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23、ホント、残念だね。

前回までは……


溺れそうになって聖剣の力使ったら、あたり一帯更地になりました。


トント少年は呪いによって形態変化し始めたので、呪いの財布に触って解除しようとしたら、襲われました。


勇者怒ってトント少年を殺そうと聖剣を抜いてしまいます。


トント少年の仲間も駆けつけてきて、これはピンチ!


「誰か助けて~!!」

と、叫ぶ私。








 助けを求めて叫んだ瞬間、私たちとトント少年の間の土が盛り上がった。



 「え?」



 何事かと思っていると、どんどん土が盛り上がり、そして――――。



 「だぁあっ!僕はいったい……。そうだ、確か白い光に包まれて……はっ!もしかして神のお告げ!?」



 見覚えのある神官服の男が地面から出てきた。



 「土で汚れてるけど、あれは金髪……もしかして……」



 以前道端で会い、私を消そうとして逆に勇者にぼこぼこにされた元美青年ではないか!?

 顔の怪我が治ってもとの美青年に戻っているが、土がこびりついていて残念な美青年になっている。

 


 「ん?何やら邪悪な気配」



 残念な美青年はきょろきょろとあたりを見回すと、目の前にいるトント少年を見た。



 「こ、これは!悪の力に支配されている!」



 残念な美青年は立ちあがると、首から下げているペンダントを握りしめた。


 あれ?あのペンダント新しくなってる。

 以前会ったとき勇者が捻りつぶしたのだが、どうやら新調できたらしい。



 「我が奥に眠る光の魔力よ、今解放の時!」



 そう言い、残念な美青年はペンダントを高く掲げた。


 すると、そのペンダントから眩しい光が迸る。



 まぶしっ!と思った瞬間、勇者は私を背後に隠した。



 「悪よ、今この時をもって滅びよ!!」



 さらに光が迸り、それがまとまったと思うと、一直線にトント少年に向かった。


 光を浴びたトント少年はもがき苦しみ、何か黒い煙が身体から出てきた。



 「ほう、【光の魔法】……。彼はちゃんと使えるらしいな」



 勇者がポツリと言葉をもらしました。



 【光の魔法】?



 ただの魔法ではないのだろうか。

 こちとら魔法には縁のない田舎ものでして、何のことかさっぱり。



 暫くして黒い煙が出なくなると、トント少年はすっかり元通りになり、手からポトリと財布を落としてうつ伏せに倒れた。



 「トント!」



 仲間の少年たちがトントに駆け寄り、揺さぶった。



 「あの……」



 振り向くと、勇者にトントを救ってほしいと言った少年たちが不安そうな顔で立っていた。



 「この場所、いったいどうしちゃったんですか?」



 そりゃぁ、答えられないだろう。

 助けを求められたのに、少年たちの住処まで壊してしまったのだ。


 この純粋無垢の子ども達にどう、説明するのか……。



 その時、ガチャ、ガチャという足音が聞こえ始めた。

 しかもそれは一つではなく、いくつもある。



 「我等は町の自警団のものである!つい先ほど、岩山に面している壁が一部消失した!どうやらここを中心に辺り一帯が消失している模様。原因の究明に来た!」



 あー、やばい。


 聖剣は魔物から町を守る壁までも消失させてしまったらしい。

 町にとって自慢の壁みたいだから、これをやったのが勇者だとばれると、かなりまずい。



 「どうすんのさ」


 「……」



 流石の勇者も考えあぐねているようだ。



 「あ、やっと見つけましたよ!勇者様!!」



 その声に視線を向けると、泥まみれの残念な美青年がこちらに近寄ってきた。



 「む?まだあの気配が……。今度こそ僕が成仏させて――――」



 その時、私は見た。


 残念な美青年を見た勇者の顔が、一瞬ニヤリと笑ったのを――――。



 「自警団の者たち、そして子どもよ。()が見たことを話そう。――彼こそが救世主だ!」



 そういって示したのは――――。



 「へ?」



 残念な美青年だった。



 「()は呪いにかけられたトント少年を救おうと岩山の中に入ったが、それがトント少年の呪いを刺激したのだろう。呪いは暴走し、こんな惨事になってしまった」


 「いや、実際にこの惨事を作ったのはあんたでしょう」



 思わずつっこんでしまったが、幸いなことに勇者以外私の声を聴けるものはいない。



 「()は水の中で体力を奪われ、呪いを抑えきれずにいた」


 「ピンピンしてたし、何もする気なかっただろうが」


 「そこに現れたのが彼。彼は高度な【光の魔法】の使い手です」


 『おぉ!』



 と周りから声が上がり、残念な美青年に視線が集まる。



 「彼は聖職者。みなさんが困っていることをきっと助けてくれることでしょう」



 そ勇者がそう締めくくると、残念な美青年に人が殺到した。



 「えっ!ちょっとみなさん、僕は――え、えぇっ!?」



 注目が残念な美青年に向いている隙に、私たちは財布を回収し、町へ戻ったのだった。



 「助けて、勇者様――――っ!!」



 叫び声は空しく空に消えていくのだった。

 








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