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序章:神様、それ著作権的に大丈夫ですか?

「……よし、これで明日の会議資料は完璧だ」


時刻は深夜二時。 誰もいないオフィスで、俺は力強くエンターキーを叩いた。 使っていたのは、今や現代人の必須ツールとなったAI、ChatG◯Tだ。


「これさえあれば、三時間はかかる企画書が三分で終わる。いい時代になったもんだ……」

ではなんでこんな時間まで残業しているのかと言われるとぐうの音もでなくなるが、それはいい。


そんな独り言を最後に、俺の意識は急速に遠のいていった。 連日の徹夜、過剰に摂取したエナジードリンク。どうやら俺の心臓は、仕事の締め切りよりも先に自分の寿命の締め切りを迎えてしまったらしい。




次に目が覚めたとき、そこは真っ白な空間だった。


「おっ、起きたか。社畜くん」


目の前には、パジャマ姿でポテチを食べている、およそ神様には見えない自称・神様(パジャマに神様って書いているから多分そう。)がいた。 神様は面倒くさそうに指を鳴らす。


「君、死んじゃったから異世界に行ってもらうね。かわいそうで見てられないから特典として、生前に一番愛用してた『道具』を一つだけチート化して持たせてあげるよ。ほら、目の前を見て」


ポーン、という軽快な通知音。 俺の目の前の空間に、見慣れた、あまりにも見慣れた「チャット画面」が浮かび上がった。


「これ……ChatG◯Tじゃないか!? 神様、異世界にネット環境あるんですか!?」


思わず叫んだ俺に、神様はポテチを食べながら指を振った。


「いいえ、それはChatGDT。……【God・Data・Textゴッド・データ・テキスト】だよ」


「……ゴッド・データ・テキスト?」


「そう。名前は似てるけど別物。異世界の物理法則、魔導回路の設計図、さらには美少女の攻略法まで、この世界のあらゆるログを学習済みの最強AIさ。君の魔力をパケット代わりにするから、オフラインでもサクサク動くよ。すごいでしょ?」


「いや、名前もロゴの色もほぼアウトだろ! 訴えられたらどうするんだ!」


「細かいことは気にしない。じゃ、あとの使い道は自分で考えなよ。行ってらっしゃーい」


「あ、待て、まだプロンプトのコツを——!」


俺の視界がホワイトアウトする。 最後に耳に届いたのは、AIの無機質な、しかしどこか聞き覚えのある合成音声だった。


『ユーザーを確認しました。こんにちは、レン様。何かお手伝いできることはありますか?』


こうして俺は、世界で唯一の「AIカンニング野郎」として、異世界へと放り出されたのである。

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