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学校1ブスの山崎さんが「ウチは美少女だ!」って暴れ始めた……  作者: 伊矢祖レナ
第5章 夕暮れと下剋上、そしてサッカーボール
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第44話 美少女JKモデル、ガチでケンカ売られる③


 目を凝らすと、葉っぱの奥から人の姿がはみ出てる。

 近づく前に、その影は恥ずかしげに立ち上がった。


 紗凪だった。


 手にはゴミ袋を携えて、セーターには葉っぱがたくさんついている。

 ゴミ回収場所に捨てにいくところだろうか。



「あの、ごめんね、盗み聞きみたいになっちゃって……」



 彼女は体全体で申し訳なさを伝えるみたいに縮こまった。



「出るタイミングなくしちゃって……」


「いいよ別に。大した話じゃなかったし」



 ウチは肩をすくめる。

 本当、この世界で安心できるのは紗凪しかいないわ。



「ミスコン、出ないほうがいいって言ってたね、千代田さん……」



 紗凪は小さく呟く。



「はっ! あんなんでやめんなら、最初から出てねぇっつーの」


「うん……わたしもそう思う。少しおせっかいだね、千代田さんは」



 紗凪が笑う。

 その雰囲気に、ウチはなんとなく呑まれてしまった。


 紗凪、なんか随分、たくましくなったな……?



「でも……千代田さんって、やっぱりいい人なんだろうね……」


「え……はぁ⁉︎ んなワケねぇじゃん! アイツ今、ウチらを降ろそうとしたんだよ?」


「そう、かな……あれは多分、本当に警告してくれたんだと思うよ。わたしたちが危ない目に遭わないように」


「はぁ? 意味わからんし。なんでカースト上位のアイツがそんな得のないことすんのよ」



 ウチは頭に浮かんだ反論をそのまま口にする。

 すると、紗凪は首を傾げた。



「それは……得のないことをする人だからなんじゃないかな……立場がどうでも優しい人も、きっといると思うし……」



 ウチはため息をついてしまった。



「世間知らずだなぁ、紗凪は。カーストトップの女がそんなまともな考えしてるワケないっしょ?」


「そうなの?」


「そうだよ。ああいうんは、人との付き合いも損か得かでしか考えてねぇから」


「りりあちゃんも?」



 不意に飛んできた問いかけに、思わず口ごもってしまう。

 紗凪は目をイタズラっぽく細めて続けた。



「りりあちゃんも前は学校で一番だったんだよね? 得だったから、わたしを助けてくれたの?」


「それは……違うけどさ……」


「ね。そういう人もいるんだよ」



 紗凪の柔らかい笑顔に、ウチはぐうの音も出なかった。

 やられちった。


 二次審査を乗り越えた紗凪には、自信が満ちてた。

 ウチにはそんな彼女の姿が、眩しく見えた。



   ◇ 



 紗凪と別れて教室に帰りついたあと。

 帰り支度をしようとして、机のなかに手を突っ込むと、指先にチクッと痛みが走った。



「イタッ……んん?」



 引っ込めると、指の腹に小さな赤い傷がついてる。

 中を覗くと、金色のものが散らばってた。


 ……画鋲だ。


 そして、一枚の印刷用紙が中からヒラリと舞い落ちた。



「んだこれ……」



 二つ折りになったそれを屈んで取り上げる。

 そこには、パソコンで短い文章が印字されてた。



 ――三次選考を辞退しろ。無視すれば悲劇が起きる。



 ウチは顔をしかめてしまった。


 呆れた。


 これ以上ないくらい、わかりやすい脅し文句だ。

 幼稚すぎ……小学生かっての……


 節子の仕業か?

 それとも他のブスか?

 まぁ、誰でもいいけど、どうしてもウチを舞台から降ろしたい奴がいるらしい。



「ねぇ、掃除してっとき誰かウチの机に来てた?」



 前の席の大デブ男にきく。



「え? いや、ごめん見てない」


「そ。あんがと」



 ウチは教室の前方まで行くと、脅迫文をクシャクシャに丸めてゴミ箱に突っ込んだ。

 舐められたもんだ……ウチがこんなもんに負けるワケねぇだろ。


 心にデカくて黒い炎が燃える。

 それは、下剋上の決意だった。



 ぜってー本選出て、全員潰してやっからな……




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