第2話:ゴミ山は宝の山でした
お待たせいたしました、第2話です。
ようやく手に入れた自由。
フェイトが長年温めてきた「ゴミ拾い」の真の力が、ついに解き放たれます。
彼が最初に作り上げるのは……まさかの「アレ」でした。
ぜひお楽しみください!
あいつらに置いて行かれてから、数時間が経過した。
普通なら絶望して泣くところだが、俺の目の前には絶景が広がっていた。
「……すごいな。ここ、全部『ゴミ』扱いなのか」
ダンジョンの最深部。そこは、かつて攻略に挑んで敗れた者たちの遺棄場所になっていた。
折れた伝説の聖剣、持ち主を失った呪いの防具、そして巨大な魔物の骨。
一般の鑑定士が見れば「修復不能なガラクタ」だが、俺の【概念分解】を通せば話は別だ。
「よし、まずはこの『呪撃の黒鎧』からいくか」
触れるだけで精神を病むと言われる禍々しい鎧。俺が手をかざすと、黒い霧が霧散し、純粋な光の粒子へと還元される。
『対象:【呪撃の黒鎧】を分解しました』
『入手アイテム:【極質の魔鋼】×5、【呪詛のエッセンス】×1』
「次はあっちのボロボロの布だ」
『対象:【聖者の死装束】を分解しました』
『入手アイテム:【天界の糸】×10、【再生の残滓】×3』
次から次へと、システムメッセージが脳内に響く。
これまではパーティにバレないよう、移動中にこっそり小石を分解して「砂」にする程度に抑えていたが、今はもう遠慮はいらない。
「素材は揃ったな。……次は【再構築】だ」
【概念分解】の真価は、バラバラにした概念を自分の望む形に組み替えられることにある。
俺は入手した『天界の糸』と『不滅の皮膚』、それに『極質の魔鋼』をイメージの中で繋ぎ合わせた。
「……完成だ。とりあえずの『作業服』と『家』が欲しいな」
直後、俺の身体を眩い光が包む。
ボロボロだった村人服は、あらゆる衝撃を無効化する漆黒のコートへと変貌した。
さらに、目の前の岩壁が削れ、分解された物質が再構成されていく。
数分後。
暗く湿ったダンジョンの一角に、場違いなほど清潔で頑丈な「石造りのコテージ」が出現した。
自動洗浄機能付きの風呂、魔力で温度調整される寝具、そして外敵を自動で排除する迎撃結界。
「……あ、やりすぎたかも」
出来上がったのは、王都の貴族街にある屋敷よりも豪華な、文字通りの「絶対安全圏」だった。
「ふぅ……。寝床も確保したし、腹が減ったな。この辺に落ちてる『魔物のフン』でも分解して、肥料に変えて家庭菜園でも作るか」
俺がそんな暢気なことを考えていた、その時。
「……だ、誰か……助けて……」
結界の外から、消え入りそうな声が聞こえた。
見れば、ボロボロの白い法衣を纏った銀髪の美少女が、這いずるようにしてこちらへ手を伸ばしていた。
その背後には、この階層の主であるはずの『死霊騎士』が数体、剣を振り上げて迫っている。
「……ゴミ拾い中に、行き倒れを拾うことになるとはな」
俺は新調したコートの裾を翻し、玄関のドアを開けた。
第2話をお読みいただきありがとうございました。
ただの岩壁が、一瞬で王侯貴族も驚くような邸宅に……。
本人は「やりすぎた」と言っていますが、今後もっとやりすぎることになります。
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次回、ついにあの「聖女様」がフェイトの前に現れます。お楽しみに!




