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「疲れてないか?」
「少しだけ。ですが、それより楽しかったのです。踊りは家族とよくすることでしたので」
やがて曲の合間、言い換えれば休憩時間となり賑わいが戻る。
料理を食べる人、お酒を飲む人、会話をする人。
一通り踊ったら相手を交代するかも。
そう考えてそっと一歩下がって立っていたら声をかけられた。
「スレイブ嬢、次のお相手はお決まりですか。よろしければ僕と一曲いかがでしょう」
「えっと……」
どう答えるべきか。
あくまでもアルファイド殿下の婚約者候補役として来ているし、どう答えるのが正解なのかしら。
断る?
でも王族に関わる人は、人との繋がりを大切にすると聞いたことがある。ここにいる人たちは少なからず王族に関わりがあるのよね。
断ってアルの立場を悪くしてしまうのは嫌だし。
どうしたら良いのかしら。
結論、私からの返事を男は貰えなかった。
前にいた筈のアルがすぐ横に来て私の肩を寄せたから。
「俺の連れに何か用か」
その声音はどこまでも冷えていて、私もゾッとした。ここまで本気で演技するほど婚約したくないのかと。まぁ、私を愛しているふりしといたら女性避けにはなるからね。
「マナーを知らないわけじゃないと思うけど、リーンに話しかけるとは、俺を怒らせたいのかい?三曲連続で踊ることの意味も知らない訳ではないだろう?」
「い、いえ何でもないです。すみませんでした」
そして男は何処かへ去っていった。なんだか後ろ姿が少し哀れだ。彼は私を誘っただけで王族の不興を買ったのだから。
まあ三曲目を踊った相手を誘うのは御法度だからね。三曲踊る相手は婚約者だから、女性側が疲れているからなど理由がある。
「すまなかった」
はい???
謝られる要素がどこにも見当たらない。
「男に絡まれることになってしまった」
「そんなことですか。気にしておりませんわ。アルファイド殿下」
「アルでいい。婚約者候補なのだから」
役だけどね。
「では、アル殿下。ありがとうございました。どう答えるべきか迷っていたため助かりました」
せっかくだからと勧められて、テーブルにたくさん並んでいたマカロンをアルと食べているとき、音もなく現れたものがいた。
「殿下、それからリーンちゃん」
振り向いたらそこには先日の隠密っぽい人がいた。あのときの「また」ってそういうことか。
にしてもちゃん付けされる年齢はとっくに過ぎているのだけど。
「招待状を届けてくれた……えっと隠密の人」
「奴はキートだ。隠密みたいなのは認めるが本職は別だ」
名はキートらしい。
屋根から現れたと思ったら次は認識阻害の魔法を使っての登場。
周りにはバレないだろうけど、私たちは何もないところに話しかけているように見えているだろう。
「また会えたっすねお嬢さん」
「ええ、久しぶりです。先日はすみませんでした」
先日は謝りそこねていたのだ。
キートさんは「気にしてないっすよ。むしろ女子はそれくらいでちょうどいいっす」と許してくれた。なんて心の広い。
「用事は一つだけっす。王妃より部屋で待つ、と。伝えたっすから」
それだけ言って高くジャンプした。
見上げても、かなり高くに天井があるだけでそこには何もいない。
「あれでも、隠密じゃないの?」
「本職は別だが、なかなか優秀だし助かっているから放っていたら日に日に隠密らしくなっていった。俺も隠密みたいだとは常に思っている。一応それより上部の人間だ。その地位を欲していないが」
「そうなの」
ある噂が頭をよぎる。
───第一王子は不真面目でちゃらんぽらん。
噂はあてにならない。本当は不真面目でもちゃらんぽらんでもないのではないかしら。
「リーン、何か勘づいてるのか?」
問いに首を振った。
勘づきかけてはいるがそこから考えないようにしている、が正解。考えたら答えにたどり着くにはたどり着くだろうけど。
「まあいい。これから母上、王妃のもとへ向かう。よろしく頼む」
「承りました」




