第12話:2級試験本番と新たな目標
試験当日——。
颯太と菜奈は待合室で並んで座っていた。周囲には同じく試験を受ける受験者たちが緊張した面持ちで座っている。
「今回もよろしくな!颯太くんなら、絶対うまいことやれるで!」
(くん?? くんって、、先輩やぞ)
菜奈が微笑みながら、颯太の肩をポンと叩いた。
「お、おう……」
緊張で喉が渇くのを感じながら、颯太は深呼吸をした。これまで練習してきたことを思い返し、心を落ち着けようとする。
——そして、試験開始。
颯太は試験官の合図とともに、慎重に施術を進めた。手指消毒、甘皮処理、カラーリング……ひとつひとつの工程を確実にこなしていく。焦りそうになるたびに深呼吸を繰り返し、落ち着くことを意識する。
(大丈夫、練習してきた通りやればええ……)
瑞希や菜奈と何度も繰り返した練習が、指先の感覚として蘇る。手元の動きを信じ、最後の仕上げまで集中し続けた。
——そして、試験終了。
すべてを終えた颯太は、静かに深呼吸をした。
数日後、結果発表の日。
受験者たちはそれぞれスマートフォンを手にし、公式サイトで発表された合格者リストを確認していた。颯太も手のひらの汗をぬぐいながらスマホを握り、画面をスクロールする指がわずかに震えるのを感じた。
(あるか……?俺の番号……)
画面を何度もスワイプしながら、喉が渇くのを感じる。心臓がドクドクと速くなる中、視線を必死に数字の羅列へと走らせた。
(あるか……?俺の番号……)
心臓が高鳴る。額にじんわりと汗がにじむ。
そして——
「……あった……!」
画面に映る自分の番号を見た瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。指先が震え、思わずもう一度確認する。間違いない。確かに自分の番号だ。
力が抜け、安堵と喜びが一気に押し寄せた。
「やったやん!おめでとう、颯太!」
菜奈が嬉しそうに笑い、颯太の背中をバシッと叩いた。
「……ありがとう」
こみ上げる感情を噛み締めながら、颯太は小さく笑った。
「もっといろんな人をネイルで笑顔にしたいんや!」
そう強く思った。
ここから先——3年生編へと続く。