溶解路
xxxx年y月z日
暑い。
日が昇り太陽光が顔を刺激する。
数秒当たっただけでも日焼けしてしまいそうだ。
暑さに起きてしまい、あることに気づいた。
冷房が効いてない。
どうやら冷房も熱中症になる時代になったようだ。
外に出て冷えたところに行きたいが、暑すぎて出る気力が湧かない。
冷蔵庫から氷を食べようとしたが、水浸しになっていた。
この時期の電化製品はみな熱中症なのだろうか。
特にすることもないので、テレビでもつけながら、友人にでも連絡しよう。
「うちの家電みんな体たらくすぎて困っちゃう」
......
2時間くらいたっただろうか。
ニュースばかり流れていたテレビを見続けていた。
平均気温が60度だと。
目玉焼きでも作れるんじゃないか。
ようやく返信が来た
「俺...もうじき死ぬかもしれん。」
「え?本当か?」
「ああ。液体みたいに肉が爛れてきた。」
「大丈夫か?病院にでも行ったらどうだ?」
「無理だろ。向かってる最中に地面の糧になってしまう。もう諦めるしかないよ。」
どうしようもできないな...
「俺が死ぬ前に声だけでも聞きたい。電話していいか?」
「ああ。」
電話がかかってきた。本当に近いようだ。
「やあ。こうやって声で会話したのっていつ以来だっけ。」
「多分、2年…いやもう分からんぐらいには会話してないな。」
「だよね...この世界が常夏になってから、政府が外出を禁止してきたからね。
色々感覚が狂っちゃうよ。」
段々と声が弱っているような気がした。
「最後にさ、あんたと会話できてよかったよ。本当にありがとうな。」
「おい...それが遺言だったりしないよな...な?」
声が聞こえなくなった。
ああ。もう死んだんだ。
溶けたんだな。
家の中で息を引き取っただけましだと思えるようになってしまった。
なんとなく窓の外を見ていると、
溶けて死んでいるセミがいた。
残酷なものだ。土の中では比較的外よりは涼しく暮らしてただろうに。
のどが渇いた...
冷蔵庫を開けてももぬけのからだったし、自販機でなんか買いに行くか。
自販機は路地にあるし少しは出ても問題ないだろう。
......
俺はかなり甘く見ていたようだ。
自販機から焦げ臭い煙が立っている上に全部売り切れだ。
しかもすごい暑い。
まるで溶解炉の中にいるように感じれてしまう。
いや、炉ではないから溶解路か。
こじつけすぎるな。




