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ここは天国でしょうか?
「吉原健太さん。吉原さん。私の声が聞こえていますか?」
うーん……
いつの間にか僕は寝ていたようだ。
確か僕はトラックに突っ込まれて……
ここは病院のベッドの上ということか。
…………。
違うぞ。
頭の下に柔らかな感触が……
これは……
僕はハッとして目を開けた。
「ようやくお目覚めですね、吉原健太さん」
銀色の髪の女性が僕をのぞき込んでいた。
ふくよかな胸のせいで顔半分が隠れてしまっている。
僕は生まれて初めて膝枕をされていた。
そしてもう一人……
「健太おにいちゃん!」
僕の左手を銀髪の幼女が小さな手でぎゅっと握っていた。
ああ…… ここは天国だろうか。
僕は死んでしまったのか、そうですか。
僕の人生に悔い無し――
だめだ、だめため!
家に3匹の猫が待っているんだから!