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9、幽霊だって意識を失うんです

本日二話目。


甘くしてみました。





 死にはしませんが、死にかけました。







 美青年が。




 もう顔とか「美青年?何言っちゃってんの?」くらいひどいぼこぼこになってしまいまして……。勇者よ、せめて顔だけは原型をとどめて置いてくれればいいものを。世の女性たちが泣きますよ?


 まぁ私も、美青年がナルシストなら滅茶苦茶にしてもいいと思いましたが、美青年……おっと……元美青年はそんな感じではありませんでしたからね。ただの勘違い馬鹿です。



 ……私?


 私は無事ですよ。死んだと思ったのは元美青年のことですし。私を天に召そうとする背後に勇者が立った瞬間、彼の死を悟りました。



 前回の最初で「命(存在)の危機だからですよ~~~~~っ!!」とか言いましたが、あれはその場のノリです。


 私、幽霊でも悪霊の部類なので、そういう悪戯時々しちゃうんです。悪霊はもともと怨みつらみでなるものなので、悪の部分が表に出やすいんです。


 でも、その人に素質がなければ出てきませんから、私にその素質があったってことです。


 まぁ、完全にない人などこの世にいませんが。







 話をもとに戻しますが、元美青年は自分が攻撃されたことに困惑しているらしく、勇者に疑問の視線を向けています。


 「レイは俺のモノだ」



 ……はい。説明たりないですね。


 ただ使役されているだけですよー、むしろこっちが助けてほしいよー、と伝えたいが、どうやら元美青年はただならぬ気配は感じるが、声や姿を認識することはできないらしい。



 いや、そうそう見えてほしくないが。



 だって、私(幽霊)に触れるので山ひとつ消える魔力だよ?

 見えたり喋れたりするのだったら……町一つ?


 そんな人がいるんなら魔物倒せや!とか、思ってしまう。




 元美青年は勇者の言ったことにポカンとしたあと、私の気配を感じる方に向いた。(若干右にずれている)


 「おまへが、ゆうひゃを、|たふらかひひゃんひゃな《たぶらかしたんだな》!」


顔中腫れているので聞き取りにくかったが、何を言いたいのかは分かった。


 「ひょくは(ぼくが)へっひてやひゅ(めっしてやる)!!」


 滅せられる前に、勇者に沈められました。


 さらに地面に顔をめり込ませた元美形の首元からペンダントを取ると、握力で握り潰しました。


 ……いや、あれ確か特殊金属でできていると聞いたことがあるような。聖職者の証として独立するころに神殿から渡され、一生大事にしなければならないものだとか……。


 「これでもう狙われない」


 勇者は満足そうにいい、私の腰を抱いて引き寄せた。

 抵抗する間もなく顎を持ち上げられ、チュッとキスを落とされる。


 セ、セーフ……。


 唇につく直前に僅かに顔を背け、唇のすぐ横に落ちる。


 「――」


 「え?」


 小声で何かささやかれ、油断した一瞬。カプリと食らいつくように唇を奪われた。


 「ん、ぅむ……うぁ……」


 「ん……」


 がっしりと顎を掴まれ逃げられないままたっぷりと味わいつくされ、放されるころには力が全部抜けていた。



 「消させないよ」



 耳にエロボイスが直撃し、体が跳ねる。




 「レイは俺のだ」




 もう一度唇にチュッと音を立ててキスを落とされ、私の意識はどこかに行った。








勇者がなんだかヤンデレぎみ?

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