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鉄道英雄伝説 ―鉄オタの異世界鉄道発展記―  作者: 葉山宗次郎
第七部 第四章 リグニア鉄道最後の日
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事件の捜査

「捕まえたウィロビー達の尋問はどうなっている?」

「ウィロビーとリシェコリーヌは黙り込んでいますが、キャノンは比較的簡単に口を割っています。まあ実行犯ですが、他は何も知らないようです」


 逮捕後犯人達の身柄を抑え尋問、時に効果的な方法を使いつつ、もたらされた情報を纏めたものをレイは報告した。


「解明には時間が掛かりそうか」


 襲撃犯を逮捕した後、信頼できる憲兵隊員に身柄を移送してある。

 勿論、軍の内部で下手に処理されないよう、信頼できる古巣の部下や鉄道大臣が襲撃されたために鉄道を管轄する鉄道公安官も強引に加えて、むやみに移送されないように、あるいは暗殺されないように見晴らせていた。

 事件は徐々に明らかになっていくだろう。


「重要なのはリシェコリーヌが加わっていたことです。大臣暗殺の実行犯の片割れですから、このまま逮捕して労働組合に大打撃を与える事になるでしょう」


 自分たちの主張を貫徹させるためには暗殺もテロもいとわない過激な集団というレッテルを貼り付けることで、労働組合の弱体化を進める。

 手を組む予定だったがあ、テレポーターの導入を進めるための選択肢でしか無く、その邪魔になるのなら、暗殺を目論んでいたのなら、犯罪組織として徹底的に糾弾。

 マスコミも総動員して印象操作を行い、不法集団として排除した方が良い。

 すでにその線で動いていて、逮捕と同時に、労働組合への締め付けや非難する内容の記事が濁流の如く流れ込んでいる。

 現に今朝の朝刊の紙面は全て労働組合を糾弾する記事で満たされており、彼らの主張、テレポーター導入反対の記事は無かった。


「これで計画は推し進められるでしょう」


 レイは満足そうに言う。ただ一人、納得していないのがいた。


「一つ聞きたいことがあるんだが」


 オスカーはレイに殺意の籠もった視線を向けつつ尋ねた。


「何で最初から、事件が起きる前に捕まえて吐かせなかった」

「潜入した時点では、テルを襲撃する証拠も何も無く、情報の習得さえ困難でした。ようやく尻尾をだしたのが、襲撃のためにテルの履歴書に手を出した時です。しかし、連中の情報がどのように伝わるか判明しなかったので泳がせる必要があり、事件後で無ければ捕まえられませんでした」

「本音は?」

「真綿で徐々に締め上げて苦しんでいくのを見るのが楽しいでしょう」

「やっぱお前酷い」


 オスカーはレイを非難した。


「まあ、それはこの際良いとして」

「良いのかよ」


 テルの発言にオスカーは突っ込んだ。


「重要なのは今回の事件の黒幕を捕まえることだ」

「実行犯はウィロビーとキャノンというヤツなんだろう」

「ただの手駒だ。命じたヤツがいるはずだ。それに協力者も多い」

「確かにな」


 極秘にセッティングした会談の最中に襲撃されたのだ。

 テルがあのホテルの部屋にいることを知っていた人間だけが襲撃できる。

 いくつか囮として偽の会談場所を流していたが、そこには引っかかっていない。


「会談場所にいたリシェコリーヌは確定だな」


 会談場所を制圧した時、リシェコリーヌも確保していた。

 本人は黙秘を続けているが、仲間である事は確実だった。


「だが完全黙秘していて主犯は分からない。リシェコリーヌはウィロビーを通じて関わっているようだが」

「主犯はアミリウス伯爵だよ」


 報告書を持ってきたレイが言った。

 今日は普通のメイド服をロングスカートに控えめのフリルの付いたクラシックな物を着ている。


「確かなのか」

「非常に有力な証言者が居りますので」


 自信たっぷりにレイが言うと、テルもオスカーもしょっぱい顔をした。

 どうせ禄でもないやり口で確保したに違いなかった。


「それと会談を手引きした人間も捕まえる必要があるね」


 レイが指摘した。


「手引きした人間か、ホテルにキャノン達を入れた人間か?」

「いや、テルが会談場所に向かうことを、知っていた人間。アリバイ現場でテルの姿を確認して向かったことを知らせる必要がある」

「……まさか」

「とりあえず確保しているよ。本当か嘘か本人に聞いてみる必要があると思うけど」




「一体何故私が此処に来る事になるのだ」


 アミリウス伯爵が文句を言う。


「娘が襲われたと騒いだことに関しては完全に非を認めよう。だが、どうして大臣暗殺未遂犯たちと共に捕まるのだ」


 部屋の中にいたのは警備の人間を除けば、アミリウス伯爵に、ウィロビー、リシェコリーヌ、そして国鉄総裁のガンツェンミュラーだった。


「では、ガンツェンミュラー総裁も仲間の一員と認めるのですか?」


 ニヤニヤ笑いながらレイが尋ねた。


「いや、総裁は別だ。私と同じく誤認逮捕では?」


 挑戦的な口調でアミリウス伯爵が答える。

 自分は関わっていないと言えるだけ、大臣側が証拠を掴んでいないと確信していたからだ。


「ですが、あなた方が関わっていたことを証言する証人が居られるのですが」

「ほほう、誰だね。是非ともお会いしたいのだが」

「ではお会いさせてあげましょう」


 そう言うとレイは、メイド服を脱ぎ始めた。

続きは


https://kakuyomu.jp/my/works/16816452220020846894/episodes/16816700427940852208


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