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教室の小さな戦い

カーテンの隙間から指す光が俺の睡眠を妨げる。

暖かい陽気に俺の睡魔は光などには負けず、俺を心地よく寝るらせてくれる。


「この問題を…燈」


俺の名前はあかり しゅう

今、俺の名前を呼び反応が無いことに気づいた男はこのクラスの担任の青島あおしま

そして青島は教科書を丸め、俺に近づいてきた。

もちろんのこと俺は寝ているために気づかない。

周りのやつはもう手遅れだってわかってるため俺を起こそうとはしない。

いやできないのだ。

もし俺を起こし青島の機嫌を損ねたりしたら課題が何枚くるかわからない。

そしてみんなに見守られながら青島は俺のところについた。


「お、おまえはいつも寝やがって」


そう言い振りかぶる右手に丸められた教科書。

それは俺の頭に勢い良く叩きつけられた。

良い音が教室中に鳴り響く。


「いってぇ!」


深い眠りから一撃で起こされた俺は勢い良く声を上げた。

頭を手で押さえ、奴を見る。

手を組み俺を見下ろす巨体。


「おはよう燈」


「お、おはようごさいます」


一瞬向けた敵意はたった一言で消え失せた。

その野太い声は俺に恐怖を思い出させた。

教室のみんなをちらっと見てみれば緊張の文字が見て取れる。


「黒板の問題を解いてみろ」


「えっ」


言われ黒板を見る。

白いチョークで書かれた数字や記号達。

はっきり言って全くわからない。

なんだあの記号は?

∫?

こんな記号を見るのは初めてだ。


「まさか寝ていたのにわからないのか」


そう言い丸めた教科書を左手の平に打ち付けている。

わからないなんて言ったら何をされるか。

俺は決心し言った。


「何を言ってるんですか。楽勝ですよ」


そう言い教科書を持ち立ち上がる。

クラスの生徒と青島に見守られながら俺は黒板の前に立つ。

チョークを持ち教科書を見る。

冷や汗が俺の頬を垂れる。


「早くしてくれないか?時間は決まってるんだ」


青島が嫌味を言ってくる。

楽勝なんて強がるんじゃなかった。

俺が強く黒板にチョークを立てると、真ん中から二つにチョークが割れた。

先端から真ん中までのチョークが床に落ちる。

その時あるものに気づいた。

小さく折られた紙。

それをそっと拾い広げる。

それには黒板の回答と思わしき数字と記号が並んでいた。

この文字…遥!

俺は教科書に手紙を挟み立ち上がる。

手紙を見ながらスラスラとチョークを動かし、文字を描く。

チョーク置き場にパタっと置き教科書を閉じる。


「これでいいですか?」


渾身のドヤ顔で言う。

教卓の目の前の席に座る遥がノートの端に 放課後 アイス と書いている。

それを見て俺は席に戻る。


「予習してるからって寝てるんじゃねぇぞ」


何処か悔しそうだが、嬉しそうでもある青島とすれ違い俺は席に着く。

良かったと一息付き俺は外を見た。


空を飛ぶドラゴンみたいなものが奥の方に見えた。

驚き目をこする。

もう一度見た時には既にいなかった。

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