無数の破片
チョコがくるっと一回転して着地する。
シフォンとトーラが駆け寄り、チョコを挟んで防御の姿勢をとる。
チョコも幸いにして無傷のようだ。
真っ二つに分かれた魔王だが、やはりこれで終わりではないようだ。
それぞれの塊がもぞもぞと動き始めている。
「よ、吉原君…… あ、あれは…………?」
篠原さんは魔王の本体ではなく、破片が無数に飛び散った地点を指さした。
魔王の身体から飛び散った破片は、一つ一つが子猫ほどのサイズ……
…………
…………!
「あの破片1つ1つが…… ワンちゃんとネコちゃんなのよ……」
篠原さんは口元を抑えて目から涙をこぼし始めた。
黒い破片は、1つの丸い塊に変わり、やがて手と足、そして尻尾と頭を形作る。
最後に耳がちょこんと飛び出して……
やがて、辺りをきょろきょろ見る仕草を始める。
近くにいる仲間の気配を察して、よろよろと歩き出す。
仲間とコツンと頭がぶつかると、互いにすりすりと身体をこすり合わせ……
「楽しそうに遊んでいるの、あの子達……」
篠原さんの言葉を聞いて、僕は魔王という存在の意味が分かったような気がした。
「あの子達は人間に飼われなかったというだけでなく、仲間とああして遊ぶこともできなかった動物たちです。今、初めて仲間と触れ合うことの楽しさを知ったのかも知れま……」
僕の目からも涙があふれ出し、言葉に詰まった。
リズムとミーコはその子達に寄っていく。
すると、甘えるように2人の足にすりすりし始める。
しかし、2人が手を差し伸べようとしたとき、
黒い塊達はスッと消滅した――――
2つに分かれた魔王の身体が、それぞれに復活していた。




