お茶入れスキルは重要です。
次の日からハードスケジュールの日々が始まった。
午前中は主に勉強。この世界や国の歴史や文化、宗教など勉強しなくてはいけないことが山ほどあった。
午後からは王女の身の回りのお世話や来客応対、スケジュール管理の仕方などを他の人に教えてもらっている。だが、王女は私に「私の下で働いて」と言っていたが、どうも「働く」だけではないようだ。
「友人」が欲しかったのかも知れない。その証拠に望まれればお茶や食事に同席するし、おしゃべりもする。
おどろくことにその際、レフィーナ王女のお兄様で第一王子のレオフォード様も同席なさる事が多い。
さらにおどろくことに王子は私の歴史の先生でもある。
なんでも初代国王の興味があり、歴史書を読み漁るうちに学者も舌を巻くほど詳しくなってしまったらしい。
異世界から突然連れてこられてしまった私を不憫に思い、力になれないかと歴史の先生に立候補してくださった。
今日もレフィーナ様の私室でお昼のお茶を楽しんでいるときにノックの音がした。
「こんにちは。」
侍女が扉を開けるとレオフォード様が入ってきた。
レフィーナ様が椅子から立ち上がり、レオフォード様を迎える。
手には花束が持ち、2人は挨拶がすむと私に向き直る。
「これを。」
毎回レオフォード様はレフィーナ様を訪問する際、花束をお持ちになる。
それをレフィーナ様の手を煩わせないよう一番近くにいる私にお渡しになる。「活けておいてくれ」という意味だろう。
「ありがとうございます。」
受け取ると笑顔でお礼を言う。私はレフィーナ様の下で働く身。使える人物への贈り物を渡されたのだからお礼を言うのが当然だろう。
お礼をいうと毎回何故か目線を逸らされてしまうのだが。
そしてレフィーナ様は毎回ため息をつかれる。
意味はわからないが2人とも何か思うところがあるのかもしれない。
プライベートなことだろうからあえて聞かない。
(念のため言って措くが、決して相談されるのがめんどくさそうなので聞かない訳ではない。断じて相談されたせいで巻き込まれたなんてことになりたくないから聞かないという訳はない。)
そして3人でお茶をする。お茶を入れるのは私だ。秘書として働いた際に相手方に失礼のないようお茶をお出ししていたスキルがここで発揮される。
どんなリクエストにも答えられるよう紅茶、コーヒー、日本茶、抹茶。一通り勉強した。特にお抹茶は難しく、習得するために週に一度茶室に通って人前に出せるようになるまで時間がかかってしまったが。
入れたお茶を三人で飲みながら、主に話をするのはレフィーナ様と私だ。レオフォード様は相槌を打ったり、一言二言話をされたりするが、話の腰を折ったりはなさらない。
特に2人は私がきた世界のことを聞きたがった。
そうやって時間を過ごしていると、レオフォード様の従者の方が次の予定を知らせに来るなどしてお開きになる。
お開きになったあと、頂いた花をどこに活けるのかを考えるのが最近の日課になってしまった。
レフィーナ様の寝室はもう頂いた花でいっぱいになってしまったので、そろそろ別の部屋に活けた方が良いかも知れない。
今日はこのままこの部屋に活けることにしよう。