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レクイエムの魔法使い  作者: Liew


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【プロローグ】

読んでいただく前に、少しだけお伝えさせてください。

この物語はブラジル人の作者によって書かれた作品です。日本語訳ではできるだけ自然な表現になるよう努めましたが、西洋の作者による作品のため、文章の構造や考え方、会話の雰囲気などが日本の作品とは少し異なって感じられるかもしれません。

また、細かな誤字などが含まれている可能性もあります。

ご理解いただき、この作品に目を通してくださることに心から感謝いたします。

血が肩から肘へと伝い落ちていた。息を吸おうとした瞬間、煙が一気に喉に入り込み、乾いた咳が胸を揺らした。


それでも、あの瞬間に比べれば大したことはなかった。傷口に手を押し当てられた、あの瞬間に。


背中を壁に押しつけ、焦げた木の一点に視線を固定した。包帯を巻く手の感触だけに意識を向け、それ以外は考えないようにする。


痛みは引かなかった。気づけば、いつの間にか手が伸びて、エレンドの手首をつかんでいた。彼は一ミリも動かなかった。ただ、その手を引こうとはしなかった。


「……早く終わらせてくれないか」


歯を食いしばったまま言った。


エレンドは一瞬だけこちらを見て、何も答えず包帯へと視線を戻した。まるで、それ以外のすべてが消えてしまったかのようだった。頭上では巨大な時計の歯車が回り、深夜零時を告げる鐘が鳴っている。


炎から逃れられる空間は、せいぜい一メートルほどしかない。背中の木材が、じわじわと熱を増していく。扉の向こうでは爪が何度も木を引き裂き、そのたびに床が足元で揺れた。


エレンドが肩への圧力を強めた瞬間、また視線が合った。包帯を仕上げているのだとわかった。肺から空気が抜ける。叫びが喉を引き裂いた。空いている腕で殴りつけたい衝動が、痛みと一緒に込み上げてきた。


「このっ……!」


声が漏れた。


「助けようとしてるんだけどな」


頬に触れそうなほど顔を近づけて、エレンドが言った。


「……不死身なら必要ないか、レディ・ザラ?」


手首をさらに強く握った。肩を傷口に押しつけると、血がまたにじみ出してくるのがわかった。


「この世のどんな生き物と同じように、血は流れる、エレンド」


息が上がっていた。


「……全部失えば、死に近い状態になる」


「影の君主の城で地獄を生き抜いて、最後は狼男の丸焼きになるとはね……」


軽い、からかうような女の声が上から降ってきた。


「なんて悲劇的な最期、ザラ」


頭を上げると、シリーがいた。十五センチほどの皮肉のかたまりが時計の骨組みの上で足を組み、まるでここが見世物でもあるかのようにくつろいでいた。


「シリー……」


鼻から息が漏れた。


「そのいやみで、これ以上ひどくしないでくれる?」


「いやみ? ただパターンを指摘してるだけよ」


シリーは数センチだけ降りてきた。羽がかすかにはためく。


「若くていい顔した子に助けを求められると、すぐ考えるのやめるじゃない。……若い顔に弱いやつね」


「こんなところに引っ張り込んだのは、あんただろ」


歯を食いしばりながら言い返した。


肩への圧力がじわじわと効いてきて、流れていた血がゆっくりと細い糸になっていく。痛みは一点に集まり、どうにか耐えられる程度になっていた。


「こんなもんか」


エレンドが言った。


「……世界最強の魔法使いにしては、期待外れだな」


「吟遊詩人の話、本気で信じてるの?」


顔をしかめながら聞いた。


「あいつらが歌う話から聞いたことなら……たいていは嘘だ」


エレンドの眉が寄った。子どものころから信じていた伝説が崩れていくような、そんな顔だとわかった。扉の爪が、今度は蝶番ごともぎ取りそうな勢いで木を引き裂く。


しばらく見つめ合ってから、視線を外した。


「じゃあ、これで短い縁も終わりか」


腰に手を添えたまま、エレンドが言った。


「……墓石に何て刻む?」


わずかに首を傾けた。手のひらの熱と圧がじわりと増して、胸の奥で息が詰まった。


「なんであたしだけ死ぬの」


また目が合った。


エレンドが小さく笑った。あたしも鼻から息を漏らして返した。


「生き残ったら伝えておいて」


続けた。


「ここ最近うんざりさせてくれた連中、全員に取り憑いてやるって。あんたも含めてね」


エレンドは片側だけで笑ったが、一度も手を離さなかった。炎の一部がこちらへ迫ってきた瞬間、彼はさらに体をかぶせてきた。炎とあたしの間に、自分の体を割り込ませるように。


同時に、あたしは手を胸の中心に当てて胸骨を押さえた。呼吸のリズムが戻るまで。


空気が入ってきた。荒く、煙と浮遊するマナの粒子を含んでいる。そのまま考えた。幾世紀もの間に積み重ねてきた選択のどれが、天の英雄と呼ばれた男の傍らにいた場所から、燃え盛る塔へとあたしを引きずり込んだのかを。


アラリックが頭をよぎった。思わず笑いそうになった。もし彼がここにいたら、その衝動の速さで状況をもっと悪くしていたに違いない。


「ぼーっとしてるの、それとも何か役に立つことする?」


シリーの声が思考を断ち切った。


「ドア、もう持たないわよ、ザラ」

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