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馬を引く者  作者: 江鋼太値
 馬を引く者                    第一幕 葛藤
11/43

11、灰色の空の中の戦い



 「ぎゃーーーーー」

 天と地が落ちるとき、人が笑い、人が死ぬ。ゴーレムが叫ぶとき、人が夢に落ちる。人の夢に入るとその人はゴーレムの意のままに動く人形となる。

 

 ゴーレムと二人が対面しています。二人は灰色の岩の怪物の目の前にいます。

 その異様な姿を眼にして、二人はその場に座りこんでしまいました。体と地面が密着してくっついてしまったかのようにそこで座り込み、呆然としている。そのタイミングを逃すはずがなかったゴーレムは、灰色の岩の手で二人を包みこみました。二人はそのままゴーレムの手の中でもがいています。

 足をバタつかせ、両手でゴーレムの手をつぶそうと思い、手に思いっきり力を込めてゴーレムの手をつかんでいます。狸一人がそんなことをしても、こやつに敵うはずもなかったのでした。

 一人の狸が岩の巨人に敵うはずもありません。二人がゴーレムに捕まっているときに一匹の黄色い狸が、ゴーレムの眼の前に大きなハンマーを肩に担いだ状態で現れました。

 ゴーレムに睨みを効かせながら、黄色い狸は突進していきます。血迷ったのでしょうか?それともなにか勝算があるのでしょうか?

 突進する黄色い狸を捕まえようとして、ゴーレムは、二人を手から離してしまいます。人質が解放されて、黄色い狸は、不敵な笑みを浮かべました。

 月と天がひとつになるとき、天に轟きが奔る。

 それが天と月の恋の始まりである。その最中にゴーレムに向かって一人真っ向勝負を挑む戦士がいたのでした。名は「タヌキんど一世」。彼は、人呼んで黄色い閃光とも呼ばれています。

 それはなぜかというと、雷が轟くよりも速い速度で天と地をつなぐ光の螺旋階段を駆け抜けてしまうといわれているからです。

 ゴーレムの眼にその狸の姿が映るわけもなく、ゴーレムは右に左に顔をきょろきょろさせています。

 「月夜(つきよ)弾丸(だんがん)ドリルライナー」

 黄色い狸はそういうと、ハンマーを肩にのせ、大きくジャンプをしました。ゴーレムの岩の背中が丸見えです。敵に背中を見せたらもう勝機はありません。

 天高くジャンプした狸の背後には、黄色くて丸い月(この惑星の衛星は月ではありませんが、今は説明したくないので、月と詠んでおきます。後で説明しますがね)があります。月と狸が水平線上に並んでいます。今日の月は満月のようです。

 そして、黄色い狸は、その光を背に空中でいったん停止すると、体を前に倒し、足を月のほうにして両手でハンマーの持ち手のところを握るようにして一直線上になって時計まわりにくるくると回りはじめました。回転力を溜めているようです。十秒後、そのドリルのような回転(かいてん)(だぬき)が、ゴーレムに向かって動き出しました。最初はゆっくりと、徐々に速くなっていきます。そしてものすごいスピードになり、時速500kmがでたところで、ゴーレムを背中からつらぬきました。

 ゴーレムの背中に大きな穴が空き、その穴を支えることができなくなったゴーレムは、レンガのように灰色の土がどんどんとくずれさっていきます。

 周囲にドンドンという大きな岩が落ちるような音だけがその空間にこだましているのでした。

 ゴーレムとの戦いに勝利をおさめた黄色い狸をみつめる馬を引く者と馬は、そこで意識を失ってしまうのでした。


                      ▲


 そして、二人はタヌキんど一世の部屋で眼を覚ますのでした。


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