第24話:未来への第一歩
本作はフィクションであり、作中に登場する「3Dネイルチップ」や「義爪」に関する技術は、現時点では実際に福祉ネイルや義爪の販売・施術に導入されているわけではありません。しかし、3Dスキャナーや3Dプリンターを活用したカスタムネイルの研究は進められており、個々の爪にフィットするネイルチップの開発が行われています。
義肢装具や福祉ネイルの分野においても、今後3D技術が応用される可能性は十分に考えられます。例えば、高齢者や障がいを持つ方がより快適にネイルを楽しめるよう、精密なフィット感を実現する技術が発展するかもしれません。本作では、そうした未来の可能性を物語として描きました。
技術の進歩と多様なニーズの変化により、より多くの人がネイルを通じて自己表現やQOL(生活の質)の向上を実現できる日が来ることを期待しています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
卒業を目前に控え、颯太はこれまでのことを振り返っていた。最初はただの興味で始めたネイルだったが、気づけば福祉とつながり、人の役に立てる仕事になりつつあった。悩んだ日々もあったが、瑞希や菜奈、高峰先生、そして紗良との出会いが、自分の進むべき道を示してくれた。そして、ついに颯太は決断を下した。
「俺、福祉ネイルでやっていこうと思う。」
瑞希や菜奈、高峰先生、そして紗良にも報告した。
「そっか、決めたんやな。」瑞希が満足げに頷く。
「ネイルで人を笑顔にするって、ほんまに素敵な仕事やと思う。」菜奈も応援の言葉を送る。
高峰先生は静かに聞いていたが、やがてゆっくりと口を開いた。
「ネイルの技術だけやなくて、人と向き合う力も大事やで。しんどいこともあるかもしれへんけど、颯太くんならきっとやれると思うわ。」
「ありがとうございます。これからも勉強させてください!」
春——卒業式の日。颯太は、在学中の出来事を思い返していた。ネイルを始めた頃は、ただの趣味やった。でも、地域イベントでの施術や3Dネイルチップの研究、紗良との出会いを通じて、少しずつ本気になっていった。どれもが今の自分を作り上げてきた大切な瞬間だった。
颯太は、桜の舞う校庭で深く息を吸い込んだ。
「ネイルって、ただの飾りやないんやな。人を笑顔にできる仕事なんや。もっと技術を磨いて、もっとたくさんの人の力になりたい。」
颯太は新たな目標を胸に刻みながら、未来へ向けて歩き出した。これから学ぶことはまだまだ多い。福祉ネイルの可能性を広げ、もっとたくさんの人に寄り添えるネイリストになるために——。
——完——
ネイル男子、プロを目指す!
ネイル好きの男子、いかがでしたか?
最近は男性でも手元のおしゃれに気を使われる方が多いように感じます。
物語で自分の爪を削りすぎて薄くなってきたことを書きましたが、実話です。
耐水ペーパーで磨き、コンパウンド(金属を磨く研磨剤)でピカピカにして学校に行ったことを思い出しながら書きました。
なんと、40年以上前の話なんです。
当時は爪をピカピカにしている男子高校生なんていなかったので目立ちすぎて恥ずかしかったのですが、磨けば磨くほどつるつるピカピカになっていく爪を見て、うれしくなってきたことを覚えています。
だれでも自由におしゃれができる世の中になってきた。と、思いたいのですがなかなかそうでもないんですよね。
勉強不足で知らないことばかりですが、実際に3D技術を使って手元のおしゃれに貢献されている方はいるんだと思います。
そんな人とお会いしてお話をお聞きしたいなーと思いつつ、完結でございます。
長々とお読みいただきありがとうございました。