。犬型は篠原さんの担当で」

「それでいいわ。犬側の後始末は私に任せて!」


 篠原さんは懐から両刀のような物を取り出す。しかし刃はついていない。

 それを右手に握って、パッと前に突き出すと……


『ジュパ――――ァ!』


 柄の両側から青白い炎のような刃が出現する。

 あれは魔剣に違いない。

 彼女はそんな強力な武器を今まで使わずに温存していたのだ。

 もふもふの町での犬耳軍団との決戦で持ち出されていたらひとたまりもなかっただろう。

 しかし彼女はそこでは使うべきではないと判断してくれたのだ。


「さあ、吉原君。いつでも行けるわよ!」

 女性勇者として格好良く宣言した。


「シフォンとトーラは左の犬型魔王に、チョコとミーコは右の猫型魔王にアタック! リズムは崩れた壁面をバリヤーで保護! いくぞー!」


 僕たち勇者はそれぞれの相手に向かって走り出す。

 ミーコはテレポートでチョコの背後に移動する。

「ファイヤー!」

 チョコの装備に内蔵された魔導具に火炎魔法をかけた。


『ザッ――!』


 僕は立ち止まる。猫型魔王まで15メートルの距離。

 足を広げ、両手で聖剣エクスカリバーを構える。

 この聖剣は極端に体力を消耗させる。

 先程の一撃が80パーセントの消耗、つまり残りは20パーセント。

 この距離なら絶対に外さない!


「チョコ、アタックだ!」

「はいっ!」


 チョコが助走を付けてから地面を『トン!』と蹴る。

 体長6メートル程の猫型魔王の頭上を余裕で越える。

 クルっと身体を回転させ、手足に装着した武具を一杯に広げる。


『シャァァァァァァァ!』


 猫型魔王は口を大きく開けて威嚇し、チョコに噛みつこうと迫る。


「ギガファイヤ――――!」


 その動きを読んでいたミーコの火炎魔法が炸裂。

 猫型魔王がその一瞬、怯んだ。


 チョコはその隙を狙っていた。 


「やぁぁぁぁぁぁー!」

   

 クルクルクルっと身体をねじるように回転させ、手足に装着した武具で魔王の頭を攻撃した。


「ケンちゃん、お願い!」


 チョコが魔王の頭を踏み台に更に高くジャンプする。

 同時にミーコはテレポートでリズムの位置に退避した。


 僕は残る力の全てを振り絞る。


「エ・ク・ス・カ・リ・バァァァァァァー!」


 力の限り振るった聖剣エクスカリバーは、洞窟内の壁をはぎ取りながら猫型魔王を切り裂いた。


 すぐにリズムがバリアを張り、洞窟の崩壊は食い止められた。


「吉原君――!?」


 篠原さんの方も終わったようだ。僕を心配して声をかけてきた。


「ケンタ、どうした?」

「マスター大丈夫なのか?」

「ケンちゃん、そのお腹……」


 あれ……? どうした? みんな慌てて……


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