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人の話を聞いてますか!?

重い目蓋を開けるとキラキラしたものが見えた。

ボヤっとしか見えなかったので、目をこすりそれが何か認識しようとすると

「目が覚めた?」

キラキラしたものがしゃべった。

どうやら人だったらしい。

キラキラとしていたのは声を発した人物の髪の毛だったらしい。腰の辺りまで伸びたウェーブのかかった金髪が窓からの光を浴びて光っている。

私の顔を覗き込む瞳は金髪同様、日本人ではあり得ない澄んだ海のような青。

大きな瞳に長いまつげ、ふっくらした頬に唇。可愛いという形容詞がピッタリのまるで人形のような顔の少女が横にいた。

「…ここは?」

「ここはシャクール王国の王城。私はこの国の第一王女レフィーナ。ちなみにこの部屋は私の私室ね。」

明らかに外国人風の少女にダメもとで日本語で尋ねたが流暢な日本語で返ってきた。

「まず貴女の名前を聞いてもいいかしら?」

にっこり微笑んだレフィーナ王女は私の手を握りながら言った。



名前を教えたあと、レフィーナ王女は色々なことを教えてくれた。

その時の話を要約すると、どうも私は異世界トリップというものを体験したようだ。

トリップ先の世界では異世界から渡ってきた人は初めてではなく、稀にいるらしい。

どうやってこの世界に渡ったのか誰も知らないので、当然もとの世界に帰る術も見つかっていない。異世界人は一旦、貴族や王族に保護され、この世界の常識やマナーなど日常生活に困らない知識を身につけたあと、働き口や生活を斡旋してくれるらしい。


いきなり違う世界に連れて来られて、明らかに日本じゃない景色に人々の服装、生活。理解は出来たが、納得できるまで数日を要した。もともとあきらめの早い性格。現実を受け入れるとこれからの生活を相談しに王女のもとに向かった。



「貴女を見つけたのは私。だから私が保護するわ。」

「ありがとうございます。」

ありがたい申し出だ。何もわからない何の伝もない世界に放り出されて、一縷の光のような申し出だった。だがその後が良くなかった。


「だから私の下で働かない?」

「お断りします。」

「どうして?」

「どんな仕事内容かかわかりませんので」

王女がどういう経緯で私を望むのかわからないが、迂闊に頷いてはいけない気がする。これからこの世界の常識を学ばないといけないのに、その上に王族の下で働くなんて詳しい仕事内容を知らないがめんどくさそうな職種この上ないだろう。できればもう少し平凡でハードルの低そうな職種が良い。


「そんなに難しくないと思うわよ。私のスケジュール管理に来客応対、あとは細々した身の回りのことかしら。」

大体は秘書の仕事と同じですか。細々とした仕事の内容が気になりますが、何か出来そうな仕事内容ですね。でも自分の首を絞めるようなこと口に出しては言いませんよ。だからそんな可愛く首をかしげながら言っても引き受けませんよ。

「申し訳ございませんが…」

再度断ろうとしたら、満面の笑みで言葉を遮られた。

「でももう手配したから頑張ってネ!」

「はい!?」

人の話聞いてます!?

私は頼る人を間違ったのかもしれない。

この日から世界の常識を学びつつ、王女の下で半強制的に働く日常を送る羽目になった。

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