婚約破棄、したいのに。
流行りの婚約破棄をコメディタッチで書こう!
と意気込んで書いた結果がこの作品です。
矛盾と突っ込みどころが満載かと思いますがさらっと暇潰しに読んで頂けたら幸いです。
2/21 ブックマークありがとうございます。
ああ、やっとこの時がやってきたのだ。
目の前に置かれた婚約破棄状を見て歓喜に震えた。
そもそも何故私が第一王位継承者である殿下の婚約者になったのか
それには狭くて浅い理由がある。
父様は陛下のチェス仲間で、お互いに時間があれば勝負をしている。
ある時ふと陛下が言ったそうだ。
そういえばお前のところのエアローゼ、息子と同じ年頃だよね?
僕がこの勝負に勝ったら息子の嫁に頂戴?
お似合いだと思うんだよね。息子とエアローゼ。
そして結果、父は負け私と殿下の婚約が決まった。
娘の一生をチェスで決めるなんて何を考えてるのか。
反論も意見も言わせてもらえず、
あれよあれよという間に殿下、陛下、
王妃様と対面し即日次代の王妃になるための過酷な勉強とレッスンが始まった
しかしそんな日々も今日で終わりだ。
この日の為に細々と努力してきた。
やっと、やっと実を結んだのだ
去らば。勉強の日々。
去らば。いびられてきた昨日までの私
「文面はもう出来ているからはここにサインを書くだけでいいよ」
「はい!」
「・・・そんなに私との婚約破棄が嬉しい?」
平坦な声にはっと我にかえる。
しまった。
嬉しさのあまり元気が良すぎた。
そろそろと顔をあげると殿下がにこやかな笑みを浮かべて私を見ていた
え?
声は平坦なのになんでにこやかに笑ってるの?
怖い。
そう思っていると殿下はにこやかな表情のまま私の前に置かれた破棄状を取りビリビリに破り捨ててしまった。
「ああ!なんて事を!」
「今まで必死で結婚を回避しようと頑張ってる姿が可愛くて黙って見てたけど喜んでサインをしようとするなんて酷いじゃないか」
「知ってたんですか?!」
「うん。君が侯爵令嬢を私にけしかけてたのも知ってる」
ヤバい。全部バレてる。
なんで、どうしてバレたんだろう?
今までの苦労が・・・!
というか分かってて見てたとか性格悪い
「君が何をしても私は婚約破棄することはないよ」
「私に王妃は荷が重すぎます」
「大丈夫。君の成績は優秀だと聞いてるし他の貴族からの評価も上々だからあとは諸外国との外交の経験を積むだけだ」
それが一番嫌だというのに。
無惨にも細切れになり床に散らばった紙屑を見た
「ずっとずっと大切にするから。私のエアローゼ」
私の髪を一房とり唇に寄せた殿下の目は
強い光を宿していた
逃げたい。ここから。今すぐに。
「何か色々考えているようですが無駄です。絶対に逃げられませんよ」
「そう。絶対に逃がさない。だから諦めて私の側にいて?」
チェスで負けた父様、一生恨んでやる。
主人公たちの情報が何一つかかれていないのに気づいたので下記補足ぽいもの
エアローゼ
・子爵令嬢、両親と弟の4人家族
・茶色の髪に青の瞳
頑張って頑張って、ある日爆発。王子に好意を抱いていたある侯爵令嬢にこっそり吹き込んで王子へアプローチさせた。
しかし、結果何も変わらず。むしろ王子の引っ付き度が増えた。
アラン
・王族、両親と妹と弟の5人
・赤銅色の髪に榛色の瞳
エアローゼが最後の最後まで婚約破棄に一切躊躇いを見せなかった事にわりとショックを受けている。
幼い頃に出会って以来エアローゼ一筋だが本人にはあまり伝わっていない