洞窟へ
途中犬耳軍団とも合流して魔王の住む山へと向かう。巨大な牛型のモンスターやヘビ型、トカゲ型などに苦戦するも、魔王が住む洞窟までたどり着いた。
途中で怪我をした者たちはそれぞれの町へと引き返させた。回復魔法にも限界があるためだ。ここまで到着した時点で猫耳軍団及び犬耳軍団共に人数が半分に減っていた。
「ここからは僕と篠原さんの勇者2人と、僕のパーティーメンバー5人で中に入ろうと思うのですがいいですか?」
そう篠原さんに提案すると了承してくれた。
狭い洞窟の中では同士討ちもあり得るし、そもそも洞窟を最終ステージになっている時点で少人数による制覇を想定しているように思えたからだ。
本来なら犬耳軍団からも最終メンバーを選定するべきなのだろうが、ここまでの間に僕と篠原さんの信頼関係も築けたようで彼女は信頼を寄せてくれている。
僕と篠原さんはパーティーメンバーを前にして、顔を確認する。
みんな気持ちが入っているいい顔をしていた。
「みんな準備は良いか? 何としても魔王を討伐して世界を救おう!」
「おう――――!」
チョコ、ミーコ、トーラ、シオン、リズムが右腕を掲げて一斉に叫んだ。
洞窟の中はひんやりとして、湿気を帯びている。
先導をトーラとシフォン、そのすぐ後ろにチョコと勇者2人、後方は魔法使いのミーコとリズムという布陣で進んでいく。
「ひーっ!」
背筋に落ちた水滴に驚いてチョコがトーラに抱きついた。
戦闘になると頼りになるチョコだが、普段はただの女の子なんだ。
シフォンがチョコをなだめている。
まるで仲の良い家族という感じだ。
魔王討伐を果たした後は、僕らの関係も変わっていくのだろうか……
やがて、大きな空間にたどり着いた。
学校の体育館ぐらいの広さがある空間の奥に、何かがうごめいている。
高さ10メートル以上ありそうな、真っ黒い物体……
「あれが…… 魔王…… かな……」
初めて見る不気味な物体に、篠原さんの声が震えていた。




