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馬を引く者  作者: 江鋼太値
 馬を引く者                    第一幕 葛藤
15/43

15、ブラックホール

 「で、そのブラックホールってどうやって出現させたんですか?」

 と馬は訊ねます。

 「うーん。どういったらいいのかなー。手の中心、つまり、線と線でつないで、それの交わるところに頭の中の思考(ここにブラックホールがあるんだー。)をあわせて、そのあわせた思考の物をそこ(手の中心)にもってくるために頭の中で宇宙のどこらへんにその物体があるのかを考え、それを仮の存在として手の中にもってくる。でもその頭の中の映像が鮮明で繊細でないとその物体は出現しないから、今、我の頭の中は、ブラックホールで満たされているので。って聴いておるのか、おぬしら。」

 二人はそれを聴いたことも忘れ、そのまま膝を床につけ、姿勢を正したまま寝ていたのだった。

 「はー。こらーねるなー」

 と言い、タヌキんど一世は手にハリセンを持ち、二人の頭を勢いよくひっぱたいたのだった。

 二人は何事かと思い、頭を抱えながら痛そうに眼に涙を浮かべ、寝ぼけ(まなこ)

 「は、なに?何事ですか?」

 と言い、眼の前のハリセンをもった黄色い化け物をみてそういったのでした。

 でその黄色い化け物はその姿勢のまま固まってしまったのだった。

 そこへ、その事情を問いただされるみたいに

 「そのハリセンはどうやってだしたのですか?」

 ときかれ、ってそこじゃないだろ聞くところはーと頭の中でつっこんでからこうこたえるのだった。

 「これは、さっき話したことの応用でー。頭の中に描いた物体を仮の存在ではなく、本当にそこにある物体として認識させ、相手の脳にもそれを刻みこみ、それを使って相手をどうしたいかを考え、それを実行する。だから、このハリセンは、今お主らには見えてはおるが、実際にはわしの手の中にはなにもないんじゃよ。疑似的存在といったらいいのかな。まーそういうようなものだ。ただたんに思考が造り出した幻想の物体だよ。だれにでもできる基礎中の基礎じゃよ。」

 といってもそれを頭の中に鮮明に思い浮かべることができるまでには永遠という程のながーい歳月が必要なんだけどねと。あとに思いましたが、それは本人の思考の中でその出現させたい物質が鮮明に思い出せる程の思い出があれば、すぐに出現させることができるのだけどね。と口にはだしませんでしたが、そう言いたい気分にさせるほどの眼力が眼の前の馬のかわいいきらきらした眼にはあったのでした。

 「ふーん、じゃあこういうことですかー」

 といって、馬は素早く思考を巡らせ、手の上にもてもしない主人の実際の体を出現させるのでした。

 それをみたタヌキんど一世は、案外はやく上達させられるかもなと目をキラキラと輝かせながら思っていました。

 


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