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はじめての狩り

 喫茶店から戻った僕たちは、家のリビングでくつろいでいた。


 僕はお金の相談をイオリさんにしてみた。


「そうですねー。この町の中で働くのも良いですが、吉原さんは勇者様ですから町の外へ出て狩りをなさってはいかがでしょう? 狩りは実戦の練習にもなり一石二鳥です!」


「モンスターがいるのか?」


「そうですね、いますね」


「スライムとか?」


「あー、ホウ砂と洗濯糊を水に溶かしてつくるあれですか?」


 スライムはいないらしい……


「僕に狩りなんかできるかな?」


 僕が不安を漏らすと、


「ケンちゃん大丈夫よ! 私とミーコがいるじゃん!」


 とチョコが励ましてくれた。


 そうだった。チョコは戦士でミーコは攻撃型魔法使いだった。


 少し希望が見えてきた。


 でも、それじゃあ僕の立場はどうなるの?


 そんな僕の気持ちを察してくれたのか、


「吉原さん、どうぞこれを持っていって下さい」


 イオリさんがキッチンから包丁セットを持ってきてくれた。


 えっ? 包丁?



 ――町から歩いて15分程の草原に来た。


「えー? あれを倒すのか?」


 チョコが指さす先には、バッファローと猪を合わせたようなモンスターが草をついばんでいる。


 体長は優に5メートルはある大物だ!


「余裕余裕! ケンちゃんはそこで見てて! 行くよミーコ!」


 チョコはまるで年上のようにミーコを引っ張っていく。


 戦闘になると頼りになるな。さすが戦士だ!


 僕がそんなフラグを立ててしまったのがいけなかったのか……


「猫パーンチ! あれ? 猫キーク! あれ?」


 猫パンチも猫キックも共に固い角ではじき返されている。


 見かけによらずあのモンスターは俊敏だ!


「ファイヤー! …… メガファイヤー! ……」


 ミーコの魔法も大きな角ではじき返されている。


 あのモンスターの角は耐魔法能力もあるようだ!


「ケンちゃんごめんなさーい! 逃げて逃げてー」


 チョコとミーコは両手を挙げてこちらに走ってくる。


 その後方5メートルにはモンスターが迫っている。


「わー、お前らこっちへ来るなよぉぉぉぉー!」


 僕ら3人は町への徒歩15分の道のりをわずか5分で完走した。


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