第7話:今さら戻ってこいと言われても
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元パーティによる「手のひら返し」からの、フェイトによる「強制退場」。
一度捨てたものは、もう二度と元には戻らない――そんな無常さを(フェイトなりに)表現してみました。
聖女様の激怒っぷりも、フェイトへの忠誠心の表れですね!
「な、なぁ、フェイト……。冗談だろ? そのスキル、本当に【ゴミ拾い】なのか?」
ヴォルグが震える声で問いかける。
彼の自慢だった大剣は、オーガの一撃を受け止めただけでボロボロにひび割れていた。
「ああ。落ちているものを拾って、使える形に整える。それだけだ」
「それが『それだけ』なわけないでしょう!?」
魔術師のリンダが絶叫した。
彼女の目には、フェイトの背後に広がる離宮の異常さがはっきりと映っていた。
壁一面に埋め込まれた魔石。伝説級の神聖布を纏った聖女。そして、漂ってくる王宮以上の気品。
「フェイト……。悪かった、俺たちが間違っていたよ! お前がいなくなってから、装備の調子が最悪なんだ。頼む、パーティに戻ってきてくれ!」
ヴォルグが床に頭を擦りつける。プライドの高い彼が、かつて見下していた荷物持ちに縋り付いていた。
「お前がいれば、俺たちはまた最強になれる! 今度は『荷物持ち』なんて言わない、正当な報酬も払うから!」
その言葉を聞いた瞬間、フェイトの隣で静かに控えていたエルシアの冷気が、物理的な圧となってヴォルグたちを襲った。
「正当な、報酬……? フェイト様がこれまで、あなたの無能な戦いぶりをどれほどの支援で支えてきたか、理解していないのですか?」
「ひっ……!」
「彼のスキルは、万物を構成する『概念』を司る神の領域。それをメンテナンス代わりに使わせておきながら、どの口がそれを言うのです」
エルシアの怒りに呼応するように、離宮全体が微かに鳴動する。
フェイトはため息をつき、飲み干したカップをエルシアに預けた。
「ヴォルグ。俺は今、忙しいんだ。ゴミの分別も、部屋の掃除も、家庭菜園の世話もある。……何より、ここの空気は綺麗だ。お前たちが持ち込む『悪意』というゴミを片付ける手間を増やしたくない」
「そんなこと言うなよ! 俺たちは仲間だろ!?」
「仲間をダンジョンの深層に捨てる奴が、どこにいるんだ?」
フェイトが静かに手をかざす。
「【分解】――【転送】」
「え……? あ、熱っ!? なんだ、体が消えて――」
ヴォルグたちの足元が光り輝き、その体が砂のように解けていく。
といっても、殺したわけではない。彼らの『位置情報』という概念を分解し、ダンジョンの入り口へと再構築して放り投げたのだ。
一瞬で静寂が戻ったリビング。
「ふぅ……。さて、エルシア。変なのが来て掃除が中断しちゃったけど、続きをやろうか」
「はい、フェイト様! ……あ、あの、先ほどフェイト様が仰った『家庭菜園』ですが……。あそこに生えているのは、伝説の『世界樹の苗』にしか見えないのですが、私の見間違いでしょうか?」
「ああ、あれか。その辺の枯れ木に『生命力のエッセンス』を過剰に注ぎ込んだら、ああなっちゃったんだ。まぁ、美味しい実がなれば何でもいいだろ」
フェイトの「ゴミ拾い(再構築)」は、もはやダンジョンの外へと影響を及ぼし始めていた。
第7話をお読みいただきありがとうございました!
「戻ってこい」と言われても「掃除の邪魔」と切り捨てるフェイト。
一方、ダンジョン入口に放り出されたヴォルグたちは、ここからさらなるどん底を味わうことになります。
次回、ついにフェイトの「家庭菜園」が収穫期を迎え……とんでもない事態を引き起こします。
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