3人だけの最後の夜
その夜、僕はリビングのソファーに座り、お金の計算をしていた。
1週間の遠征参加による分配金は3人分で合計24万円。
家賃の支払い14万円を差し引くと残り10万円。
朝夕の食材の調達費用や外食代を考えると心許ない。
遠征帰りだからと暫く狩りも休もうかと思っていたけれど、
「明日も狩りに出かけるかぁー」
僕がソファーの背もたれにドカッともたれかかると――
「ケンタさん…… 今夜一緒に寝ていい?」
フリース素材のパジャマに着替えたミーコが声をかけてきた。
僕の考え事が終わるのを待っていたようだ。
ミーコには遠征前の夜に嫌な思いをさせてしまった負い目があるからな……
「今夜だけだぞ? 明日からシフォン達が引っ越してくるからな」
「やったー! ケンちゃんありがとう」
いつの間にか隣に座っていたチョコまで便乗してきたぞ。
一瞬、イオリさんの顔が思い浮かんだが、やましいことをするわけじゃないから大丈夫だ!
僕たち旧吉原家のメンバー3人は久しぶりに仲良く一緒のベッドで寝た。
僕の左側にチョコ、右側にミーコという川の字の形だ。
左手でチョコの頭をなでなて、右手でミーコの頭をなでなでする。
現世ならゴロゴロのステレオサウンドが聞けたのだがこの世界ではそうではない。
彼女たちからのウットリとした視線が僕に注がれるのだ。
続いて猫耳をサワサワしたり、背中をすりすりしているうちに……
遠征の疲れもあって深い眠りについてしまった――




