普通の人たちの向けるまなざし
もしすべての人が、彼の行いを知ったとしたら――その言葉を信じたとしたら――彼はどういう存在になるのでしょう?
けれど、大衆は何も知らない。
何も知らないまま、普通にしていて、ただ感じる表面だけを信じ、そして男を得体のしれないものとして排他する。
「無知」というのは、それだけで――誰かを傷つけえる。
一際大きな波の音と、ウミネコの声を聴いた男性は、ふと思考の海から帰り、家に戻って行った。
家に着くと玄関口には郵便局員が立っていた。
「配達ですか?」
「え? あ、はい。ええと、こちらの家の方ですか?」
「はい、そうです。僕が受け取っておきますよ」
「では、こちらのサインかハンコを……」
男性は差し出されたカーボン紙にサインを記入しようとすると、ふと視線を感じて顔を上げた。
「…………」
そこには無言で、蔑むような視線を向ける一人の社会人が居た。
「……はい、これで」
男性はその視線を無視するようにすると、慣れ親しんだ名前を記入してそれを差し出した。
ありがとうございます、と言って郵便局員はその場を去った。去り際に、もう一度男性の方――家の方を振り返り、気味の悪そうな表情を隠しながら。
「まぁ、当然……か」
噂くらいにはなっているだろう。男性の過去も、昔のこととは言え憶えている人が居て、そこから話が広まっていてもおかしくはない。
過去は消えないのだ、どう足掻いても。
家に戻って素麺を食べると、窓から吹く心地良い風に撫でられ、深い眠りについた。
かなり少なめですね。
でも、割と作者が重要視したいところでもあります。
ボリューム重視の人には物足りないでしょうが、ご容赦を。
「これが人間のしていることだろう?」と、そういうメッセージです。
さて……次が最後の投稿となります。
どうせなら、最後は華々しい日時に投稿したいので、
週刊という名を裏切り最後は大晦日に投稿したいと思います。
突然の、かつ個人的満足が故の変更を、重ねてご容赦ください。