これが俺の力!
この作品には残酷な描写が含まれます。15歳未満の方はすぐに移動してください。
「なぁ、ちっと金貸してくんね?」
ああ。またか。
どこにでも蔓延ってんだな。こういう輩。
「なぁ、おい、待てよ。金置いてけよ」
「それともちょっと痛い目にあいたいのか」
夕闇も押し迫った公園の一角で俺を取り囲む数人。正確には5人か。
手にはナイフを持つ者もいる。年格好からして高校生…いや、むしろ学校にすら行ってないのではと思う身なり。無意味に金属系のものをジャラジャラと身に纏い、鎖の一部を振り回す。その行為が脅しにでもなると言わんばかりに。
でも、俺には無効だよ。すべてすべて…。だから放っておいてくれ。
「おい!逃げんな!てめ!」
「待てよ、オラ!」
無視して立ち去ろうとする俺をナイフを手にし追いかけてくる。加減をしらないこいつは簡単にその刃を俺に付き立てるだろう。刺されば止めどなく赤い血液が流れ絶望的な終焉を迎える。
だけどだけど…
「俺には無駄だよ」
「な!?」
刃は俺の体に刺さる一歩手前で止まる。いや、俺が止めたのだ。
「な…んだよ…、手が動かねぇ…!」
ナイフを持つ者の腕がフルフルと振るえ、力を込めているのにどうしてもそれ以上動かないように見受けられる。
「何やってんスか、上島サン…うぉ!?」
そんな光景を見かねて助勢にやって来た一人が俺の手前で派手に弾き飛ばれて地面に転がる。
「な!?」
「何しやがった、てめ!」
ここで漸く異常に気づく彼ら。
そうとなれば残り3人が一斉に俺へと襲いかかる。形振りなど構っていられない。ただ相手を打ち負かせばいい。そんな感情が伝わってくる。激情、昂揚。彼らの精神状態は興奮していた。
「…無駄だって言ってんだろ!」
だが、生憎と俺も今、精神状態は正常じゃない。運が悪かったな。
俺が思いきり目を見開き相手を睨み付けると、ただそれだけでかかって来た3人はそこに留まっていた2人と共に見事に周囲に吹き飛ばされた。
その間俺はその場から一歩も動いてない。まして腕一本動かしていない。
―そう、これが俺のESP。