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枕元で何者かが覗き込む気配がして目を開けた。

夢で見たのと同じ、赤い瞳……。


「アル………様……やっぱり瞳、綺麗」

「お前誰なんだよ」

「私?私は……」


漆黒の髪。


「私はリン……ううん。リーン・スレイブ」

「リーン寝ぼけてるのか?」


違う。この声は、


「アル!!!」

「声でかい、ここ保健室。病み上がりなんだから急に起き上がるな」


病み上がりなんだけど。まあ、貧血なだけなんだけどね。


「あんたがそんな紛らわしい色してるからじゃない。おかげで間違えた挙げ句、はっきり目が覚めたわ」

「そうだったな、お前はアルキオネの信者だったな」

「信者ってなによ、信者って。ファンよ。あなたこそ私が寝る前にリンと呼び間違えたくせに。おかげで夢を見ちゃったじゃないの。私の名前はリーンよ!!」


名前は個人を表す。大切なのだからしっかり覚えていてもらいたい。


「覚えてないな。気のせいだろ」


あくまでシラを切るかコイツ。

私の名前、ちゃんと覚えているのかしら。

アルもリレインユールのファンなくせに自分のことは棚に上げて。

んー、なんか自分のファンと改めて認識するといたたまれない。

前世を明かしてサインでもしてやれば喜ぶか、なんて冗談を考えて。

イライラするのは多分寝起きの低血圧に、貧血が足された相乗効果のせい。


「なんか、懐かしい夢だったな」

「どんな」


考えが声に出てたみたい。どうしよ、誤魔化さねば。あー、寝起きで頭働かない。


「えっと、大事な人と出会う夢。お互い死にかけて、生き延びるような?」


比喩っぽくしてみたけど全然ストレートだ。私の頭よ目覚めておくれ。

ほら、アルも眉間にすごいシワ刻んじゃったよ。

どんな懐かしい夢よ。この年で死にかけって!


「普通はその年で死にかけないだろ。この国、昔より平和だろ」

「それはそうだけどね」

「もしかして、前世を信じるとか言ってたけど前世を覚えてたりするのか?」

「なっ、な、ないよ?」

「ふーんそうなんだ?」

「そうよ!」


一瞬ものすごくヒヤッとした。

前世の記憶があるなんていったらアルに笑われそう。


「仮に前世があるならリーンは前世でもアルキオネのファンをやってそうだ。なにせ寝起きの第一声があれだもんな。知ってるか?物語ではリーンがアルキオネの瞳をひどく気に入っていたと書かれているそうだ」

「……否定はしないわ」


なんなんだ。キャラが狂ったときにからかい属性まで付いてきたのか?

あと何かを疑われているような。


「もっかいねる。アル帰って」


寝る以外の回避の仕方が思い付かなかった。


「いいのか?せっかくリンが寝てた間の授業内容教えようと思って来たのに」

「あー!!そうだ、魔法で無理やりに寝かしつけるのはどうかと思うんだけど?」

「あれに気づいたのか……」






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