表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉄道英雄伝説 ―鉄オタの異世界鉄道発展記―  作者: 葉山宗次郎
第二部第四章 サービス戦争
202/763

鉄道員インタビュー 鉄道楽団員マルチダ

一寸趣向を変えてインタビュー形式で鉄道員の一人に話しを聞く形にしました。この後も度々やりたいと思います。

明日は、二〇〇回記念の特別編。

【第四回ネット小説大賞一次選考通過候補】にもなったのでスペシャルにやりたいと思います。

 あ、どうも、こんにちは。今日はどうか宜しくお願いします。

 え、練習で疲れているんじゃ無いか?

 お気遣いありがとうございます。でも平気です、鍛えていますから。

 あ、自己紹介がまだでしたね。

 私は鉄道楽団のマルチダです。バイオリンの担当です。

 五〇人近くいる楽団の一人に過ぎないんですけど、凄いですよねこんなに大きな楽団なんて。

 普通は一人か二人、多くても五人ぐらいで演奏するのに三〇人で演奏するんですから。

 あ、聞いていませんか。

 今日は私の事ですよね。新聞のコラムに鉄道関係者の話しを載せるんで取材だと。

 でも私で良いんですか?

 え? 社長命令で新人や、比較的入ったばかりの人の話を聞いてこいと。そうすればどんな仕事か読者の方、特に鉄道関連に入ろうとしている人に解りやすいから?

 ふーん、そういうものなんですか。社長は相変わらずですね。

 いえ、一度会ったことあるんですよ社長には。

 私がまだ一人で流しのバイオリンを弾いていたときなんです。夜に酒場の一角で引かせて貰っていたんです。まあ、稼ぎは程々ですよ。

 え? 楽団に属したことはあるかって?

 いや、教会の楽団は助祭や侍祭が務めますし、王家や諸侯の楽団は大勢いますけど、代々楽師という人が殆どなので入る余裕なんて無いですよ。

 それで町中にいたんですけど王都は不景気でお客さんが落としてくれるお金も少なくて王国から離れて帝都に行こうかとも考えていたんです。

 けどそこに鉄道の建設計画が出来て変わったんですよ。

 結構大きな工事らしくて建設現場に行って演奏したら、収入が良くなりましたよ。ル対作業の合間に演奏したら喜んでくれて、結構くれましたよ。まあ給与も良かったみたいなんで財布の紐を緩めてくれたって言うのもありましたけど。

 でも工事って直ぐ終わっちゃったんですよね。

 一日に一キロとか二キロも進めて……しかも他の現場が同時に二方向へ伸ばしていたから直ぐに出来ちゃった。

 あ、一キロにキロというのは鉄道の用語で一リーグ、二リーグの意味です。社長が良く口にするので皆、リーグを使うことが無くなってキロになっちゃったんです。

 え、知っている? それは失礼。

 で、鉄道が開業したら建設現場の仕事が無くなっちゃってね。他の建設現場に行こうとしたんだけど、そこは他の楽師がいてね。入り込めなく。楽師の間には客を取り合う事が無いように既に楽師が入っていたら、他の楽師はお客からの引きが無い限り行かないと言う不文律があるんで。

 残念ながら引きが無くて王都に戻って駅前で演奏していたんですよ。そしたらあちこちから人が集まってくるから実入りが良くて。

 あと、音楽広場と言って自由に楽師が演奏できる空間があったんです。小さいけどステージがあって、一時間毎に交代で演奏することが出来ていたんです。鉄道会社が管理していて少額の管理料だけで演奏できるので便利でした。

 まあ楽師が集まりやすいので、演奏できるのは三日か四日に一度で後は酒場で演奏でしたね。

 そんなときです、社長に会ったのは。ある日、駅の音楽広場で演奏を終えた時、声を掛けられたんです。

 え? ナンパ?

 いや、そういうことじゃ無くて新たな楽団の創設ですよ。そう鉄道楽団を創設するのでメンバーを集めていたそうです。で、演奏を聴いていた私に声を掛けたそうです。

 どうも音楽広場ってメンバー探しの為の選抜会場だったみたいで、私の他にも何人か誘われていましたね。

 で五人ほど集まったとき、演奏を始めたんです。

 それぞれ得意の楽器を使って合奏したんですよ。結構お客さんも喜んでくれて。

 え? 収入?

 ああ、給料を貰えるようになったんですよ。契約でしたけど月間契約でしたね。最初は試用期間でしたけど、結構多くなりました。本採用になってからは、経費で楽器の修理もしてくれました。

 酒場周りの時よりは、良いですよ。そりゃ一晩で今の月給より稼いだこともありましたけど、お客がいないときはあ無収入で移動時間も無収入に近い物でしたから。

 けど、楽団に属していれば月給は入るし、仕事もくれますから。

 駅での演奏だけじゃ無くて、列車での演奏もありましたね。食堂車やサロンカーで演奏しました。

 二等や三等ではやらなかったのかだって?

 いや、あそこは流しのテリトリーと言うことになっていて私たちは行きませんよ。代わりに一等は私たちの縄張りで彼らは来ません。と言うより、二等三等のお客さんは食堂車まで、それも料理の料金払わないと入れませんから接点は少ないですね。

 そうしている間に、徐々にメンバーが増えてきて組み毎に編成されてオーケストラを編成されるようになったんですよね。

 凄いですよ、三十数人の大人数で演奏するんですから。そりゃ古の宮廷では数百人の楽師を雇って演奏したという記録もありますけど、教会は数人、大きな神殿でも十数人くらいなのに、三十人が一斉に演奏するんですからそりゃ迫力が凄いですよ。

 で、更にメンバーが増えていって五十人越える頃には、二つに分けましたね。

 そうです、こだま組とやまびこ組です。

 何で分けたかって? 単純に仕事が増えたからです。

 何しろその頃は新路線の開業セレモニーとか、新列車の出発式とかあって、演奏の為に引っ張りだこでしたから。一つじゃ全然足りなくて。

 それで更に増えていって、ひかり組、かがやき組、のぞみ組と増えていきました。

 あと、各列車への派遣専門のあさひ組がいますね。小さな班が幾つも集まって、それぞれ列車に派遣されるんです。

 そんなに増えて楽になっただろう?

 まさか、増えると次々と新しい仕事が舞い込んできましたよ。多かったのは慰問年層でしたね。

 各地の機関区や検修区に言って作業員の方々に演奏を聞いて貰うんですよ。いつも作業で忙しいから少しでも癒しになるようにと。

 他にも各地の駅に行ってお客さんの為に演奏するんです。

 作曲の仕事もありましたし、鉄道行進曲とか鉄道員賛歌とか、作業節とか、兎に角、人々に受け入れられる曲を作曲するようにと言われていました。

 それで作曲の仕事もあって、もう大変ですよ。

 今度有線放送も出来たでしょう。それで王都から演奏して各地の駅に派遣される仕事が減ったと思ったんですけど、各地の駅から是非生で聞かせてくれという要望も出ちゃって、出ていく事になりそうなんですよ。

 あまりの人気にチェニスやオスティア、アムハラにも楽団を作ろうという話も有るくらい何ですから。もう猫の手も借りたいですよ。

 え? やめないのかって?

 うーん、辞めたくありません。確かに忙しいですけど、人々に喜んで貰える場というのは有り難いですし、何十人もの演奏もそうそう出来るものではありませんから。

 以上でしょうか?

 最後に楽団入団希望者に一言。

 移動が多くて仕事の多い仕事ですけど、やりがいはありますよ。是非、スカウトされたら来て下さい。音楽広場で常に楽団員が演奏を聴いてチェックしています。

 腕が良ければ確実に入れて貰えますよ。待っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ