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私を選んでね!
僕はふくよかな胸の女性による膝枕から、断腸の思いで起き上がる。
立ち上がって初めて周りの様子が分かった。
ここはなにもない空間。
想像していた天国とは大分異なっていた。
「あのう、ここはどこです?」
僕は単刀直入に尋ねた。
「ここは現世と異世界をつなぐ場所です、吉原さん」
銀髪の女性がニコリとして答えた。
「ここは現世と異世界をつなぐ場所なの、お兄ちゃん」
銀髪の幼女も答えた。
どうやら天国ではないらしい。
僕は先程から気になっていたもう一つのことを訊く。
「その猫耳は本物?」
すると二人とも揃って「本物です」と答えた。
僕は『ピン』ときた。
この2人は先程の猫ちゃんなのだろう。
死に行く僕にお礼とか恩返しとかをしてくれるつもりなんだ。
そう独り納得していると――
「私たちのどちらかを選択して下さい」
そこまで声を合わせて言い……
「私を選んでね! 吉原さん」
「私を選んでね! お兄ちゃん」
2人はそれぞれが右手を僕に向かって差し出した。