第21話:進路相談と葛藤
福祉施設でのイベントを終えた颯太だったが、次のステップに悩んでいた。
「俺、本当にこのままネイルの道に進めるんやろか……」
放課後の教室で、菜奈に相談を持ちかける。
「何言うてんの。先輩、もう十分技術あるやん?」
菜奈は当然のように言った。
「せやけど、工業高校卒でネイリストとしてやっていけるんか、不安で……」
「不安になるのは分かるけど、技術持ってるんやから、自信持たな!」
菜奈の言葉に、少しだけ心が軽くなった気がしたが、まだ踏ん切りがつかない。
その後、颯太は担任の先生に進路相談を申し込んだ。
「義肢装具士や、福祉ネイルの仕事について知りたいんですが、どうしたらいいでしょうか?」
事前に調べていた担任は、資料を取り出して説明してくれた。
「例えば、三田市にある学校なら通える範囲やけど、義肢装具士になるには3年以上の勉強が必要やな。」
「3年以上か……結構長いな……。」
「でも、福祉ネイルの仕事がしたいなら、義肢装具士にこだわる必要はないんちゃうか?例えば、福祉ネイリストとして活動する道もあるし、特別な資格がなくても働ける現場もあるみたいやで。」
担任の言葉に、颯太は考え込んだ。
その後、高峰先生のクリニックを訪ね、進路の相談をする。
「専門学校に行くのが一番の近道なんやろか……」
「もちろん、それも一つの道や。でも、専門学校だけが選択肢ちゃうで?」
高峰先生は、ゆっくりと話を続けた。
「瑞希も言うてたかもしれんけど、研修を受けたら福祉ネイルの現場ももっと知れると思うで。現場経験を積むうちに、新しい選択肢が見つかることもあるしな。」
「せやな……改めて考えると、やっぱり福祉ネイルの現場で経験を積むのも大事かもしれへん。」
初めて聞いた言葉に、颯太は新たな可能性を感じた。
「まずは、できることからやってみたらええんちゃう?」
高峰先生の言葉に背中を押され、颯太の迷いが少しずつ晴れていく。
次回、『3Dネイルチップの可能性』。
福祉ネイルと技術の融合が、新たな未来を切り開く——。