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最弱達との訓練 後編

どうもお久しぶりです。


こんな小説ですけど読んでくれてる皆さんに感謝ですm(__)m


ブックマークを入れて下さった方々、ありがとうごさいますm(__)m


ではどうぞ♪

ズガアァァァアン!!!


文字通り『星』が落ちてきて、蓮夜を中心とした範囲に土煙が舞い上がる。『盾』を使いこれを防いでいた四人は降り立つ明莉に近寄る。


「…流石にこれは決まっただろ。ていうか私達要らなかったな」


凛がグングニルを担いだまま明莉に言い寄る。


「……死んだ?」


唯が物騒な事を言ってくるが、明莉は首を横に振る。


「…そこまではしないわよ。…けど、相当なダメージを負った筈よ。一時は病院から出れないんじゃないかしら?」


「無駄な時間を過ごしましたわね。…土煙で汚れてしまったのでシャワーを浴びたいですわ」


セリアが服の汚れを払うと、払っていた手を止める。


「……冗談ですわよね…?」


セリアの意味深な発言に他の四人もセリアが見ている方向へと視線を合わせる。


すると、


「…おー、あっぶねぇ…。間一髪だったな」


土煙が晴れ、『星』が落ちた場所が露になる。『星』が落ちた場所は地面が抉れ、酷い惨状ではあったが、何故か蓮夜を中心とした少しの範囲だけ何事も起きていないような無傷のままだった。


「すげぇな、さっきの技。…あれはヤバかった」


あまりにも突拍子な出来事で驚きを隠せない五人。特に明莉は口を開けたままその場に立ち尽くし、まるで亡霊を見ているかのように蓮夜を見ている。


「……本気で撃った……?」


無表情な唯も流石に驚いているのか、普段見せないような驚きの表情をしていた。明莉に本気で撃ったのかと、確認するが、


「…唯さん、明莉さんの『星落とし』の威力はご存じでしょう?いくら手加減しても無傷というのはあり得ません」


「あの人も魔装具を?でも、剣しか持ってないですし…」


セリア達が唸るなか、一人凛だけがあの『無傷』な場所を見ていた。


「(……何をした?あの範囲、神宮寺が居た場所だけ『無傷』だ。雛子みたいにヴァルキリーのような魔装具で防いだのか?一体どうなってるんだ?)」


凛の視線に気づいたのか、蓮夜は薄く笑うと、明莉達の前まで歩いてくる。


「…つーかさ、さっきのあれ撃ってれば昨日の試合勝ててたんじゃないか?…まぁいいか。…それよりも、気抜いてていいのか?」


蓮夜の言葉に明莉を除く四人が構えを取る。明莉はまだ、この状況を呑み込めていなかった。


「明莉さん!ちゃんとしてください!」


セリアの言葉にハッと我に返る明莉。何故自分の技がああも簡単に防がれたのか理由が知りたかった。


「…どうやって防いだの?」


「まぁ、普通に」


蓮夜から返ってきた言葉にイラついたのか一人飛び出す明莉。セリアや凛の言葉を無視し、一人蓮夜に飛び掛かる。


「それは愚策だろ」


明莉から繰り出される攻撃を軽くいなしていく蓮夜。すると、


「…いい気配の殺し方だな、黒瀬」


「……っ!?」


蓮夜の後ろから唯が隙を伺っていたのだが、逆に隙を突かれる。


「よっ」


明莉の攻撃を避け、唯に標的を替える。蓮夜は唯の懐に潜り込む。鎌は至近距離で戦うには不向きだ。剣の柄を使い唯の腹部に押し当てる。


「…クッ!?」


呻き声を上げ唯がふらつくが、一筋縄ではいかないようだ。


「………起きろ」


唯が一言呟くと地面が黒く変色し、そこから影が飛び出す。


「…へぇ、それが『七大罪』の力か?」


「…っ!?」


唯は一瞬表情を歪めたが、すぐに切り替え、影を操る。蓮夜は下から襲ってくる影を避けながら、上からの『狙撃』も避ける。


「…ちょっ!?…本当に人間ですか、あなた?」


セリアは上から驚きの声を上げるが、狙撃を止めることはない。常に蓮夜の隙を探してはその隙を狙い引き金を引く。

蓮夜は唯の影とセリアの狙撃を避けながら、再び斬りかかってくる明莉の刃を受け止める。


なのだが、


「って、危ないわよ唯!私まで攻撃してんじゃない!」


「……急に入ってきた明莉が悪い」


唯の影が明莉に当たりそうになり蓮夜へと攻撃が届かない。蓮夜は呆れながら二人を無視し、補助魔法で強化した脚力でセリアの元へとジャンプする。


「…へっ?」


目の前に突然現れた蓮夜に間抜けな声を上げるセリア。すかさず銃を構えるが、蓮夜がセリアの手元を狙い、フェンリルを吹き飛ばす。


「なっ!?」


フェンリルを吹き飛ばされ、成す術無しと思われたのだが、セリアは慌てることなく腰のホルダーから『銃』を取り出し、にこやかに笑う。


「フェンリルは一つじゃありませんことよ」


躊躇なく引き金を引くセリア。この至近距離ならかわされることはあり得ないと微笑むセリアだが、


「甘い」


超至近距離から放たれた弾丸を蓮夜は剣を縦に構え、一気に振り下ろす。

弾丸は縦に真っ二つになり、蓮夜の横を通り抜けていく。愕然となるセリアだが、一瞬で頭を冷やし更に引き金を引くが…。


全て目の前で打ち落とされてしまった。


「…うそ…!?」


蓮夜は気を緩めることはなく、セリアの脇腹に蹴りを入れ込む。


「…ウウッ!!?」


慌てて脇腹に障壁を張るが間に合わず、蓮夜の蹴りを喰らいそのまま下に落ちていく。

地面に激突する寸前に雛子のヴァルキリーで受け止められ、怪我は最小限ですんだ。だが、脇腹のダメージが大きいのか直ぐには動けずにいた。


「セリアさん、治療します!」


雛子が駆け寄り、補助魔法を応用した『回復魔法』を当てていく。回復魔法は簡単に言えば他人を補助する事。他にも種類が幾つかあり、回復魔法はその一つだ。他人の治癒力を補助し、増大させる。それが回復魔法である。

蓮夜はその事を見逃さず、雛子の元に急ぐ。明莉と唯は何故か蓮夜を無視し、二人で闘い始めていた。残るは凛だが…と、蓮夜が考えていたときに、


「――貫け…グングニル!!」


横から突然一つの閃光が稲光を纏いながら蓮夜を襲う。蓮夜はそれを紙一重で避け、閃光を繰り出した本人を見る。


「(…グングニル…『神の槍』か。つーか、あれは駄目だろ。見たときから思ってたけど、完全にあれ…『天敵』だわ)」


冷や汗を掻きながら凛が手に持つ魔装具を見る。あれを見るたびに背中に大量の氷を押し当てられたようなゾッとした気持ちになる。

頭の中で警鐘がなる。アレの攻撃を受けるな…と。


「この部隊の中でお前が一番強いのか?宮本」


「さぁね、そういうのには余り疎くて興味は無いんだ。…でも、隊長サンに思う気持ちはちょっと違うなー」


グングニルをくるくる回しながら、楽しみにしていた映画でも見るような足取りでこちらに歩いてくる。


「なんか、こう…さ、倒さなくちゃいけない、そんな気がしてならないだ。…だから、ちょっと本気になって隊長サンを倒してみたいと……思う!」


弾ッ!!と踏まれた床が少し陥没し、その勢いでこちらまでの距離を一気に詰めてくる。槍を突き出し、蓮夜の胸元を狙うがそれを剣で上手く捌く。突き出すだけでは終わらず、アクロバットな動きで直ぐに蓮夜の後ろを取る。だが、蓮夜もそれに合わせてバク転をし、そのまま蹴りを繰り出す。俗に言うオーバーヘッドキックというやつだ。凛はグングニルでそれを受け止める。


「…マジか…これを受け止めるかよ」


蓮夜は内心しまったと思った。この状態から押し返されれば、身動きが取れなくなる。その為、思いっきり槍をへし折るつもりでいたが、流石は魔装具、壊れる気配がまったくもって零だ。もう片方の足を槍の内側から入れ、両足に力で身体を半回転させる。そして、槍を地面がわりにし、凛から飛び退く。


「器用だな隊長サン」


「運動神経は良い方でね」


「…そうかい、なら…これはどうだよ!」


凛がグングニルを地面へと突き刺す。すると、複数の魔方陣が現れる。


「…走れ、スレイプニル――ッ!」


一陣の風が蓮夜の頬を撫でる。


「……っっ!!?」


何かを感じ取ったのか、この場から大きく飛び退く。すると、


「……馬…?」


立っていたのは六本足の馬。北欧神話に出てくる神獣、スレイプニル。かの主神オーディンの愛馬である。

正直なんで、この化け物を使役しているのか分からないが、凛が持つグングニルの影響だろうと考える。


「…まさか、スレイプニルの攻撃も避けるなんて、隊長サン化け物だな」


「…そんな化け物を飼ってるお前も充分化け物だよ」


嫌味を言い合うと、凛がフッと笑みを溢した。


「…ま、時間を稼ぎは終わったからな。後は雛子に任せるさ」


蓮夜はハッとなり、後ろを見る。先程まで治療に専念していた雛子とセリアが居なくなっていた。


「…あいつらどこに……上…?」


上を見上げると、雛子がこちらに盾を向けていた。雛子は確認出来たが、セリアがいない。それに盾も気になる。

ふと周りを見渡すと凛がいなくなっていた。というより、蓮夜と雛子以外、この場から姿を消していた。先程味方同士で戦っていた明莉と唯もいない。

どこだ?と蓮夜を辺りを探るが、雛子以外視認出来ない。


というより、何故雛子は『浮いて』いられる?


別に浮くこと自体はそう難しくはない。セリアも同じような事をしていたが、あれは魔装具の能力に過ぎない。セリアはスナイパーとして常に戦場を見渡せるようにしなければならない。だから、

魔装具にブースターが着いており、それで浮いていられたのだ。じゃあ雛子の魔装具も?と思うが、よく見ればあれは浮いているというより、立っている的な…。


「…立っている…?――まさか!?」


気付くのが少し遅かった。雛子以外の全員は雛子の『影』に隠れていたのだ。『影』を扱うのは、


「……黒子の影『シャドウズカーテン』。……初見でこれに気付く?普通…」


唯だ。唯のベルフェゴールの能力で隠れていた。流石の蓮夜もどうしようにもない。雛子の方もどうやら準備が終えたようだ。


「…痛みを返します。…ヴァルキリー――っ!」


ガコン、とヴァルキリーが形状を変える。四枚の真っ白い翼がヴァルキリーから現れる。


そして、来るのは光。ヴァルキリーはただ、守ったり、癒したりするだけではなかった。もしかして、この中でいちばんの攻撃力はアレかもしれないと、蓮夜は思った。


ズガアァァァアン!!


威力は明莉の『星落とし』と同等か、それ以下位だか、それでも申し分ない威力なのは確かだ。


土煙が再び舞い上がる。雛子は降り立ち、唯も『シャドウズカーテン』を解除し、全員を下ろす。


「…やったのでしょうか…」


雛子が呟くが、今のは完全に裏をかいた攻撃だった。あからさまな明莉の攻撃とは違い、まさか盾で攻撃するとは思っていなかったのだろう。撃った本人以外は確実にやったと確信していた。


「…それにしても、とんだ化け物ですわ。なんなんですの、あの男」


「…流石、神宮寺先生の弟と言ったところか?あれで専用の魔装具だったらヤバかったかもな」


「というか、五対一で負けるなんて笑い者もいいところよ。…まぁ、負けなんてあり得ないけどね」


「……一番邪魔だったのは明莉」


「なんですって、唯、あんたも中々に邪魔だったわよ!?」


「……明莉に言われたくない」


二人は言い合いを始めるが、結構洒落にならない威力で撃ったので、全員土煙が舞っている中心を見るが、他人の気配はしない。


「………ちょっと待って。…えっ!?死んだ!?」


明莉が驚くと同時に雛子がビクンと身体を震わせた。明らかに人の気配がしないのだ、あの中から。


「……いや、明莉さんの『星落とし』でもピンピンしてましたのに、死ぬわけ…」


「…あ、あわわわ…」


全員が懸念するなか土煙が晴れる。すると、クレーターのようなものが出来ており、中には人一人見当たらなかった。


「…ど、何処にいったの?」


「………消し飛ばした?」


唯の言葉でグサリと来たのか雛子が座り込む。凛がなだめるが、不意に凛が手を止める。いや、全員が何かを感じ取った。背中を突き刺すような激しい悪寒。


バチバチと、電気がショートしたような音が聞こえる。


「……あっぶねぇ、今のは本当に危なかった。不意に喰らいそうになったぶん紅坂のより死を感じたぞ、いやまじで」


全身が光のように発光しており、周囲に電気が飛び散る。


――何だアレは。


全員が同じ事を思った。…魔法で間違いないだろうがあんな魔法は見たことない。


――勝てるのか?


正直『アレ』とは戦いたくない。この場の蓮夜以外が思った素直な感想だ。


「……っと、流石に時間か…。力の差を見せつけろって、充分過ぎるだろこいつら……。やべぇ姉さんに怒られる」


力の差?とんでもない。充分過ぎるほど見せつけられたわ!と全員の心の声が一致する。すると、蓮夜の身体が先程通りに戻っていく。


「……えーっと、ここの訓練場は朝限定だからな、そろそろだな。おーい、終わるぞ、後一時間で授業だろ?」


明莉はハッと時計を見るなり、今の時間に驚く。


「…うそっ!もうこんな時間!?やばっ、遅れる」


そう言うなり、蓮夜以外の全員が訓練場を後にする。最後に明莉が、


「……あんたはいいの?」


「…あっ?ああ、片付けがあるからな」


「…そう、ならいいわ」


それだけ言うと、明莉はここから居なくなり、訓練場には蓮夜一人が残るのだった。






◇◇◇◇◇






「…何なのよあの男。化け物?規格外もいいとこよ」


明莉達は流した汗をシャワーで洗いつつ、制服に着替えていた。授業開始まで三十分を切った。もう少しあの男が速く来ていればもっと時間に余裕があったのに!と苛立ちを隠せない明莉である。

他のメンバーも何か思うことがあるのか全員無言のままだった。


「…ねぇ」


口を開いたのは唯だった。唯は全員を見つつ、あることについて質問をする。


「……さっきの、あの身体が光ってたやつ、…皆はどう思う?」


蓮夜が最後に見せた奇妙な魔法。果たして魔法と言えるのかどうか定かではないが、全員の心はあの不可思議な魔法に掴まれていた。


「どうって、…そんなのわかんないわよ。あいつに直接聞いた方がいいんじゃないの?」


「……あれ?でも、明莉は隊長って認めないって言ってたけど…あれ?」


わざとらしい唯の言葉に明莉は顔を赤くしながら、そう言う意味じゃないわよ!と唯に突っ掛かる。


「そんな事言ってないで早く行かないとまずいですわよ。最初の授業、神宮寺先生なのて、遅れたら…」


セリアの言葉に全員のせすじがビシッと引き締まる。


授業開始までそれほど時間は残っていなかった。






◇◇◇◇◇






蓮夜は後片付けを終え、一息つくと、後ろから声が掛かった。


「お疲れ様ですね。神宮寺蓮夜君」


声を掛けてきたのはここの学園長であり、メガフロートの最高責任者、篠宮琴羽だった。


「…見てたんですか?」


「ええ、それは勿論。それにしても、あの子達を簡単にあしらうなんて…一体何処でそんな力を身に付けたんですか?」


琴羽の視線が蓮夜の至るところを写していく。何かを探られているようでいい気にはなれない。


「……企業秘密です」


「それは、残念です。あなたの力、是非とも拝見したいのですが、ダメですか?」


蓮夜に近付くなり、上目遣いで蓮夜を見てくる。


「…そんな事しても無駄ですよ」


「ケチですね」


プイッと頬を膨らませ、顔を逸らす琴羽。本当に何者何だろうと蓮夜は考える。何処からどう見ても只の少女である。年齢は…蓮夜よりも下だろうか?黒いゴシックの服装がより子供っぽくこの少女を引き立てている。


「…今、子供っぽい…って思いませんでした?」


何だこの子はエスパーか?それとも姉さんと同じ人種なのか?それなら納得がいく、と手をポンと叩き解決させる。


「…本当に失礼な事を考えていたような気がしますが…まぁいいでしょ。…一つあなたに伝えることがありこの場に来ました」


琴羽どこから取り出したのか、一枚の紙を蓮夜に見せる。


「あなたのクラスと寮の部屋割りです。本来ならあなた程の実力ならSクラス…いや、それ以上だと考えていますが、それではあのチームの隊長としてどうかと思いまして、あの子達と同じくDクラスの教室になりました。…いかがでしょう?」


「それで結構です。いきなりSクラスとか言われてもどうしようも無いので」


「わかりました。では、部屋割りなんですが…」


突然口ごもる琴羽。蓮夜は紙を見ながら首を傾げると、


「…私と一緒の部屋で♪」


「断ります」


何でだろう、この人と一日一緒にいたら絶対もたないと思う。…主に身体と心が。


「……そんなに早く断らなくても…」


琴羽はその場に座り込み床にのを書くようにいじけだした。まるで子供そのものだ。


「…で、そんな悪ふざけは止めて本当の事を言ってください」


すると、さっきまでいじけていた態度が嘘のようにコロッと変わり、人懐こい笑顔でクスクス笑ってくる。


「いじりがいが本当にないですね」


「…笑顔で言うことですか?それ…。で、本当の部屋は」


「行けば分かります」


「……は?」


琴羽はそれだけ言うと、くるりと踵を返しこの場から去っていく。


「それでは、またまた会いましょう」


こちらを振り向き、それだけを言うとフッとこの場から消えた。冗談抜きで、『消えた』。


「…あれがあの人の能力か?…まぁいいか」


蓮夜は一通り紙に目を通し取り合えず姉の部屋へと急ぐのだった。






◇◇◇◇◇






学園長室。琴羽は席に座り、先程の戦闘について考えていた。まず圧倒的と言っていいほどの身体能力。それと、『星落とし』、『ヴァルキリー』を止めるほどの『魔法障壁』。反射神経、積み立てられた戦闘経験。どれも敬意に値するものばかりだ。


そして、最後に見せた奇妙な魔法。


「……まさか、ね」


ギィィと椅子の背もたれにのし掛かりながら一枚の資料に目を通す。


「……魔神……、世界の災厄。……面白いことになってきましたね」






◇◇◇◇◇






あれから一時間程が経ち、蓮夜は応接室に一人いた。部屋に帰ってきてみれば置き手紙が一枚残されており、用意された制服に着替え、ここに来いと書かれていた。応接室へのカードキーも用意されており、着いたのは丁度五分前位だった。


「すまない、待たせたな」


入ってきたのは姉の真昼だった。


「聞いたと思うがお前はDクラスの教室に入ることになった。だが、一般のDクラス生徒とは違い、お前には幾つかの権限が与えられている」


「権限?何で俺なんかに」


「…お前は元々生徒としてはなく、隊長兼指揮官としてこの学院に呼ばれたからな。それなりの権限はある」


なるほど、と蓮夜は呟き、真昼から資料を見せてもらう。


「まず一つ。緊急時及び戦闘警戒時の時のランクは私達教師と同じランクで尚且つ、生徒会と同等の権限を得る」


真昼の言葉に一つ気になる事があった。


「…生徒会と同等の権限?この学院では教師より、生徒会の方が上なのか?」


「私や一部の教師陣を除いてはそうなるな」


…教師より権限のある生徒会ってなんだ?アリなのか?蓮夜は漫画か!とツッコミたくなる。


「二つ目、放課後の訓練時の施設や図書館の禁止区域施設を無制限で使える。これは教師と同じだな」


「…待遇良すぎるよな?」


「まぁ、そのくらい『無謀』なチームの隊長になったんだ、それなりの事は当たり前だ」


なれと言ったのはあんたでしょ?蓮夜は先程の学園長の事もあるので、ツッコミたくたて仕方なかった。


「…三つ目、魔装具の常時使用。これは流石に生徒会のメンバーにも禁止にしている、緊急時や戦闘警戒時以外はな。これも教師と同等の権限だ」


「…魔装具か、でも俺、魔装具持ってないぜ」


「…そこのところは安心しろ、お前『専用』を作らせている。…というか、お前には『いらない』んだがな」


「それこっちの台詞な。…つーか、そんな事していいのかよ。一般生徒に文句言われないのか?」


「教師陣には話をつけている。それに、生徒会の人間としてお前は通っているからな、文句はないだろう。それに、授業時や普段の時は一般の生徒と変わらないからな。…遅刻したと言って教師の権限を使っても無効だぞ」


「…わかってるよ」


まぁそんなものだろうな、と考えるが、折角貰った権限だ、有効に使わせてもらおうと思う蓮夜。


「…そろそろ時間か…」


真昼が自分の時計を見ながら呟く。ついてこい、と真昼に言われ応接室を後にする蓮夜。

長い廊下を歩いていると至るところから声が聞こえてくる。


「模擬訓練だ。模擬訓練の時には自分の魔装具を使っていいからな。お前のはその為のツナギだ」


そう言うことねと納得する蓮夜。すると、一つの教室の前で足が止まる。見た感じDクラスの教室じゃないような気もするが…。一緒に入れ、と言われ扉を開ける真昼。それに続く蓮夜。蓮夜が入ったのは教室ではなく、講堂だった。


「……えっ!?」


中はガヤガヤしていたのだが、蓮夜達が入ってくるのを確認すると静かになるが、蓮夜を見た生徒達がザワザワと喋り始めた。中には口をポカンとする者や、な、何であいつがこんなところに!と思う少女もいた。


「全員静かにしろ!」


真昼の声で講堂全体が静かになるが、目線だけは蓮夜を見ていた。


気まず…。蓮夜の最初の一言がこれである。勿論聞こえないくらいの声なので、誰一人蓮夜の声を聞いていない。


「今からお前らに新しい生徒を紹介する。前へ出ろ」


真昼に言われ、一歩前へ出る蓮夜。


「…神宮寺蓮夜です。どうぞよろしく」


しんと静まり返る講堂。当たり前か、と思った矢先ザワザワと生徒達がざわめき始める。すると、一人の生徒が手を上げ、


「神宮寺って、神宮寺先生のご家族か何かですか?」


「ああ、こいつは私の弟だ。…他には無いな」


それだけ言うと、蓮夜を横に下がらせる真昼。真昼の後ろにある大きなスクリーンにある映像を映し出す。


「…お前らも知っていると思うが、ランキング戦の後半戦がもうすぐ始まる。これは次回にある各学年のトーナメント戦にも参考にされるから準備だけは怠らないように。…以上だ」


真昼は話すことを終えると、蓮夜を連れ講堂から出る。


「…ちょっと待てよ姉さん。…なんでDクラスの教室じゃなくて講堂なんだよ!何か?あいつら全員ここで授業受けてんのか?」


「そんな筈ないだろ?今日はちょっと事情があってあそこで挨拶をして貰った」


「…事情?」


「ああ、ランキング後半戦の相手を決めるためにクジをするんだ」


正直どうでもいいのだが、何だかついでみたいで腹が立った。だが、コレが神宮寺真昼なので仕方がないのだが。


「あれ?でも、あそこには全学年がいるんだろ?さっきの声は何だったんだ?」


「あれは中等部の生徒だ。お前には関係ない」


改めて蓮夜はここがめちゃくちゃデカい学校なんだな、と再認識をした。












どうだったでしょうか?


戦闘シーンが未だに慣れませんね。思うように書けないです。


それでも頑張っていこうと思っているのでよろしくお願いします。

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