シフォンさんの剣さばき
イオリさんに散々お説教された僕は、意気消沈してダイニングに行く。
そこには何と、6人分の朝食が用意されていた。
シフォンさんとリズムがニコニコ笑顔で食卓に着いていた。
まだ夜が明けぬうちに到着して、あいさつがてら朝食の準備をして待っていてくれたそうだ。
モンスター肉のベーコンに卵焼き、サラダ、そしてパンという組み合わせ。
完璧な朝食です!
元のパーティーでは女子がこの2人だけということで食事の準備を押しつけられていたらしい。
そのお陰で調理の腕は上達したそうだが……
やはり食事は輪番制にしないとヤバそうだね。
「うわー、何これ美味しい! 美味しすぎるんですけどー!」
超ハイテンションなチョコがはしゃいでいる。
「悪かったな! これまで貧相な物ばかり食わせてきて」
僕が皮肉交じりにチョコに声をかけると、
「本当ですよ。先日は石炭を勧められたりしましたから!」
イオリさんの口撃に僕とミーコが撃沈した。
ミーコは『ふにゃぁぁぁ』と叫びたいところを我慢したようだ。
今朝の一件から僕とミーコは何も言い返せないのである。
*****
『もふもふの町』から歩いて30分の草原――
「ケンちゃん、あのモンスター懐かしいね!」
チョコが指さすそれは、僕らが最初の狩りでどうにかこうにか仕留めた、バーファローと猪を合わせたようなモンスターだ。
「よし、あいさつ代わりに私が相手をしよう!」
シフォンさんが剣を抜きながらモンスターに近づいていく。
モンスターが彼女に気付き『ブモーッ!』と威嚇する。
その声にも動じることなく更に近づいていく。
『ブヒ――――!」
大きな角をグンと突き出し、突進するモンスター。
それでも彼女は動じない。
勝負は一瞬だった。
モンスターの大きな角が彼女の身体を突く――
と見えた次の瞬間――
『ズバババ――――!」
水平に構えた剣でモンスターの身体を切り裂いた。
「み、見えたか? チョコ、今の剣の動きお前には見えたか?」
「モンスターの角の下を滑らすように剣先を動かして、両手に持ち替えて後はすり足で地面を蹴って移動していたわ。でも私には見えただけ…… あれは私にはできない……」
さすがは小さな戦士チョコ。
僕には見えかったシフォンさんの動きが彼女には見えたのだ。
「あ、解体作業は僕のお仕事なので……」
アイテム屋の店主プーニャンから貸してもらった剣は包丁代わりとして未だに重宝しているのだった。




