表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉄道英雄伝説 ―鉄オタの異世界鉄道発展記―  作者: 葉山宗次郎
第七部 第三章 リニア新幹線
681/763

既存路線との接続

「……はあ?」


 オスカーはテルが言ったことが分からなかった。

 何故リニアを今までのレールに進入させなければならないのだ。


「リニアが通常のレールに進入できないのは当たり前だろう」


 リニアは文字通り磁気浮上式のため、コイルが並べられた専用軌道の上を通る。

 時期は大量の電気を消費するので停車、低速時はゴムタイヤを出して移動するので、鉄輪は不要だ。

 ゴムタイヤを使うのは浮上して降りるのに正確にレールの上に乗ることが出来ない。鉄輪が重いなどの理由もある。

 そもそも鉄輪の問題点、時速三五〇キロ以上の営業運転が事実上不可能であることを克服するために導入されるのだ。


「それの何処が問題なんだ」


「既存の鉄道網による各地への接続が出来ない」


 リグニアの鉄道は三メートル広軌鉄道を除いて一四三五ミリの標準軌で統一されている。

 昭弥が転移した時点で一四三五ミリで統一され建設されていたのも理由だが、昭弥が日本の新幹線に疑問を、在来線へ乗り入れする事が出来ないことを、転移前から疑問に、欠点に思っていたからだ。

 もしフランスのTGVのように在来線へも乗り入れることが出来たら、フル規格で作る必要が無いばかりか、地方へ直通列車を設定できるのではないか、と考えていたのだ。

 勿論、車両限界などにより乗り入れられる路線は限られるだろうが、運用の幅は大きく広がる。

 だから昭弥はリグニア国鉄で新幹線を導入する時、日本式とTGVの折衷方式、高速用の路線を作り上げ、乗り入れ駅で一般車両の乗り入れ事故が無いよう厳重に管理することで、実現させていた。

 結果、地方への臨時列車運用が可能になり、接続時の乗り換え、いちいちホーム降りるのは乗客にとっても負担だった。

 鉄道会社側も乗り換えの時間がロスになったり、ホームを広くしたり、階段を上り下りすることは事故発生の大きな要因であり負担だった。

 直接乗り入れることが出来るようになり、そうしたロスが無くなったので少ない負担で新幹線を動かすことが出来る。

 しかし、リニアは在来線への直通運転が出来ないために乗り換えの手間が必要になる。


「リグニア中に広げれば良いだろうが」


「それだと建設費が馬鹿にならない」


 帝国全土各地へ、リニアを建設するには莫大な費用がかかる。

 そして建設したとしても採算がとれるか未知の技術のため不明。

 全土に建設しても償還できるか不明だ。

 かといって主要な路線のみに集約しても需要が生まれるかどうか不明だ。

 主要駅、都市中心部から離れた場所にリニアが通っても需要が得られるはずがない。

 昭弥は開港当時の成田空港や、大宮止まりだった東北新幹線、市街地中心部へ乗り入れできない上海リニアで例えていた。

 実物を見たことがなかったのでその時は半分も理解できなかったが、今のテルは理解できる。

 いくら所要時間が短くなっても、乗り換え時間が掛かるのは問題だ。

 例えばイベントなどで突発的な需要に柔軟に対応できない。

 標準軌、在来線への乗り入れは不可能であり、帝国中に張り巡らされた鉄道網へ組み込むことは不可能だ。


「このままだと全く別の鉄道を敷くことになる。既存の鉄道網に繋げたいんだけどな」


 なんとかリニア新幹線を在来線へ乗り入れる事ができないか、テルは考えようとした。


「何とか出来ないかな」


 鉄道の建設は長期だが経営は更に長い。

 そして一度敷設した線路は簡単に移設も変更もできない。

 利用の激しい線路は特に顕著で営業車両が通る合間に工事作業を行うと安全確保のために少ししか進められず時間がかかる。

 一日で切り替え作業が終えられた渋谷~代官山の工事など何年も前から準備していたし、横浜駅など営業中に行っているので工事が終わりそうにない。

 自連換えも予め貨車に自連を取り付けておいて作業日に引きだして取り付けたから一日で成功した。

 そしてこれはまだ成功した例であり実際は作業量が膨大で実行不可能になるケースが多い。

 日本の在来線は度々ゲージの拡大が提唱されているが運転頻度が高いため切り替え作業など不可能となっている。

 テルは父からそのことを教えられているので欠点のある計画を進めて良いのか迷っていた。


「大臣、お時間がありません。建設を進めなければ、何時までも完成しません」


 横にいたレイが言った。


「そうだね。良い案が浮かべば良いんだけど」


「浮かばない案は無意味です。時間が無いのであれば次善策を」


 建設は時間がかかる。

 そして建設できるチャンスはめったにない。

 より良い計画を練ろうとして時間を浪費しお蔵入りになった計画も多い。

 失敗を恐れていては何も出来ない。

 欠点はあるがそれを上回る長所があるのも事実だ。


「そうだね。時間が無い」


 再統合されて新生国鉄を誕生させたが、まだ成果を上げていない。

 長距離列車や貨物列車を復活させ徐々に収入を上げているがインパクトが小さい。

 明確に再統合して挙げられる成果を、誰にでも目に見える成果が必要だった。

 その点リニアは明確だし、非常に大きな成果を上げることが出来る。


「リニアの建設を発表する。アルカディアからルテティアまで四時間で結べる。半径二〇〇〇キロいないなら五時間で結べることを報道するんだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 車輪、車体のサイズだけ合わせて、在来線区間では機関車で引っ張ればよいのでは?
[良い点] 魔法の力を頼るか、地下駅か地下化で駅を結ぶかかなぁ そーいえば、地下鉄ってどうなった? 地下鉄はリニア方式もあったはず。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ