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第12話:ゴミ捨て場の主と、焦る権力者

お読みいただきありがとうございます!

第12話では、フェイトが捨てた「ゴミ」を巡って地上の権力者たちがパニックに陥ります。

本人は良かれと思って自動ドアを作っていますが、その素材が「魔王の魂」というパワーワード。

ついにギルド側がフェイトを「世界の危機」として認識し始めますが、噛み合うはずのない両者の対面はどうなるのか……。

ぜひお楽しみください!

地上、冒険者ギルド。

 ギルドマスターのバッカスは、目の前に並べられた「黒い炭」と、窓の外に立ち込める「異様な霧」を交互に見て、頭を抱えていた。


「……ヴォルグ。もう一度言え。これは、あの『ゴミ拾い』のフェイトが捨てたものだと言うのか?」


「ああ、そうだ! あいつ、ダンジョンの深層でとんでもないお宝を独り占めしてやがるんだ! これはそのおこぼれで……いや、あいつが嫌がらせで俺たちに投げつけてきた呪いの品だ!」


 ヴォルグは顔を真っ黒に汚しながら叫んだ。

 彼の装備はすでに、洗濯機の廃液から漏れ出た「汚れの概念」に侵食され、ボロボロに朽ち果てている。


 バッカスは、ギルドに所属する一流の鑑定士を呼んだ。

 鑑定士は、ヴォルグが「炭」と呼ぶ物体を恐る恐る調べ、そして絶叫した。


「バ、バッカス様! これは……炭などではありません! 極限まで圧縮された『神代の魔力』の残滓です! 例えるなら、最高級の宝石を粉々にして、一番美味しい輝きだけを抜き取った後の『抜け殻』……。本来なら、こんな抜け殻がこの世に存在すること自体、あり得ないのです!」


「何だと……?」


「つまり、中身(概念)を引き抜けるほどの、神の指先を持つ者がこの先にいるということです!」


 ギルドマスターの顔から血の気が引いた。

 Sランクパーティ『栄光の盾』が「無能」と称して切り捨てた男。

 その男が、今やダンジョンの生態系を、いや世界の理を「掃除」という名目で書き換えている。


「すぐに調査隊を……いや、特使を送れ! 彼を怒らせてはならん。もし彼が『この世界自体がゴミだ』と判断して【分解】し始めたら、人類は終わりだぞ!」


 地上の喧騒を余所に、ダンジョン最深部。

 フェイトは、離宮の玄関に設置した「センサー付き全自動ドア」の調整をしていた。


「……フェイト様。今、扉の素材に『魔王の魂』を練り込みませんでしたか? 扉が開くたびに絶望の叫びが聞こえる気がするのですが……」


「気のせいだろ。ほら、エルシアが通る時だけ『聖歌』が流れるように設定しといたぞ。これなら防犯にもなるし、気分も上がるだろ?」


「……。ありがとうございます。もう、何が起きても驚かないと決めたはずなのに、毎日新記録を更新されますね」


 エルシアは諦めたように笑い、フェイトが分解した「深淵の魔石」で作ったティーカップを口に運ぶ。

 その頃、ギルドが派遣した決死の「特使」たちが、フェイトの捨てた『ゴミ出しルート』を逆走して、地獄のような大掃除の現場へと足を踏み入れようとしていた。

第12話をお読みいただきありがとうございました!

「世界そのものをゴミと判断されたら人類終了」という、ギルドマスターの懸念が妙に説得力を持ってきましたね。

一方のフェイトは、聖女様専用のメロディ付きドアにご満悦な様子。

次回、そんな平和な離宮に地上の特使たちが(勝手に)決死の覚悟で突っ込んできます!


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