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第11話:神聖なる洗濯物

お読みいただきありがとうございます!

第11話は、フェイト特製の洗濯機が登場。

「洗う」という行為の定義が書き換えられるほどの超性能ですが、その裏では排出された「汚れ」が元パーティを襲うという、ちょっとした(?)トラブルも。

清潔すぎる離宮と、呪いにまみれる元パーティの対比をお楽しみください。

フェイトの「やりすぎ工作」は止まらない。

 拠点である離宮の裏手に、彼は新たな装置を設置していた。それは、鈍い銀色に輝く円筒形の物体――彼が言うところの『絶対に汚れない洗濯機』である。


「よし、これで完成だ。エルシア、溜まってた布類を持ってきてくれ」

「……フェイト様。その洗濯機の外装、さっき分解した『伝説の白銀龍の鱗』ですよね? 物理無効の耐性を持たせてどうするのですか?」

「いや、洗濯中に中で爆発とか起きたら危ないだろ?」

「普通の洗濯機は爆発しません!」


 エルシアの叫びを無視して、フェイトは彼女が差し出したボロボロのタオルや、探索中に汚れた予備の法衣を投入口に放り込んだ。

 この洗濯機の動力源は、深層の魔力溜まりから抽出した『純粋な洗浄概念』そのものだ。


「スイッチオン」


 ゴウン、と重厚な音が響く。

 洗濯機の中では、水ではなく「浄化の光」が渦巻いていた。汚れを落とすのではない。汚れという概念そのものを分解し、物質が最も美しかった「誕生直後の状態」へと再構成しているのだ。


「……あ、そういえばエルシア。それ、ただ洗うだけじゃなくて『付与エンチャント』機能もつけといたぞ。何がいいか分からなかったから、とりあえず『全属性無効』と『自己修復』を自動でかかるようにしておいた」

「さらっと神話級の防具を作らないでください! 国の宝物庫にある聖衣が全部ゴミになっちゃいます!」


 数分後、取り出されたタオルは、触れるだけで心が洗われるような神々しい光を放っていた。

 エルシアがそのタオルで顔を拭くと、あまりの心地よさに思わず頬が緩む。


「……悔しいですが、最高に気持ちいいです。肌に触れただけで魔力が回復していく洗濯物なんて、前代未聞ですよ……」

「だろ? 予備の服も全部これに通しておけよ」


 平和な離宮の日常。

 しかし、その「洗濯」の余波は思わぬ形でダンジョンの外へ漏れ出していた。

 

 洗濯機から排出された「汚れ(悪意や呪いの概念を分解したカス)」が、例のゴミ出しルートを通って地上へと流れ出たのだ。

 地上では、ギルド『栄光の盾』の周辺に、真っ黒な「呪いの霧」が立ち込めていた。


「な、なんだこの霧は!? 息をするだけで力が抜けるぞ!」

「ヴォルグ! これ、フェイトが捨てたゴミから出てるわよ! 早く何とかして!」


 自分たちが「お宝」だと思って必死にかき集めたゴミが、今や自分たちを蝕む毒霧の発生源となっていた。

 彼らが欲に目がくらんでゴミを捨てなかったせいで、自業自得の呪いがパーティを包み込んでいく。


 そんな惨状など知る由もないフェイトは、干し終わったばかりの「神々しいタオル」を肩にかけ、鼻歌まじりに次の掃除場所を探していた。

第11話をお読みいただきありがとうございました!

洗濯機に白銀龍の鱗を使う男、フェイト。彼の辞書に「加減」という文字はありません。

一方、ヴォルグたちはフェイトの「排泄物」で自滅の危機に。

次回、地上のギルドマスターがこの事態に動き出します。


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