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【最終章】侍女が王女に転生?!英雄と結婚して破滅の国を救います!  作者: カナタカエデ
第三章

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十七話 答え合わせ

「この方はロキア王国の初代国王様よ」


「ええっ、あの変……」


「そう。婚約の儀とかいう変な儀式を、自分の子孫に強制した国王よ」


「そ、そこまで言ってません」


二人の会話に苛立った様子で、老人は手にした杖を地面に叩きつけた。

その音を合図に、二人は互いに目を合わせ、老人を睨みつける。


「乱暴な方ですね」


「でしょ……そもそもこの人のせいで、私は転生する羽目になったのよ」


「えっ!? じゃあ、アメリア様や私を転生させたのが、初代国王ってことですか?」


老人は気まずそうな顔を浮かべつつ、気を取り直すように咳払いをした。


「それはそうと……ヴァルク様が去った後、ロキアはどうなるのですか? 酷い結末って……」


「それは、わしが教えてやろう」


王女が止めるよりも早く、老人の杖がカリナの額に当てられた。


次の瞬間、脳裏に浮かんだのは、かつて燃え落ちた城――

いや、それ以上に、目を背けたくなる光景だった。


王都には兵が侵入し、町民たちを容赦なく斬りつけている。

惨劇の中、城は燃えさかり、その炎の只中には、ナイフを手にしたアメリア王女の姿があった。


隣には、すでに息絶えたカリオン王子。

そしてアメリア王女は、覚悟を決めたように、自らの首元へナイフを突きつける。




「きゃああああっ!」




思わず上げた叫び声とともに、映像は霧が晴れるように消え去り、意識は再びこの場へと引き戻された。


「な、なんですか……今の……」


「それが、アメリアの歩んだ人生じゃ。


ヴァルクが去り、ヘブラムは倒れ、仲違いしたままの兄弟たちには、国を治める力がなかった。

その好機を逃さなかったユーラシアは、同盟を破棄し侵略に踏み切った。


まさに、総崩れじゃったわ。


こやつが愛したフィリップ・モリスは、躊躇なく領地を捨て、ダリオンたちと逃げ出した。

置いていかれたアメリアは、カリオンと共に自害するしかなかった――というわけだ」


「そんな……国王陛下が、倒れたのですか……」


「……たぶん、毒を盛られたのだと思うわ。

あの時は、ヴァルクがいなくなって、父は心労が祟ったのだと……そう思っていたけれど」


すべてを言わずとも、王女の言いたいことは伝わった。

脳裏に浮かんだのは、フィリップの叔母――マリアの母である男爵夫人の姿。


実行犯はテティかもしれない。

いや、テティ以外にも、フィリップの手先のような人間は、他にもいたはずだ。


どちらにせよ――

アメリア王女は、自ら王宮に招き入れてしまったのだ。



破滅を招く、悪魔のような男を。



「それで……初代国王陛下が、アメリア様を救ってくださったのですね」


「違うわ!」


間髪入れずに否定した王女に、老人は気に食わなさそうに口を結んだ。

その様子が、なぜか二人の間に奇妙な親密さを感じさせる。


「この人はね……自分が作り上げた国が、私のせいで滅びたって、すごい剣幕だったのよ。

それで、転生させてやるから、何がなんでも滅ぼすなって……」


「ねえ、酷くない? 可愛い子孫を、こんな目に遭わせるなんて」


「……だからって、よりにもよってアレクサンダー王子を選ばなくても……。前世でも、ユーラシアは攻めてきたんですよね」


「あら、だから彼にしたのよ。

ずっと私を想ってくれていたように見えたし、何より――あなたと出会わなければ、ヴァルクはロキアを捨てないでしょう?


ヴァルクがいれば、騎士団も領内の統制も、もっと取れていたはずよ。


それにフィリップのことだって……あなたの知っている世界で、彼を破産させたのは私なのよ」


「アメリア様が!? え、いつの間に……!」


「あなたに知られないように、色々と暗躍していたのよ。びっくりした?

フィリップのことは絶対許せなかったからしっかり復讐してあげたの。


最後は、アレクサンダーの歪んだ性癖のせいで地獄を見ることになったけど、一応努力はしたのよ。


……まさか私がいなくなってから内乱が起きるとは思わなかったけど…」


まるで褒めてほしいかのように堂々と功績を挙げた王女だったが、最後には隠しきれない苦しさが滲んでいた。


「頑張りましたね……アメリア様」


そっと王女の体を抱き寄せると、その細い身体がカリナにもたれかかる。


「私に嫌がらせをしたと言いましたが……ユーラシアが侵略しない確証がなかったから、私を置いていったんですね。

強がるところは、今も昔も変わらないですね」


「……それだけじゃないけど」


「え?」


「わからないなら、いいわよ……」


アメリアの額が、カリナの肩に乗る。

美しく、気高い王女。

けれど本当は、弱く、誰かに愛されたいと願い続けてきた人。


「あの……アメリア様。心配しなくても大丈夫です。

ヴァルク様は、何があっても、あなたをお守りくださいます。


だから……」


「本当にいいのか?」


アメリアとカリナの会話に割って入った初代国王は、冷たい目で二人を見据えた。


「本当に、お前はそれでいいのか。

せっかく手に入れた愛を手放して。


わしなら、そんなことはしない。

どんな手を使ってでも、自分のものにしておくだろう」


その漆黒の瞳は、カリナを試すかのように射抜いていた。

すぐに答えようとしたが、威圧感に足が竦み、声が出ない。

これが、国王という存在の重みなのか。


それでも――

カリナの答えは、最初から決まっていた。





「愛……は、ひとつじゃありませんから!」


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